尾上菊之助、襲名披露公演で異例のリクエスト 市川團十郎と『勧進帳』希望「團十郎さんの弁慶で、私が富樫」
歌舞伎俳優の尾上菊之助が14日、都内で行われた歌舞伎座の5月、6月公演「尾上菊之助改め八代目尾上菊五郎襲名披露 松竹創業百三十周年『菊團祭五月大歌舞伎』『六月大歌舞伎』」の取材会に出席。菊之助が、襲名披露公演の演目について希望を語った。

「初代菊五郎は團十郎さんに見出された」成田屋との縁を語る
歌舞伎俳優の尾上菊之助が14日、都内で行われた歌舞伎座の5月、6月公演「尾上菊之助改め八代目尾上菊五郎襲名披露 松竹創業百三十周年『菊團祭五月大歌舞伎』『六月大歌舞伎』」の取材会に出席。菊之助が、襲名披露公演の演目について希望を語った。
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菊之助は同公演で八代目尾上菊五郎に、菊之助の長男・丑之助が六代目菊之助を名乗る。菊之助の父で現在の七代目尾上菊五郎は、引き続き七代目尾上菊五郎を名乗る。
これまで5月の演目は、『五月大歌舞伎』として『口上』と『弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ)』が発表されていたが、『菊團祭五月大歌舞伎』と変更に。歌舞伎座では通常、5月の恒例として『團菊祭』が行われている。團菊祭は、“明治の劇聖”とうたわれた九代目市川團十郎と五代目尾上菊五郎の偉業を顕彰するために始まった五月興行恒例の祭典。菊之助の父・七代目菊五郎と、十三代目市川團十郎の父で故・十二代目市川團十郎さんが行ってきた。菊之助はこれまでの取材で、八代目菊五郎襲名時には十三代目團十郎と團菊祭をやりたいと話していた。
菊之助は、「5月は(通常は)『團菊祭』でございます。今回は襲名では異例ですが、襲名演目の前に團十郎さんと、(成田屋の歌舞伎十八番の)『勧進帳』をさせていただけないかと、会社にお願いしています」と明かした。「前々から取材の時にも申し上げていましたが、團十郎さんの弁慶で、私が富樫をさせていただきたい」と希望を語った。
菊之助はその理由について、「歴史的な側面から申しますと、(江戸時代の)初代菊五郎は團十郎さんに見出されて江戸に出てまいりました。團十郎家と尾上家というのは、五代目菊五郎さんは“團菊”と並び称され、現代でも十二代目團十郎さんの父上が團菊祭を持ってきてくださいました」と、これまでの縁を語った。「八代目菊五郎を襲名する時には、ぜひ十三代目團十郎さんと舞台に立たせていただき、菊五郎のスタートを切りたいという思いで、團十郎さんにもお願いしている。襲名演目の前に異例と思われるかもしれませんが、『勧進帳をやりたい』ということを今お願いしている最中でございます」と明かした。
菊之助の要望に松竹の演劇部・歌舞伎製作部の担当者は、「菊之助さんから熱い思いをいただきましたので、会社としても成田屋さん含めて話し合っていきたいと思っております」と語った。現時点で『勧進帳』が上演されるかは未定だが、これから調整に入るという。
また菊之助は、「私は去年、初代(菊五郎)さんと二代目さんが入られている京都のお墓と、大阪のお墓の一部を再建することができました。菊五郎を襲名するということに関しても、お墓を修復できるという縁にあたり、これは初代さんから現在の七代目までのすべての菊五郎に対する尊敬、やられてきたことへの事実をすべて受け入れて、八代目を襲名させていただきたいという風に思っております」と意気込んだ。
