10時間23分、前代未聞の超ロング会見…フジ役員が全力で守った87歳日枝久氏と幹部社員A氏【記者レポート】
元タレント・中居正広氏と20代女性との「性的トラブル報道」を巡り、フジテレビは27日、前代未聞10時間23分に渡って「やり直し会見」記者会見を行った。午後4時からスタートし、終了は深夜2時23分。「フルオープン形式、時間無制限」の宣言通り、191媒体、437人を集め、最後まで残って挙手した参加者は、最低1度は質問の機会を与えられた。過去の吉本興業会見、ジャニーズ事務所会見の5時間を超える長さで、引責辞任を発表した港浩一社長、嘉納修治会長ら5人の役員は我慢強く回答。だが、これまでの主張を繰り返すのみで、実権を握るとされる87歳の日枝久取締役相談役、トラブルへの関与が疑われている幹部社員A氏を守ることに終始した印象だった。
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「フルオープン形式、時間無制限」で、191媒体、437人が参加
元タレント・中居正広氏と20代女性との「性的トラブル報道」を巡り、フジテレビは27日、前代未聞10時間23分に渡って「やり直し会見」記者会見を行った。午後4時からスタートし、終了は深夜2時23分。「フルオープン形式、時間無制限」の宣言通り、191媒体、437人を集め、最後まで残って挙手した参加者は、最低1度は質問の機会を与えられた。過去の吉本興業会見、ジャニーズ事務所会見の5時間を超える長さで、引責辞任を発表した港浩一社長、嘉納修治会長ら5人の役員は我慢強く回答。だが、これまでの主張を繰り返すのみで、実権を握るとされる87歳の日枝久取締役相談役、トラブルへの関与が疑われている幹部社員A氏を守ることに終始した印象だった。(取材・文=柳田通斉)
まさに我慢大会だった。全員が高齢の役員たち。司会を務めた上野陽一広報局長が「これで終わります」と言うと、5人はゆっくりと立ち上がって壇上を降りた。そして、フラッシュを浴びながら頭を下げ、会場を後にした。休憩は15分間の1度のみ。午前0時を回ると疲れの色が見え始めたが、日枝氏の辞任を求める声が出ても、「それは御本人決められることです」と繰り返した。
42歳で編成局長になり、50歳で社長に就任。87歳の今も取締役でフジサンケイグループ会長の日枝氏について、フジ・メディア・ホールディングス・金光修社長は「影響力はある」と言った。だが、港氏は現在の混乱を招いたことを「全て私のミスです」と言い切った。
登壇者の話を総合すると、日枝氏は現場介入をすることはなく、今回トラブルについても「事案は報道で知ったと思われる」「その件で話はしていない」と説明した。17日に参加メディアを限定し、映像撮影を認めなかった「閉鎖的会見」についても、港氏は「私が決めました」と日枝氏の意向ではなかったと強調した。
その上で、新社長に就任するフジ・メディア・ホールディングスの清水賢治専務は「正月に里帰りすると会う親せきのおじさん」と日枝氏を表現し、金光氏は「非常にいいアドバイスをいただくことがあります。ただ、私は是々非々で対応しています」と明かした。遠藤龍之介副会長は「編成局員だった26歳の時、日枝さんは編成局長でした。恐怖を感じたこともあります」と吐露した。だが、「第三者委員会の調査が終わった後、それぞれの役員が判断することだと思います」とあらためて進退は日枝氏に委ねるした。そして、質問者から「視聴者と日枝氏のどっちを取るのか」と迫られた金光氏は「そういう二者択一のような考えはないです」と切り返した。
トラブルへ関与は疑われている編成幹部A氏については、港氏が全力でかばい続けた。会見前、上野局長が「当社は現在も2023年6月に発生した事案当日の食事会に社員Aは関わっていないと思っております」と説明した。会見が始まり、「その根拠は」「女性には聞いたのか」を問われた港氏は「女性には話を聞いていませんが、中居氏、A本人、Aの通信履歴を調べてそう判断しています」と返した。
記者が「通信履歴は消せる」と主張すると「消せる暇もない状況で調べました」と返答。中居氏の女性との関係性については「もともとAとは関係なく、仕事を通じて知り合っていた」と補足もした。だが、一部報道ではトラブルが起きた案件の数日前、中居氏の自宅でバーベキューが行われた際には、女性はA氏に声をかけられて参加するに至った。参加者は10人以上だったが、最後は中居氏、A氏、女性が残って、中居氏の提案で向かった寿司店で初めて、女性が断り切れずに中居氏に携帯電話の番号を教えたとされている。港氏はこの報道を把握しておらず、「これまでの調査でも分かっていないのか」の問いは「そうです」と返した。
中居氏への聞き取りは23年7月以降に複数回。誰が聞き取り役を担当したかについては、港氏は「幹部社員です」と説明。「それはA氏では」と突っ込まれると、「Aではないです」と返答した。途中、質問に立ったフジテレビ社会部記者からも「A編成幹部は社長と懇意にしてたと聞いています。守りたいとか、隠したいという気持ちはありませんでしたか」と切り込んだが、港氏は「Aが(事案に)関与しているのではないかという話を知ったのは、昨年夏以降に聞きましたので、そういう(守る)要素はありませんでした」と釈明。「そういう疑いがあることを把握していたのか」の問いには、「女性がAに嫌悪感を示していることを知ったということです」と言い直した。
ちなみに、女性が被害報告をした昨年6月以降、A氏はより重要ポストについている。同年6月27日付で、編成制作局編成部長に就任。24年7月1日付で、編成局編成戦略センター室長兼編成部長に就任。中居氏がレギュラー出演していた『まつもとtoなかい』『だれかtoなかい』にも携わっており、港氏とA氏の関係性についても第三者委員会による調査の対象になるとみられる。
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