漫画家・江川達也は「容赦ない」 まな弟子・山田玲司が称賛するズバ抜けた才能「ちょっとぶっ壊れている」
ラブコメ漫画『Bバージン』など青年誌を主戦場に人気を博した山田玲司先生の漫画家としての人生を変えた存在がいる。それが『BE FREE!』『東京大学物語』などで知られる江川達也先生だ。

今でも“恩人”として敬愛「サービス精神の人なんです」
ラブコメ漫画『Bバージン』など青年誌を主戦場に人気を博した山田玲司先生の漫画家としての人生を変えた存在がいる。それが『BE FREE!』『東京大学物語』などで知られる江川達也先生だ。
幼少期から“神様”と崇めていた手塚治虫先生に憧れて目指した漫画家の道。そんな山田先生が最も影響を受けたのは、大学生時代に初めてアシスタントとして師事した江川先生だった。
山田先生が19歳だった当時、江川先生は『BE FREE!』でブレイク。山田先生はアシスタントとして、江川先生のもとで同作の連載を手伝った。
「江川さんのとこで働くようになって、僕の絵はヘタなんだと痛感しました。でも、できたネームは江川さんが見てくれるので、あっという間に漫画のレベルが上がりました。当時、最も絵のうまい漫画家の1人でしたからね。『原稿の色塗っといて』と渡された絵が、自分の絵とは全く違うんです。『これがプロの原稿か』と愕然としましたね」
江川先生のもとで、メキメキと力をつけていった山田先生。手塚先生に憧れて漫画の世界に飛び込んだものの、青年誌を主戦場とするようになったことには、江川先生の存在が大きかった。今でも「恩人の1人」と感謝を口にする。そんな江川先生の“スゴさ”について山田先生は分析する。
「狂ったことを言いながら、いろんなことを分析しているんです。本当に“江川達也劇場”が横で展開されていましたね。勝つためには何でもするところがあって、容赦ないんです。『週刊少年ジャンプ』で連載していた時は、どんな話を描くと順位が上がって、どんな時に下がるかとか、人気投票を毎週分析してデータ化していたんです。
少年漫画で勝つ方法と、青年漫画で勝つ方法が違うということも分かりやすく教えてくれましたね。青年漫画で勝つ方法はスケベ・アクション・人情とハッキリと言い切っていました。体力の化け物みたいなところもあって、男としての精力みたいなものが普通の人の10倍ぐらい桁外れのパワーがあるんです。同時に『俺の中には女の一面もあるから、俺には女が分かるんだ』とか言っていましたね(笑)」
漫画家の中には、一つの出版社を軸に連載を続けたり、新作を発表する人もいるが、江川先生はそことは真逆の道を進む人だった。
「あの人は全部の雑誌に載ったことを自慢しているんです。誰とも仲良くしないから、敵を作るんですよね(笑)。『僕は全部の雑誌で描いたけど、山田くんはどこで描きましたか?』みたいなマウントでイジられたこともありましたね(笑)」
そんな一癖も二癖もあるような人だったと説明しながらも、「僕は今でも江川さんが好きなんです」と素直な思いも口にする。
「江川さんってエンタメの人で、サービス精神の人なんです。それでいて、ちょっとぶっ壊れている。だから漫画家に向いてるんです。出会ったころはまだ江川さんが25歳ぐらいでしたが、今と変わらないです。毒舌で面白くて、普通のことを言わない人でした」
山田先生は現在、動画配信者として、「山田玲司のヤングサンデー」といった配信チャンネルを持っている。そこではさまざまな著名人と対談を行う企画も行われているが、「江川さんはヤングサンデーの最終回要因ですね」と笑う。動画内で“師弟対談”が実現する日がいつか訪れるだろう。
