松重豊、愛車ポルシェ911は「マニュアル車」 クルマ選びは「基本的にドイツ車を」

BS朝日の自動車情報番組『カーグラフィックTV』が放送40周年を迎え、2024年1月から毎月1回、クルマを愛する各界の著名人をゲストに迎えたアニバーサリー企画を放送している。27日午後11時から放送される第14回のゲストは、俳優の松重豊。愛車のポルシェ911を披露しながら、クルマや趣味へのこだわり、さらには大ヒットドラマ『孤独のグルメ』にまつわるエピソードを語る。

『カーグラフィックTV』に出演した松任谷正隆(左)と松重豊【写真:(C)BS朝日】
『カーグラフィックTV』に出演した松任谷正隆(左)と松重豊【写真:(C)BS朝日】

『孤独のグルメ』のエピソードも…松任谷正隆と語る“大人の趣味”

 BS朝日の自動車情報番組『カーグラフィックTV』が放送40周年を迎え、2024年1月から毎月1回、クルマを愛する各界の著名人をゲストに迎えたアニバーサリー企画を放送している。27日午後11時から放送される第14回のゲストは、俳優の松重豊。愛車のポルシェ911を披露しながら、クルマや趣味へのこだわり、さらには大ヒットドラマ『孤独のグルメ』にまつわるエピソードを語る。

 松重は1980年代から俳優として活動し、92年には黒沢清監督の映画『地獄の警備員』で主演を務めるなど、長年にわたりバイプレーヤーとして活躍。2012年から主演を務める『孤独のグルメ』は、シーズン10を迎えるロングラン作品となり、24年1月には『劇場版 孤独のグルメ』が公開された。

 クルマ好きとしても知られる松重は、自身のYouTubeチャンネルでインプレッションを披露するほどのこだわりを持つ。なかでもマニュアル車への愛着は強く、「今のクルマでいいマニュアル車は?」という視点から選び抜いたのが、今回番組で紹介するポルシェ911だ。

 番組では、松重のクルマ遍歴や、かつて建設会社の正社員として働いていた頃に会社支給のディーゼル車キャラバンに魅了されたエピソードも明かされる。「コラムシフトのクルマなら旧車でも欲しい」と語り、コラムシフトを動かすときの「手の動きがセクシー」とディテールにこだわる松重と、MCの松任谷正隆が語り合う。

 また、『孤独のグルメ』についても深掘り。「美味しいってなに?」という問いに対し、松重は「物語じゃないですかね」と即答。その理由や、作品への思いも語る。さらには、「終のクルマ」の話題も展開される。

 2人のコメントは下記の通り。

○松重豊

――旧車よりも新車がお好みですか?

「新しいクルマが好きで乗っていたんですが、時代が変わってきて新しいクルマでも僕の好みに合うものがなくなってきた感じがしています。そういう意味ではこれからは新車にこだわることができなくなってくるんだろうなと思っていますね。以前、ゲストでいらした光石研さんの回を拝見しましたが、光石さんは旧車のメルセデス・ベンツを非常に大事に乗っていらっしゃるそうで。旧車好きというのは大変だなと思いながら見させていただきました」

――松任谷さんとのトークを終えられた感想は?

「いろいろなお話を多岐にわたって…本当に。『あんな話までするとは思わなかった』ということばかりでしたね(笑)。もう本当に誘導されるがままに口を割ってしまった容疑者のような感じでした(笑)。以前、ラジオで奥様の由実さんともトークさせていただきましたが、子どものころから憧れていた人からラジオに呼ばれる人生が僕に待っているとは思わなかったですし、そういう方に興味を持っていただけたということが非常に嬉しかったです。他の方とは全く違う切り口で質問などされていましたが、そこが御夫婦そろって切り口が斬新で新鮮でした」

――普段はあまりご自身について語られることが少ないような気がします。

「そうですね、どちらかというと僕は人の話を聞いている方が気持ちが安定するので、聞く側なんです。聞かれてもなぁ、という思いはありますね。でも今回はクルマというキーワードがあったので、しゃべりやすい空気でした。好きな体の一部をお見せするような気持ちですね」

――今回ポルシェ911をご紹介していただきました。

「今一番好きな愛車で、ちょっとドライブするとなったときに一番の相棒と僕は思っているんです。仕事での移動でも使っていますし。僕は基本的にドイツ車を選ぶことが多いんですが、クルマの基本的な“走る、曲がる、止まる”という性能に特化して言うと、ドイツ車の作り方というか、かっちりしたクルマ作りというのは僕の趣味に合うと思っています。外車が好きだということではないですし、実際にマニュアル車に乗っているんですが、ウインカーが右にあるマニュアルできちんとしたいいクルマがあればいいなと常々思っていますね」

――松任谷さんとのトークでご自身のクルマへの思いなども変わられたのでは?

