24歳・由薫、初挑戦の朗読劇で得た“新発見” メジャーデビュー4年目での「原点回帰」
シンガー・ソングライターの由薫が2月3日から東京・南青山のsong & supper BAROOMで上演される朗読劇・Song Storytelling in BAROOM『ピーター・パンとウェンディ』でピーター・パン役を務める。2025年の初舞台にして、初挑戦となった朗読劇への出演。22年にメジャーデビューして以来、ただひたすらに走り続けてきた24歳にとって、今年は「原点回帰」の1年になりそうだ。
朗読劇ピーター・パンとウェンディ』でピーター・パン役に挑戦
シンガー・ソングライターの由薫が2月3日から東京・南青山のsong & supper BAROOMで上演される朗読劇・Song Storytelling in BAROOM『ピーター・パンとウェンディ』でピーター・パン役を務める。2025年の初舞台にして、初挑戦となった朗読劇への出演。22年にメジャーデビューして以来、ただひたすらに走り続けてきた24歳にとって、今年は「原点回帰」の1年になりそうだ。(取材・文=中村彰洋)
『星月夜』をはじめとした多数の楽曲たちを精力的にリリースしてきた由薫だが、今回は朗読劇という音楽とは異なる形での表現方法に挑戦する。
「基本的には何にでも挑戦したいタイプなのですが、今回は本当に自分がやりたいと思えないと迷惑を掛けてしまうと思い、しばらく考えました。これまでは基本的に音楽しかしてこなかったのですが、去年初めてナレーションのお仕事をさせていただいた時の経験がとても印象に残っていました。音楽とは別ベクトルでの声の使い方が勉強になりましたし、自分とは畑の違う方々の仕事ぶりを見てインスピレーションを受けました。その経験もあったので、今回も絶対に良い経験になると思い、挑戦することを決めました」
今回の朗読劇は、朗読パートはもちろんのことながら、歌唱パートもふんだんに盛り込まれている。歌を生業としてきたが、これまでの歌い方とは異なる気付きを得ることができたと明かす。
「歌パートが多いので、ちょっとラッキーぐらいに思っていたんです(笑)。だけど、普段私が歌っているものとは、全く違うものでした。感情がどんどんと動いていく様子を表現しなければならないので、セリフがメロディーに乗っているという感覚でした。私が普段から歌っている歌とは違った表現の仕方なんだなと実感しました」
台本をもらって演じることで、「普段の自分をもう1回、見つめ直すことができた」とも語る。「私が演じるピーター・パンはめちゃくちゃ笑うんです。いろんな笑い方がある中で、『じゃあ笑ってください』と言われた時、うまく笑うことができなくて、『アハハハハ』と棒読みになってしまったんです。それで、『笑うってなんなんだろう』と日常で自分が笑う瞬間を考えました」。
これまでとは違ったフィールドでの挑戦。ここでの経験が後の活動にもつながってくると前向きに捉えている。
「最初はどうやって劇というものに向き合えばいいのかが分かりませんでした。私はデビュー時からタイアップ楽曲が多くて、タイアップで何かに向かって曲を作ることがすごく好きなんです。今の事務所に入るきっかけも、映画の主題歌を作るというオーディションでした。その当時の気持ちを思い出して、主題歌を書き下ろすのと同じような過程で、『ピーター・パン』という作品と向き合っていけばいいんだと考えるようにしたら、ちょっと気持ちが楽になりました。
そうすることで自分なりの表現ができるんじゃないかなとも思っています。演技で戦おうなんて思っちゃダメだとは初めから分かっていましたが、自分なりのアプローチの仕方はそういうことなのかなと気付いてからは、より練習が楽しくなっています。本番だからこそ感じることのできる楽しさもあると思うので、本番後には、また演技に挑戦したくなっているんだろうなと予想しています」
2025年という1年は「自分を見つめる年」に
由薫が表現活動をしたいと考えるようになったのは15歳の頃。当時、表現の手段として選択したのが音楽だった。
「子どもの頃に自己表現をしたいという思いが先行して、その手段を何にすればいいのかに悩んだことを覚えています。でもその時に、子どもながらに音楽が1番合っているなと考えました。
演技だと与えられた役の中で自分を表現すると思いますが、当時は自分の思いを落とし込みたかったんです。それによって自分自身をもっと知りたいという思いが強かったので音楽を選択しました。でも、デビューからいろんな経験をさせてもらって、今だからこそ、何かを演じることによってでしか気付けない新しい発見があるだろうなとも思うようになりました」
22年のデビューからたくさんの楽曲リリースや国内外でのライブなど、怒涛の数年を駆け抜けてきた。だからこそ、2025年という1年は「自分を見つめる年」にしたいと表現する。
「振り返ってみるとデビューしてから、かなりの数の楽曲をリリースしていました。周りのスタッフさんたちとも話し合ってたどり着いた今年の個人的な抱負が『見つめる』なんです。リリースすることももちろん大事ですが、自分自身や周りの世界をじっくり見つめて、それによって曲が生まれてくるという原点に戻りたいと思っています。
朗読劇で今年が幕を開けることも、1年を象徴しているのかなと思っています。音楽のことを考えず、劇に向かい合う。そうすることでまた新しく生まれるものもあるだろうなと思っています。今年はいろんな作品を見たり、その背景や歴史までしっかりと見つめていきたいです。今回の劇も、共演の菜々香さんについてはもちろん、脚本の伝えたいこと、原作の伝えたいことなどをじっくりと考えていきたいです。こうやって見つめていくことが、きっと私のこれからに生きてくると思っています」
由薫にとって真価が問われる1年が始まった。朗読劇は、まさにそんな1年の幕開けにふさわしい挑戦となりそうだ。「実際に本番が終わった時にどんな感情になっているのか、自分でもワクワクしています」。
□由薫(ユウカ)2000年7月9日、沖縄生まれ。幼少期をアメリカ、スイスで過ごす。22年にメジャーデビュー。23年にはテレビ朝日系ドラマ『星降る夜に』の主題歌『星月夜』が各種チャートで1位を獲得するなど大ヒット。以降も多数の楽曲をリリース。25年3月にはEP『Wild Nights』の配信リリースと東名阪ツアーが予定されている。2月3日からは、初の朗読劇Song Storytelling in BAROOM『ピーター・パンとウェンディ』に出演する。