タワマン&高級外車生活が一転、全財産15万円 四千頭身・後藤の反省「お金使う以外のボケを」
“お笑い第7世代”の代表格として知られる四千頭身。立ち位置中央の後藤拓実(27)はかつてタワマン生活を送り、高級外車で仕事へ向かっていたが昨年に生活が一変。一時は全財産15万円になるまで追い込まれた。一番苦しかった時期について後藤が昨年末に刊行した2019年から5年間書き続けたコラム集『安心できる男(ひと)』を見ながら振り返った。中編。
税金、家賃、引っ越し代で貯金が底をついたことも
“お笑い第7世代”の代表格として知られる四千頭身。立ち位置中央の後藤拓実(27)はかつてタワマン生活を送り、高級外車で仕事へ向かっていたが昨年に生活が一変。一時は全財産15万円になるまで追い込まれた。一番苦しかった時期について後藤が昨年末に刊行した2019年から5年間書き続けたコラム集『安心できる男(ひと)』を見ながら振り返った。中編。(取材・文=島田将斗)
輝かしい生活はずっとは続かなかった。23年ごろにはお茶の間の関心を集めたタワーマンションを退去。税金、家賃、引っ越し代、余裕があると思っていた貯金はみるみるうちに目減りし、底をつき、借金ギリギリだった。
「(収入が)地まで落ちて、そこで初めて『やばい』となりました。収入が減ってから気が付いたんです。『そういえば暇だったな』と。昼間だけの仕事が多かったんですよね」
仕事がなくなり気が付いたのは、大きな出費よりも“いらない”小さな出費をたくさんしてきたこと。6万円の服、7000円の灰皿、3万円の砂時計……。振り返ると使わないものばかりだ。
「ロケで年商何億のセレブと1日の出費対決をして、かかっちゃったんですよね。そこでバーカウンターも買ってセレブ相手に逆転勝利したんですけど、あのときの勝利は果たして必要なものだったのか。バーカウンターなんていまは手元にないですしね。お金を使う以外のボケをしろって、もっと考えられなかったのかなって思いますよね」
借金するしかない危機的状況まで陥ったが、窮地を救ったのは、皮肉にも海外カジノを訪れた過去の番組ロケだった。
「本当にお金がなくなったときにふと思い出したんです。ラスベガスロケのドルがどこかにあるなと。めっちゃ探して発見して、換金しに行ったら5万円だったはずが15万円になりました。それでなんとか耐えましたね。何年かたって勝っていたことに気づいたときの方がうれしいです。『また行こう』ともならないし、中毒性のないカジノの勝ち方でした」
現在の役割は「ワンポイントリリーフ」
「いまある貯金額は全部自分のお金じゃない」。急激に貯金が減って得た教訓だ。「『これはお国用』って考え方をすると、なんとなくなくならないお金は分かるようになりました」と恥ずかしそうに視線をそらした。
一番苦しい時期に支えになったのがYouTuberたちだった。芸人とYouTuberと言えば、昨年、“ユーチューバーおもんない論争”が勃発したが後藤は「それは一部の人たちだけでしょ」と笑い、YouTuberへの印象をこう明かした。
「(YouTuberは)あまり面白いことは言わないんですけど(笑)、何時間もカメラを回したりして面白い部分を抽出している。1本の映像を見るとその方々の努力を感じるんです。同年代ぐらいの人たちだし。企画も立てて、演者もやって、編集して。それってテレビの人たちが全員でやってることじゃないですか。それを個人でやっているのはすごいなって。
YouTuberからすれば、僕ら芸人は編集もしなくていいし、企画も立てなくていい。だからこそ自分は演者の部分だけは頑張らないとなと。YouTuberはすごいんですよ。力をもらいましたね」
そんなYouTuberたちに感銘を受け、仕事ひとつずつに全力投球している。本人いわくブレイク中のあの頃は「スタミナのない先発投手」だが、現在は「ワンポイントリリーフ」だという。「このバッターを抑えるぞって。一球一球に気持ちが入りますよね」と“平熱”の27歳が珍しく力を込めた。
「もっと仕事も生活も全てを丁寧にできたような気がします。あの頃はほぼ大学生。若いうちにそれを知れたのは良かった。あれがあるから今は生きるのがうまくなってます」
ブレイク時の姿は現在から程遠いが前を向いている。後悔というよりは反省。普通では経験できない浮き沈みを若くして経験したからこそ後藤の言葉は円熟味を帯びていた。
【書誌情報】
『安心できる男(ひと)』
著者:後藤拓実
発売日:2024年12月6日