路上喫煙全面禁止となった大阪市、届く嫌煙家&喫煙者からの声と担当者の本音「ルールを守って」

大阪・関西万博の開幕が4月13日に迫った大阪市で、1月27日から市内全域に路上喫煙の禁止を拡大する改正条例が施行された。大阪市環境局の事業部路上喫煙対策担当課長・楠本大介さんは、喫煙者の締め出しではなく「ルールを守って吸っていただく」ことを前提に、市側は対応していく考えを示した。

先月27日から大阪市内全域に路上喫煙の禁止を拡大する改正条例が施行された【写真:ENCOUNT編集部】
先月27日から大阪市内全域に路上喫煙の禁止を拡大する改正条例が施行された【写真:ENCOUNT編集部】

大阪市環境局の事業部路上喫煙対策担当課長・楠本大介さんに聞く

 大阪・関西万博の開幕が4月13日に迫った大阪市で、1月27日から市内全域に路上喫煙の禁止を拡大する改正条例が施行された。大阪市環境局の事業部路上喫煙対策担当課長・楠本大介さんは、喫煙者の締め出しではなく「ルールを守って吸っていただく」ことを前提に、市側は対応していく考えを示した。

 昨年11月12日の大阪市議会決算特別委員会で横山英幸市長が、施行日を正式表明して以降、市役所にはさまざまな声が届いた。「もっと早く施行できないのか」「過料(1000円)が安い」「過料を徴収するメンバーを積極的に増員して取り締まってほしい」という嫌煙家に対し、「喫煙所をもう少し充実させてから施行した方がいい」「交差点ごとに喫煙所を作って」「(1月26日までの)エリア限定の禁止にとどめてほしい」という喫煙者。楠本さんは「感覚的には両者が拮(きっ)抗している感じ」とした。

 喫煙者からの最も多い意見は、予想通り喫煙所の増設だった。改正条例施行に際し、市が目標に掲げた140か所設置へのメドがつき、パチンコ店内など既設の喫煙所の一般開放を含め、万博までに約300か所の見通しになったとされた。楠本氏は「最初からすべての人に100点満点と言っていただくのは難しい」といい、施行後も調査、広聴での意見などを通じて、適正な喫煙所の配置について分析、検証を続けるとした。

 これまでも歩行者に占める喫煙者(歩きながらおよび、立ち止まっての喫煙)の割合を定点でチェックしており、2006年度に2.5%程度だったものが、2023年度は0.2%まで減少したという。「たばこを売らないでほしい」という極端な意見もあるというが、市のスタンスは、あくまで「ルールを守って吸っていただくこと」とした。

 紙巻きたばこと加熱式たばこが対象(電子タバコは除く)で、違反者に対して過料1000円が発生する。これまで路上喫煙はエリア限定6地区で禁止されており、昨年3月末で巡回は17人体制だったが、現在は警察OBを中心に市職員で74人まで増員。将来的に100人を目指すという。1000円は現金のみで、今後は事業者への手数料がかかる電子マネーでの徴収などが課題になりそうだ。

天王寺駅前の指定喫煙所【写真:ENCOUNT編集部】
天王寺駅前の指定喫煙所【写真:ENCOUNT編集部】

 インバウンド客にも人気の大阪市。外国人への周知については、ホームページやYouTube動画を活用。デジタルサイネージがある新大阪、梅田(大阪)、なんばなど大規模駅では英語、中国語、韓国語を併記し放映している。さらに、関西国際空港やホテルに置かれているフリーペーパーに情報掲載しているとした。過料は外国人からも徴収する。これまでは外国人も、過料に素直に応じる傾向にあるという。

 2002年から全面禁止を導入した東京都千代田区について、楠本氏は「一番、先進的にやられている」と参考にしているとした。政令市初となる今回の決定を受け、名古屋市や北九州市から問い合わせがあるという。

 自身も喫煙者であるという楠本さんは「私は仕事柄、吸える場所を知ってるので、ここへ行ったら吸えるかなっていうのはわかるんですけど。一般の方はなかなか探しにくいと思うので、ご紹介できるページ、喫煙所マップを作成してご紹介しています。喫煙者にとっては、近くで吸える場所がどこかが一番興味があるところなのかなと思います」と理解する。今後へ向けては「皆さんにルールを守って喫煙していただいて、市民の方や大阪市を訪れる方が快適に過ごしていただけるような、路上喫煙のない街を目指していきたい」と思いを明かした。

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