米の高騰で日本は悲鳴→LAでの価格に驚き まさかの“逆転”「輸送コストをかけてもこの金額です」
米の価格高騰を海外の日本人はどう見ているのか。米国ロサンゼルスのスーパーで売られている日本米の価格をネットに投稿し、日本の異常な状況を指摘したのは、現地を拠点に生鮮品や食品の輸出入を手掛ける夏子は世帯主(@Shihokomino)さんだ。詳しい話を聞いた。
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「日本では5キロ4,000円くらいするのに」 投稿に嘆きの声
米の価格高騰を海外の日本人はどう見ているのか。米国ロサンゼルスのスーパーで売られている日本米の価格をネットに投稿し、日本の異常な状況を指摘したのは、現地を拠点に生鮮品や食品の輸出入を手掛ける夏子は世帯主(@Shihokomino)さんだ。詳しい話を聞いた。
「日本の皆さん 物価が高すぎてヤバい!でおなじみアメリカロサンゼルスの日本米(全農、新潟産コシヒカリ)今週の金額は5キロ3000円です(1ドル150円) 輸送コストをかけてもこの金額です つまり…そういうことです」
2月19日、夏子は世帯主さんがXに投稿したのは、ロサンゼルスの日系スーパーで山積みになって売られているコシヒカリの写真だ。パッケージには漢字が踊り、日本から輸入されたものだと分かる。驚くのはその価格だ。1袋5キロの米が19.99ドル。日本時間21日朝のレートで、約2990円となっている。この投稿には、「なんでアホほど物価上昇したカリフォルニアの現在でこんなに安くなってるのか」「日本では5キロ4,000円くらいするのに」「誰がアメリカ・ロサンゼルスに超安値で日本の米を輸出(輸入)してるの?」「5kg 3000円としても海外への重量物運搬での送料を加味すると相当に安いはず」「去年は同じくらいの値段で買えてたよ…」など嘆きの声が続々と寄せられた。
日本では、昨年の夏を境に米の価格が急上昇。農林水産省によると、今年2月上旬の米5キロあたりの平均小売価格は3829円と過去最高値を更新。政府は備蓄米の放出準備を始めたものの、スーパーでは5キロ5000円の米も登場し、混乱に乗じた転売ヤーの暗躍も伝えられている。
「アメリカからはメキシコ湾でとれたマグロを日本に空輸したり、日本からは和牛をはじめとして、レストランや日系スーパー相手に食品全般、足の早いいちごなども入れています」と流通事情にも詳しい夏子は世帯主さん。
ロサンゼルスはただでさえ、日本より食料品の物価が高い。
「あんパン3ドル(約450円)くらい。コンビニの菓子パンも同じくらいです。600ミリリットルくらいのペットボトルのコカコーラが2.5ドル(約380円)。セブンイレブンのサンドイッチは1パック6ドル(約900円)」という価格で、少なく見積もっても物価は日本の2倍以上となっている。
日本からの輸入品には、加えて輸送コストがかかる。
「日本のとちおとめ(いちご)は1パック15ドル(約2250円)、日本で150円で売られている菓子パンはこちらに持ってくると2.3ドル(約350円)。輸送費でおよそ倍になるイメージ+為替が関係して3倍くらいの価格になるイメージです」
本来なら、5キロの米も日本の3倍となる1万1500円程度になってもおかしくない。
にもかかわらず、実際は日本よりもリーズナブルだ。
「日本米の価格に関しては、店頭では高くても5キロ25ドル~30ドル(約3750円~4500円)はしない程度です。ここ数年はずっと変わらないですね。お米の写真はお取引先の一つである日系スーパー、Tokyo Centralで撮影したものです。いわゆる、袋に5キロで詰められた米というのは日系スーパーでしかお目にかかれません」と、夏子は世帯主さんは付け加えた。
米国でもここ数年はインフレにより物価が高騰する中、米の価格がそこまで大きな影響を受けていないのはなぜなのか。
「米の値段が上がらない理由、逆に言えば日本で価格が上がってしまう理由はとても簡単だと感じています。米は日本では水と同じなんです。他のものでは代替できない。必需品である。海外のものはそもそも品種が違い対抗馬になり得ない。買わないという選択肢がありませんから、価格調整されることにすごく弱いんです。江戸時代の米騒動から構造は変わらないと思います」と、夏子は世帯主さんは解説した。

アジア圏の安い米との激しい競争が適正価格の維持につながっている
米国では米の種類が豊富で、長粒種(バスマティライス、ジャスミンライスなどのインディカ米)、中粒種(アルボリオ米、カルローズ米など)、短粒種(日本米など)に分けられるという。特にインディカ米は、アジア圏から非常に安く輸入されており、「日本米のシェアは非常に少ない」と話す。「こちらで炊飯器なんて持っている人はいませんから、ほぼ業務用(寿司用)か日本人家族向けだと思います」とニーズは限定されている。
「アメリカでは他の国や自国の品種と戦わなければならないので適正価格のバイアスが働くんです。みんなで奪い合うものでもありませんから、適正価格が維持されていると思います。日本で米価格が上昇しているのは、単純に『必需品』だからだと思います」と、夏子は世帯主さんは続けた。
米が主食ではない米国とは確かに事情が異なる。
とはいえ、問題なのは、その価格で売っても小売店には利益が出ているということだ。
「(投稿を見て)売れ残りの特売とおっしゃっている方がみえますが、日系スーパーではすしやおにぎりなどを惣菜としてかなりの量を製造、販売しますので、赤字にしてまで米を販売する必要はありません」と言い切った。
投稿に「#買い占め」「#転売」「#価格操作」とハッシュタグを添えたのは、注意喚起の思いも込めた。
「日本の米価格は異常だと感じます。輸入資料を見る限り、仕入れ原価(農家さんの出荷価格)は変わっていないと思います。問屋、小売などによる価格調整しか考えられないよなぁ、というのが私の印象です」と、日本の米の異常高騰ぶりを指摘していた。
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