「松任谷さんは本当にすごい音楽を作られて、その裏側にあるのがクルマへの愛情だったり、その他のモノへのこだわりだったりというか。本業とは違う部分での愛情の持ち方という意味でとても勉強になりました。僕もこういったこだわりがあってもいいんだな、と思わせていただけるようなお時間をいただけました(笑)」

――ご自身のこだわりを「面倒くさい」とおっしゃっていましたが。

「好きなものを選んで自分のものにしていくということ、それを僕は物語と言っています。自分の物語の中にモノが単純にそこにあるのではなくて、物語の一部になっていると考えています。クルマもそうだし、万年筆も、カメラもそうだということですね。過程から好きになって自分がいかにしてここに、手元に持っているかという理由付け、それが物語になっている、ということだと思います。そうしたこだわりがあるのは、ある意味『面倒くさい』ことだと思いますよ(笑)」

――そんなトークを通して視聴者のみなさんにどんなことを伝えたいですか?

「僕らの仕事にも言えることなんですが、クルマもこれから先どう変化していくのかわからないと思っています。でも、20世紀から今世紀へとクルマが好きだと思いながら生きてきましたし、その中でクルマの一番楽しい乗り方を感じてきたと思っています。次の世代はどうなるかわからないですし、乗り物の形も変わるかもしれませんが、人が乗り物に乗るというのはすごく楽しいんだ、という思いを次につなげていければと思っています」

○松任谷正隆

――今回のトークはとても噛み合っていたように見えました。

「松重さんとは初めてお会いしたんですが、一番プレッシャーを感じなかったような気がします。テレビで拝見しているころから、そんな感じが…。ウチの由実さんが一足先にラジオで松重さんと話しているんだけど、俺だったら100倍うまくできるぞって思いましたね(笑)」

――松重さんはクルマ好きの方の中でも異色な感じがしましたが。

「彼は全体の美意識の中にクルマがあるという感じ。すべてに美意識がある人で、そのバランスを大切にしている。だからクルマに特化していないという感じだと思います。高級車に憧れて乗られている方や、実用面を優先させてそのクルマに行き着いた方など、いろいろなクルマ好きがいますが、松重さんはそのどちらでもでもないですね。彼は絶対におしゃれな方。だから、全体のバランスをとることが、きっと彼のダンディズムなんだろうなと思います。僕は最初からそういう人ではないかなと思っていたんですが、その通りだったなと思いました」

――全体のバランスというのは?

「生き方とか、彼の周りのもの・考え方とか。それらのバランスをうまくとっていて、どれか一つだけを特別なものにさせないということです」

――単に好きになるのではなく「物語」つまりその過程が大事だとおっしゃっていました。

「本当にそうだと思います。例えば、僕は食べ物だとこれはどこどこ産の素材を使って…とかうんちくを言われた方が好きなタイプなんですよ。それで味が変わると思うし。だから松重さんはストーリーと言われたけど、ものを美味しく食べる方法やなにが美味しいというのではなくて、自分流の美味しくする食べ方を持たれているということですよね」

――好きなものの物語は違うけど、お二人は同じ方角を向いている感じですね。

「だからダンディズムとか、生き方とか、そういうのはすごく共感できた。松重さんの方が上ですけどね(笑)」

――松重さんのポルシェにお乗りになる前に「運転の感じがわかる」とおっしゃっていましたが。

「どこか控えめ。アンダーステートメント(控えめ)のダンディズムってあるじゃないですか。ブランドものを着ていてもブランドに見せないとか。松重さんはそういう人です」

――松重さんの“終のクルマ”はポルシェじゃないとおっしゃっていましたが。

「ポルシェはクルマとして面白いんですが、彼の“終のクルマ”はごく普通のクルマにするような気がするんです。それもアンダーステートメントのダンディズムだと思うんだけど、そういうのを選びそうだなと。例えば少し前のディーゼルのメルセデス・ベンツのワゴン、しかもMTで。そういうのが本当に“終のクルマ”になるんじゃないのかなと思っています」

――こだわりの趣味のお話に花が咲いて「面倒くさい」とおっしゃっていましたが。

「『面倒くさい』はいい表現ですよね。なんかある意味、とてもポジティブな響きだなと思って感心しました」

次のページへ (2/2) 【写真】松重豊の愛車・ポルシェ911の実際の写真
1 2
あなたの“気になる”を教えてください