上白石萌音のライブに“憧れ”いきものがかりが飛び入り参加 「これからも生きていけます!」と大興奮
歌手で俳優の上白石萌音が3日、東京ガーデンシアターで全国ツアー「“yattokosa” Tour 2024-25《kibi》」の東京公演を開催。昨年11月にリリースした最新アルバム『kibi』の曲を中心に全23曲を歌った。アンコールでは、上白石が小学生の頃から憧れていたという、いきものがかりがサプライズで登場し、集まった約8000人の観客から大歓声が上がった。
![(左から)吉岡聖恵(いきものがかり)、上白石萌音、水野良樹(いきものがかり)【写真:板橋淳一、柴田和彦】](https://encount.press/wp-content/uploads/2025/02/10130255/b776214ead3788ea709f7e5dfa96b9bd.jpg)
上白石萌音全国ツアー「“yattokosa” Tour 2024-25《kibi》」レポート
歌手で俳優の上白石萌音が3日、東京ガーデンシアターで全国ツアー「“yattokosa” Tour 2024-25《kibi》」の東京公演を開催。昨年11月にリリースした最新アルバム『kibi』の曲を中心に全23曲を歌った。アンコールでは、上白石が小学生の頃から憧れていたという、いきものがかりがサプライズで登場し、集まった約8000人の観客から大歓声が上がった。
今回のツアーは、キャリア最大規模となる全国11公演を回り、ソールドアウトとなった東京公演には親子連れからカップルまで幅広い層のファンが足を運んだ。開演5分前には上白石自ら場内アナウンスを担当。最後に「もう少しで開演します。待っててねー」と優しく観客に語り掛かけた。
開場時間の午後6時を過ぎると、場内が暗転し、カーテンの幕が下りたままの演出で1曲目『あくび』の演奏が始まった。カーテンにはライトに照らされた上白石のシルエットが浮かび、場内から大きな拍手が送られる。ゆっくりとカーテンが開き、イスに座って歌う上白石が登場し、さらに大きな拍手が鳴った。透明感のある歌声に観客も座ったままじっと耳を傾ける。
1曲目が終わると「みなさん、こんばんは」と笑顔であいさつし、『Loop』『skip』へ。観客も立ち上がり、リズムに合わせて手拍子を鳴らす。そんな観客一人一人と目を合わせながら上白石はステージをゆっくり移動して歌った。
歌い終わると「どうぞ、お掛けになってください」と観客に呼びかけ、「今日は節分の夜にこの会場まで足をお運びいただきありがとうございます。大寒波のニュースを見て心配していましたが、お利口にしていたら降りませんでした。よかったー」と笑った。最後列までぎっしり埋まった客席を見渡しながら「なんでこんなに来てくれるの? 本当に(笑)。不思議な気持ちですけどとてもとてもうれしいです」とあいさつ。当日はWOWOWの生中継も入っていたため、カメラに向かってにっこり手を降った。
続けて「これまでになく同世代のアーティストのみなさんとご一緒したアルバムです。それはすごく刺激的で楽しい制作でした」と昨年11月にリリースした最新アルバム『kibi』について説明。すると話を中断し、「見つけちゃった! 小さい子がいる」とうれしそうに客席の子どもに話し掛ける。「通路とか走り回って大丈夫ですからね。みんなで守りながら楽しんでいきましょう」と呼びかけ、最新アルバムの収録曲を中心に歌った。
途中のMCでは、コンサートの演出を大切にしたいという理由でステージ上に置かれたテーブルライトの点滅を合図にペンライトの点灯消灯の協力をお願いした。試しに上白石がテーブルライトを付けようとするが、なかなか付かない。そこであわててスタッフを呼ぶと、スタッフに扮したいきものがかりの吉岡聖恵と水野良樹がステージに登場した。2人に気付いた観客が驚きの声を上げ、水野がライトが点灯させるとすぐに2人は去っていった。ステージに残された上白石は「……誰かに似てたね? いきものにも好かれそうな、2人がかりの……」ととぼけた顔で観客に話しかけるが、子どもの頃から大ファンだった2人を前に動揺する様子が伝わってきた。
![ライブ中盤ではミュージカルの名曲も披露【写真:板橋淳一、柴田和彦】](https://encount.press/wp-content/uploads/2025/02/10131221/32aa1e9c6b8434a25eb07a2ec06e7fe1.jpg)
舞台『千と千尋の神隠し』ロンドン公演の思い出エピソードも披露
中盤は、カバー曲やミュージカルの歌を披露した。各会場限定の「ご当地ソングコーナー」では美空ひばりさんの『東京キッド』を歌った。またMCでは昨年、舞台『千と千尋の神隠し』のロンドン公演で3か月現地に滞在した思い出も語った。
「ロンドンと言えば、私にとっては演劇なので文化的な刺激をたくさんいただきました。合計で十数本くらいの舞台を見たのかな? お昼は本場の演劇を見て、夜は千尋を演じるという、本当に幸せな循環で細胞が喜ぶ感覚がありました」
