みそ汁のシジミは食べてはいけない? SNSで“物議”のマナー、生産者に心境を直撃「ナンセンス」
日本人の食生活になじみが深いみそ汁の中でも、ポピュラーな具材であるシジミ。近年、みそ汁のシジミの身を食べるか否かという“マナー”を巡り、ネット上で大きな議論が起こっている。賛否両論あるこのマナー、シジミの生産者はどのように感じているのか。シジミの名産地とされる各地の漁業協同組合に話を聞いた。
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汁よりも身を食べたほうが栄養価が高いという話も
日本人の食生活になじみが深いみそ汁の中でも、ポピュラーな具材であるシジミ。近年、みそ汁のシジミの身を食べるか否かという“マナー”を巡り、ネット上で大きな議論が起こっている。賛否両論あるこのマナー、シジミの生産者はどのように感じているのか。シジミの名産地とされる各地の漁業協同組合に話を聞いた。
「定食屋でご飯を食べてたら後ろの席から『シジミの味噌汁の身を食べるのはマナー違反』という会話が聞こえて驚いてしまった」
先月下旬、ある投稿者がシジミに関する耳慣れないマナーを見聞きしたことについてSNS上で報告すると、2万件を超えるリポスト、13万件もの“いいね”が集まるなどなど、大きな反響が寄せられた。
投稿内で紹介された「みそ汁の中に入っているシジミは食べてはいけない」というマナーを巡っては、「はぁぁぁぁ?! その身が一番美味しいんだろうが!」「しじみの身を残すなんてありえません…」「大きさによるかなー」「子供の頃は、食べない様にと躾けられましたが、あくまで外で食べる時にと言う話しだった」「よく食うけどたまに砂抜き足りなくってジャリってなるのが嫌」「太宰がしじみの味噌汁の身を食べたら驚かれて恥ずかしかったと書いた小説があったと思う」など、賛否両論の意見が飛び交っている。
ちまたでささやかれるこのマナー、シジミの名産地ではどうように感じているのだろうか。全国トップの漁獲量を誇る島根・宍道湖の漁協担当者は「(マナーについては)知らないです」と一言。「マナーがどうこうというのは分からないのですが、そもそもシジミの身は普通に食べるもので、このあたりでも普通に食べますし、栄養もありますからしっかりと食べていただきたいです」と生産者としての本音を語る。
一方で、「大きさによっては食べられないサイズのシジミもあるのでは」と担当者。宍道湖では資源管理を行い、出荷するサイズに規定を設けているが、産地によって出荷基準はさまざまだ。宍道湖漁協が東京で出店イベントを行った際のこと。「Lサイズのシジミで汁を振るまったんですけど、汁だけ飲んでもうごちそうさまという方が数人いらっしゃったので、身も食べてくださいと話したことがありました。身を食べる習慣がない方というのはいらっしゃるのかなと思いました」。シジミの身を食べない習慣の人が一定数存在することも実感したという。
青森県最大の湖・小川原湖の漁協担当者も、シジミの身を食べないマナーについては「初めて聞きました」としつつ、「食べないというマナーがあるということ自体がナンセンスかなと。うちの組合員はシジミを取ってご飯を食べているので、大変遺憾な話だと思います」と複雑な心境を吐露する。
さらに「食べないということは、食べ物を廃棄しているということになりますので、SDGsの観点からも、今の世の中の流れには沿っていない話だと思います」。小川原湖のシジミは4~5年をかけて成長させ、他産地と比べても漁獲サイズが大きめのものを水揚げしているといい、「シジミをみそ汁にした場合、汁にも栄養分は溶け出していますが、身の方がよりオルニチンなどの栄養をたくさん含んでおり、身を食べていただいた方が摂取できるという研究結果も聞いたことがあります。やはり、食べてもらった方がいいのかなとは思います」と語った。
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