「流れでやらないで」 “暴走女王”堀田が令和女子プロレスへの危機感を激白 SareeeとRENAによるまさかの遭遇の理由
いったい何がどうなっているのか!? 16日、女子プロレス界の“暴走女王”堀田祐美子が「強くなる為に必要なこと!!」と題し、Xにまさかのポストを公開した。考えてみれば今年デビュー40周年を迎える堀田がここに来て、新たな覚醒を果たしている。その生き方はまさに「予測不能」だが、全ては「女子プロレス」の今後を考えてのこと。今回はこれを取り上げる。

王者・VENYに対し「息の根を止めるくらいにやってみろ」
いったい何がどうなっているのか!? 16日、女子プロレス界の“暴走女王”堀田祐美子が「強くなる為に必要なこと!!」と題し、Xにまさかのポストを公開した。考えてみれば今年デビュー40周年を迎える堀田がここに来て、新たな覚醒を果たしている。その生き方はまさに「予測不能」だが、全ては「女子プロレス」の今後を考えてのこと。今回はこれを取り上げる。(取材・文=“Show”大谷泰顕)
女子プロレス界の「生きる伝説」の一人であり、かつては日本屈指のMMAファイターとしてRIZINにも参戦経験を持つ堀田が公開したポストには、昨年の女子プロレス大賞を獲得したSareeeと、堀田の弟子の叶ミクがボクシンググローブを着用し、シュートサインをした“ツヨカワ女王”RENAとともに4ショットの記念写真に収まっている。背景にはリングもある。SareeeとRENAという日本の女子プロレスと女子格闘技のトップファイターが揃っているとなれば、もちろんそれは共に汗を流したということだろう。
特にSareeeのグローブ姿は刺激的に映るが、これに関してSareeeはまだ公にコメントを発していない。
とはいえ、Sareeeは年頭からの大事な3試合(マリーゴールドでの林下詩美戦、SEAdLINNNGでのVENY戦、“女子プロレス界の横綱”里村明衣子戦)に3連敗を喫し、二冠王だったベルトもすべて落として丸腰状態にあるが、「Sareee-ISM7」(3月10日、新宿FACE)にて、スターダムの朱里を相手に一騎討ちを行うことが決まっている。
そう考えると今回のSareeeとRENAの遭遇は、かつてはUFCファイターだった朱里との一戦に向け、Sareeeが独自の対策を行ったと考えることもできる。
あえて取材陣を入れなかった点が謎を呼ぶが、SNSの普及によって幻想が作りづらい昨今、何かが動き始めたと思うだけで非常に想像力を掻き立てられる。その点では堀田によるまさかのポストは十分役割を果たしていると考える。
さて、実は今回まさかのポストを行った堀田だが、年頭から物議を醸す行動が際立っている。
「やるなら殺すくらいにやれよ。息の根を止めるくらいにやってみろよ!」
12日、新宿FACEで開催されたSEAdLINNNGの2025年第2戦。堀田はウナギ・サヤカ、笹村あやめと組んでメインに登場し、王者・VENY、野崎渚、真琴のラスエゴ勢を相手に勝利した直後、リング上でそう叫んだ。

何歳になっても何かを伝えられる
しかも堀田は同試合ではVENYに対し、会場中にゴツンという鈍い音が響き渡るほどの頭突きを叩き込み、最後はスリーパーホールドでVENYを絞め落とした。さらにその直後には堀田によってVENYは額から出血。
「この罪は重いぞ!」と叫んだVENYは、堀田の挑戦を受けることを決め、3月20日にカルッツ川崎でのタイトルマッチが実現することと相なった。
「VENYはホントに強くて力では敵わない。今日も敵わなかった。だけど気持ちがあれば、勝てる。今日もそういう思いでスリーパーしかないと思ったし。だけど、私がここで負けては何も主張はできない。なので、私は関節技とかはあまりプロレスでは使わない。なぜかというと、中途半端に終わってしまうと、それを使っている方たち、格闘家の方たちにも悪いし。でも、ホントにここだと思った、勝てないと思った時に出すのがそういうサブミッションであって」
そこまで答えた堀田は、「たぶん私のスリーパーが相当効いたと思うし、私は落としてやろうと思ったし、ホントにあいつは落ちたし……」と話した。
実際、VENYはリング上で意識を失った。蘇生した直後、状況が分からないままのウツロな表情がそれを証明していたが、それは堀田の考える「私の考えるプロレスを貫き通した」結果だった。