そう話すと、役者の顔へと変わった上白石が映画『メリーポピンズ』の『お砂糖ひとさじで』、ミュージカル『レ・ミゼラブル』の『夢やぶれて』を披露。翻訳家の監修のもと、上白石自ら和訳した歌詞がスクリーンに映し出され、観客もその瞬間は、ミュージカルを見ているかのような気分に浸った。
後半も新旧代表曲を織り交ぜながら、最後列の観客にも届けるように1曲1曲を丁寧に歌い上げた。
歌い終わって「こないだ友だちを招いて手巻き寿司パーティーを開いたんですが、初めて自分で全部用意したんです。準備が終わってラインナップを見たら、小さい頃にお母さんが用意してくれたラインナップと同じだったんです。その時『人って誰かにやってもらったことを今度は自分が誰かにやってあげるというリレーをして生きていくんだな』ってすごく心が温かくなりました。私も歌やエンタメに力をもらってきたので、今度はみなさんに(バトンを)渡していけたらいいなと思います。私は『おやすみ』とか『ゆっくり寝てね』ってあいさつがすごく好きなので、みなさんが気持ちよく眠りにつけますように、そんな歌を歌います」と話し、『スピカ』を本編最後に歌った。
アンコールの大きな拍手が響きわたり、走ってステージに入ってきた上白石が中央で深く一礼をした。
「いっぱい手を叩いてくださってありがとうございます。終われないですよね(笑)。さっきの幻は何だったのか? やっと大きな声で言えるぞー。私が小学生の時からずーっと憧れの、大好きないきものがかりのお2人です!」
上白石の呼びかけでいきものがかりの吉岡と水野がふたたび登場。吉岡が「幻でーす!」と笑顔であいさつすると、ニューアルバムの中から水野が提供した曲『まぶしい』を3人で披露し、上白石は念願だった自身のライブで吉岡とデュエットが実現した。歌い終わると上白石は、満足そうな表情を浮かべて幸せをかみしめた。
![東京公演では約8000人の観客を魅了した【写真:板橋淳一、柴田和彦】](https://encount.press/wp-content/uploads/2025/02/10131513/b5d9d223b321b2f60741d3c3ea27f4bf.jpg)
いきものがかりも“初めて”の飛び入り参加「僕たちも夢がかなった瞬間」
3人のトークコーナーになると、小さい頃からどれだけいきものがかりが好きだったのかを上白石が熱く語り、水野も「そんな小学生の頃から好きだったと言ってもらえる人に、ステージに呼んでもらえる日がくるなんて、僕たちも夢がかなった瞬間だよね」と吉岡と顔を見合わせながら笑顔で受け止めた。また、いきものがかりがほかのアーティストのライブに飛び入り参加するのは今回が初めてだったと話した。
続けて水野は、昨年行ったいきものがかりの全国ツアーで上白石の消灯式を真似ていたことをファンに打ち明けた。すると上白石が「じゃあやりましょう」と言って消灯式を行った。今回は、ロウソクの火を消すように客席に向かって3人がふーっと息を吹きかけるとペンライトが一斉に消えた。それを見た3人はそして上白石の思い出の曲『YELL』を吉岡と熱唱し、客席からは、この日一番の大きな拍手が送られた。
いきものがかりがステージを下りると、上白石は喜びを噛みしめながら「ずっと憧れて『いつか聖恵ちゃんみたいに歌いたい』と思って背中を追いかけて、その方と一緒に歌えて……。頑張れる! これからも生きていけます!」
アンコール3曲目は、水野が2020年に上白石に提供した『夜明けをくちずさめたら』を歌い、最後に1曲目に歌った『あくび』のワンフレーズをもう1度歌って幕が下りた。
アンコールを終えるともう1つサプライズが。当日は節分ということで上白石とメンバーが客席に向かって「鬼は外、福は内」とグッズの豆まきを行った。最後列まで聞こえる大きな声で「ありがとうございました!」とあいさつし公演が終了した。
舞台、映画、テレビ番組と多忙を極める中でも歌手としての活動を大切にする上白石。親近感のあるMCや語りかけるように歌う姿を通して、まるで上白石のホームパーティーに招かれているような感覚で楽しめるところが彼女の魅力の1つでもある。それは今回のような大規模な会場でも何ら変わることはなかった。
【セットリスト】
上白石萌音「“yattokosa” Tour 2024-25《kibi》」
2025年2月2日東京ガーデンシアター
1. あくび
2. Loop
3. skip
4. かさぶた
5. アナログ
6. Little birds
7. ハッピーエンド
8. 風
9. 東京キッド(ご当地ソング、美空ひばりさんカバー)
10. イエスタデイ(ザ・ビートルズカバー)
11. お砂糖ひとさじで(メリーポピンズより)
12. 夢やぶれて(レ・ミゼラブルより)
13. 変わらないもの
14. hiker
15. 白い泥
16. perfect scene
17. スピン
18. ひかりのあと
19. なんでもないや
20.スピカ
アンコール
21. まぶしい
22. YELL
23. 夜明けをくちずさめたら~あくび
![](https://encount.press/wp-content/themes/encount.press-pc/img/hatena_white.png)