加藤シゲアキ、チャリティー小説への思い「葛藤は少なからずあった」 能登地震の被災地で感じたことは
NEWSの加藤シゲアキが21日、都内で行われた能登半島地震支援チャリティー小説『あえのがたり』発売記念会見に出席した。
『あえのがたり』発売記念会見に出席
NEWSの加藤シゲアキが21日、都内で行われた能登半島地震支援チャリティー小説『あえのがたり』発売記念会見に出席した。
加藤、小説家の小川哲氏、今村翔吾氏の3人の呼びかけによって立ち上がった同企画。タイトルは「田の神様」へ感謝をささげる能登地方に伝わる伝統儀礼「あえのこと」から発想され、物語という「あえ=おもてなし」を届けようというコンセプト。企画に賛同した10人の作家による“おもてなし”をテーマにしたアンソロジーが収録されている。
発起人である加藤は、企画が立ち上がった経緯について「2023年直木賞候補になって、それから選考までの1か月の間に地震があった。選考の緊張感がありつつ、自分の中で作家として力になれることはないのかと思うのに至った。被災地を盛り上げたり、支えたりすることはできないのか」と言い、「僕自身30年前阪神・淡路大震災を経験したということもあり、今村さんに『一緒に何かやりませんか』とお話した。夜、(受賞を逃して)残念会に小川さんが来てくださって、来てしまったばかりに『一緒にやりませんか』とお誘いしたのが事の始まりだった」と説明した。
昨年8月下旬、加藤は被災地に足を運んだ。被災地を目にして、まず「インフラが復興するのにかなり時間がかかる」と感じたといい、「珠洲、輪島、たくさんの被災地に行ったがどこも本当に驚くほどの被害。建物が倒れていたり、1階がなかったり、誰が行っても言葉が出ない惨状だと思った。それでも住まれている方がいて、そこに生活があると改めて感じた」と語った。
また、被災地では書店にも訪れ「どのくらい大変だったのか、本がダメになってしまったのか聞いた。被災されても、書籍を求める方がいるし、本屋さんにも人がいる。それを見てチャリティー小説を書く意味があるのかなと思った」。
続けて「チャリティーやりたいと思ったとき僕は寄付すればいい話かと思ったけど、そうではなく産業や仕事っていう部分で何か力になりたかった。自分しかできないものでチャリティー小説を。買って読んで寄付に繋がれば、書店産業を盛り上げることができるのかなと考えた」と述べた。
交流のある作家らに声をかけ、完成したチャリティー小説。加藤は「被災地に行ってどこかで意義を感じながらも、僕のエゴではないかという葛藤は少なからずあった」としながらも、「何もやらないよりは何かしたほうがいいと思った。全作家が心を込めてくれたと感じる。チャリティー小説とあってかたい作品だと思って手を伸ばさない方もいると思うが、そんなことは意識せず、気軽に手に取って読んでもらえればうれしい。すばらしい短編集だと自負している」と胸を張ってアピールした。
チャリティー小説は1月22日発売。参加作家の印税相当額と講談社の売上利益相当額を、能登半島の復興支援に役立てるよう寄付する予定となっている。