「報道の自由があるから」テレビ局の撮影に保護施設の犬が錯乱→負傷 所長ぼう然「泣き寝入りするしか」
岡山にある動物保護施設「ワニガメ生態研究所」で5日、暴風により施設の一部が破損、「ヘビが逃げ出した」というデマが拡散するなど騒動となっている。現地では通報を受けた警察の他、「報道の自由」を掲げるテレビ局のクルーが連絡なしに押しかけてトラブルとなる事案も発生。一体何があったのか。施設の荻野要所長に詳しい話を聞いた。

暴風により施設の一部が破損、脱走はなかったものの一部でデマ情報が拡散
岡山にある動物保護施設「ワニガメ生態研究所」で5日、暴風により施設の一部が破損、「ヘビが逃げ出した」というデマが拡散するなど騒動となっている。現地では通報を受けた警察の他、「報道の自由」を掲げるテレビ局のクルーが連絡なしに押しかけてトラブルとなる事案も発生。一体何があったのか。施設の荻野要所長に詳しい話を聞いた。
「TV局の方が突然来られました。いぬたちが吠えます。お米丸が錯乱し、症状が悪化するので遠慮して下さるようお願いしたのですが『報道の自由』と言われ、聞き入れてもらえませんでした。暴れた部屋の片付け、再び錯乱状態になり血まみれになった部屋の掃除…また振り出しに戻りました…報道…」
今月5日、テレビ局の強引な取材によるトラブルを報告した投稿は、6000件を超えるリポスト、3万件超の“いいね”が寄せられるなど大きな話題に。局側の姿勢には「なんてことを…酷い」「勝手にやってきて報道の自由と言われても…」「警察よべばよかったのでは」「取材したいならアポを取るのが筋」「報道の自由をはき違えすぎてる」「自由と身勝手をはき違えてますね」「報道の自由という名を借りた暴力と動物虐待でしかない」「犬に優しくない人は本当に許せない」と批判の声が相次いでいる。
ワニガメ生態研究所では同日、暴風により施設の一部が破損。幸い保護動物は全頭無事で、飼育容器の損傷や脱走はなかったものの、一部で「ワニが逃げた!」「ヘビが逃げた!」といったデマ情報が拡散した。事態はそれだけにとどまらず、テレビ局2社のクルーが突然訪れ、敷地外から内部を撮影。人に慣れていない犬など一部の動物が興奮し、錯乱状態となって出血を伴うけがを負ったという。
「突然やってきて、『撮影させろ』『報道の自由があるから』の一点張りで、犬たちが怖がるからと説明してもまったく聞き入れてもらえませんでした。たまたまヘビが逃げたというデマの通報を受けた警察の方が来ていたので、何とかできないかお願いしたんですが、法律上敷地の外から撮影するぶんにはどうしようもできないと。被災地などでの無茶な取材の話は聞いていましたが、された側は泣き寝入りするしかありません」
同施設はペットのワニガメの遺棄が社会問題となっていた1996年、行き場のなくなったは虫類保護のために設立。施設はその後、長年の活動実績が評価され、日本初の特定外来生物・特定動物飼育保護許可施設に認定されている。現在は5000平米もの飼育施設で600頭あまりの動物を飼育。莫大(ばくだい)な施設の運営資金をまかなうため、所長の荻野さんは本業である建設業の利益のほとんどを保護活動に充てている。
施設に送られてくるのは、は虫類以外にも、人を襲った大型犬や数百万円もの手術を受けなければ生きられない猫など、他に引き取り手がなかった動物たち。どんな依頼も断らない姿勢から、荻野さんは「保護動物の最終引き受け人」と呼ばれている。
