『日本一の最低男』香取慎吾は「“光と影”の両面を演じ分けられる」 番組P「新たな代表作を」

俳優で歌手の香取慎吾が主演を務めるフジテレビ系連続ドラマ『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』(木曜午後10時)の第3話が23日に放送される。香取が約11年ぶりにフジテレビ連続ドラマで主演を飾ることでも話題となっている。当て書きで作成されたという同ドラマの脚本。香取演じる“最低男”を通して、どういったメッセージを視聴者に届けようとしているのだろうか。

“最低男”大森一平を演じる香取慎吾【写真:(C)フジテレビ】
“最低男”大森一平を演じる香取慎吾【写真:(C)フジテレビ】

香取慎吾は約11年ぶりにフジテレビ連続ドラマで主演

 俳優で歌手の香取慎吾が主演を務めるフジテレビ系連続ドラマ『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』(木曜午後10時)の第3話が23日に放送される。香取が約11年ぶりにフジテレビ連続ドラマで主演を飾ることでも話題となっている。当て書きで作成されたという同ドラマの脚本。香取演じる“最低男”を通して、どういったメッセージを視聴者に届けようとしているのだろうか。

 香取演じる物語の主人公・大森一平は、テレビ局の報道マンとして家族のケアを全くしない仕事人間だったが、その昭和的な価値観のせいで不祥事を起こし、追われるように退社。人生崖っぷちに追い込まれ、家族嫌いで子ども嫌いの最低男が、選挙に当選するためにシングルファーザーの義弟・小原正助(志尊淳)とその子どもたちとともに暮らすことになり、やがて本気で選挙に立候補することになるという、新しいジャンルの“選挙&ニセモノ家族ドラマ”となる。

 香取がフジテレビの連続ドラマに主演するのは、2014年4月期放送の『SMOKING GUN~決定的証拠~』以来11年ぶり。『人にやさしく』(02年)、『西遊記』(06年)、『薔薇のない花屋』(08年)と、長年にわたって数多くのフジテレビ連続ドラマで鮮烈な印象を残してきた香取。近年はテレビドラマに加えて、映画や舞台、ウェブドラマなどで数々の話題作で主演を務め、卓越した演技力は折り紙付きだ。

 これまでも『人にやさしく』(02年、フジテレビ)、『家族ノカタチ』(16年、TBS)といった視聴者の印象に残る家族ドラマに香取が出演していたことに加えて、血のつながりを持たない人たちが少しずつ本当の家族のようになっていく、子どもたちと過ごす中で考え方が変わっていくという、いわゆるベタな展開や設定に、どこか平成の家族ドラマのような懐かしさを覚える視聴者も多いようだ。

 さらに、今回は“最低男”が主人公であることも注目ポイントだ。第1話の冒頭から子どもの言動に舌打ちし、声を荒げる様子を見せていた一平。「家事育児は任せて。やりたいんだ」と言ってSNSでも“イクメン”アピールしながらも、その裏では家事代行サービスやデリバリーに頼ったりと、全ては選挙に当選するための言動だった。父親像に男性像、さらには新しい家族の形やLGBTQといった令和の時代ならではの社会問題が毎話のテーマになっているという点からは新しさが感じられるドラマとなっていくだろう。

脚本は当て書きで作成された【写真:(C)フジテレビ】
脚本は当て書きで作成された【写真:(C)フジテレビ】

世の中を変えようと奮闘する“最低男”が主人公のドラマ

 プロデューサーの北野拓氏は、“最低男”を主人公にした理由を「テーマの一つとして『“有害な男らしさ”をどう乗り越えるか』という問題を描きたかったから」と語った。また、時代の経過とともに変化していく男性像をていねいに表現することも狙いの一つのようだ。

「ケア労働から最も遠いところにいる昭和的価値観の主人公“最低男”が、令和の価値観を生きる義理の弟や子どもたちと過ごす中で、これからの時代の新しい男性像を模索し、変化していく過程を描くことができると考えました」

“最低男”を演じるのが香取だと決まってからは、当て書きで脚本を作成したとも明かした。

「香取さんが引き受けてくださったからこそ、思い切って“最低男”というキャラクターを作ることができています。香取さんには“光と影”の両面を演じ分けられる絶妙なお芝居の力があるからです。

 香取さんが演じることで、『この主人公は本当は悪い人ではないのではないか』と感じられ、最後までこのキャラクターの行く末を見届けたいと思わせる魅力があると感じています。ドラマ『人にやさしく』などで演じられてきた光の部分、映画『凪待ち(19年)』等で演じられてきた影の部分、その二面性の魅力を同時に一つの作品で引き出すことができれば、香取さんの新たな代表作を作り出せると思いました」

 さらに、北野氏は「解決が難しそうに見えても、目の前の小さなことからであれば、より良い方向に社会を、日本を変えていくことができるという希望を今の時代に届けたい」とドラマに込めた思いを力強く語った。

「日常生活にあふれるさまざまな問題は、政治と切り離せずにつながっています。誰もが未来に不安を抱えている今だからこそ、少しでも明日への活力になり、明日を生きるヒントになるエンターテインメントドラマを毎週届けたいと考えています」

 今後の注目点は、“最低男”がどのように令和の時代に順応していくのかという点だ。

 北野氏は、「前半戦は主人公の最低男が家族や周りの人たちの社会課題と向き合う中で、生活者目線で視野が徐々に広がっていく姿を描きます。そして、後半戦はそんな最低男が立ち上がり、選挙に立候補していく選挙ドラマへとジャンルが横断していきます。最低男がどんな思いで選挙に出ることになるのか、その先にどんな選挙戦が待っているのか、ぜひ楽しみにしていただければ」と今後のさらなる展開を“予告”した。

 初めて「政治家を目指す男」を演じる香取が、「見栄やプライドを捨てきれない強い自分と、優しさや生きづらさを抱える弱い自分との間を行き来しながら、人生のやり直しを懸けて、世の中を変えようと奮闘する“日本一の最低男”」という新しいヒーロー像をどのように演じきるのか、今後の展開に期待したい。

次のページへ (2/2) 【写真】『日本一の最低男』第3話の場面カット
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