実はここ数年の堀田は「レジェンドとして出る試合が多かった」。それは「若手がリングに上がった時に、大切なのは気持ちだよっていうことを試合で当たって教える」ためだった。
しかしながら堀田は、VENYを絞め落とした試合後のインタビュースペースでこう話した。
「私は証明したい。58歳になっても、何歳になっても何かを伝えられるということを。それは私だけじゃなくて、今リングに上がっている、ジャガー(横田)さんにしても、ダンプ(松本)さんにしても、神取しのぶにしても、アジャ・コングにしても、みんなそういう気持ちがあるからだと思う」
そう口にした堀田は他のレジェンドの名前を出しながら、「今、『極悪女王』というNetflixで新しいファンがついてきている中で、ここで今、何かをしっかりもう一度見つけ直して、女子プロレスってものを感動を与えるもの。『心の入ったプロレス』というものを、しっかり見つめていかなくちゃいけないんじゃないかな、という気持ちがすごくあって」と話し、昨今の女子プロレスの行く末に関する不安や危機感が根底にあったと述べた。
そもそも、なぜ58歳になった堀田がここに来て改めて覚醒したのか。そのきっかけは、年頭から物議を醸した一発の頭突きだった。
「(プロレスを)流れでやらないでほしい」と訴える
「私がとやかく、今の女子プロレスのことを語ることってどうなんだろうってずっと思ってた。だけど、私たちがやってきた女子プロレスっていうものを絶対に受け継いでいかなくてはいけない。それは私は『Sareee-ISM6』(1月23日、新宿FACE)で感じたし、あの花穂ノ利のヘッドバットで打たれた時に感じた。その時にやっと、今のままじゃいけないよっていうところを、私が声を大にして(声を)あげなくてはいけないのかなっていう。これが合ってるか間違ってるかは分からない。私が40年間プロレスをやってきた中でそう感じただけなので……」
花穂ノ利の頭突きによって、堀田の額に見事なまでの大きなコブを作られたが、顔面を変形させられても「全く問題はない」どころか「私にそんなことするヤツがまだいたのか。お祭り騒ぎだ」と逆に嬉しそうな表情。さすが“全女”(全日本女子プロレス)出身者はモノが違う。
だからこそ、堀田は王者・VENYに釘を挿す。
「なぜ私がVENYのタイトルマッチに挑戦するカタチになったかって、私も『お前、中途半端なことしてんじゃねえよ』って。『お前、強えんだろ。強かったらもっと強さを出せよ』って私は言いたかった」
さらに堀田は「(プロレスを)流れでやらないでほしい」と訴える。
「もしかしたら選手は1試合1試合しっかり気持ちを込めて闘っているかもしれない。でもそれが伝わってるか伝わってないかっていうことになった時に、伝わるような試合をしようよって。伝わったか伝わってないかは分からない。だけど、伝わる試合をしようよ。私はそう思う」
ちなみに、現段階ではルールが決まっていない王者・VENYとのタイトルマッチだが、確実に言えることは、堀田はこの試合を「最後のタイトルマッチ」だと考えていること。そして堀田が“全女”で学んだ魂を受け継がせたいと思っていることだろう。おそらくそれは、かつて堀田が経験してきた、人智を超えた、目を背けたくなるような場面のある“エグさ満載の闘い”になる可能性は高い。
さらにいえば、実はこの一戦でVENYに対して受け継がせたいものを、VENY以上に受け継がせたいと考えている人物がいる。それがSareeeになる。これは正確には憶測の域を出ないが、Sareeeがもう一段上に行くためにはそれが必要だと堀田が考えていることは容易に想像がつく。でなければ今まで強さを追い求め、「強くなる為に必要なこと!!」とXにポストした堀田が、SareeeとRENAの遭遇の場面にいる理由が思いつかない。
今現在、堀田は両ヒザに人工関節を埋め込んでまで、現役の女子プロレスラーとしてリングに立ち続けている。
そんな堀田は、さらなる「予測不能」を呼び込むべく、日夜、「女子プロレス」のことを考え続けている違いない。
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