芸能界は日々、新たな才能を探している。スカウト、オーディション、紹介。事務所と契約しても、売れっ子になれるのはわずかだが、輝き始めた原石はいる。ファッション雑誌・Seventeen（集英社）専属モデルの平美乃理（たいら・みのり＝20）もその1人だ。ドジャースの山本由伸投手と同じ岡山・備前市で生まれ育ち、「ミスセブンティーン」のオーディションを4年連続で受け、2021年にグランプリをつかみとった。そんな根性娘は、俳優活動に目覚めつつ、特技も生かした未来像を描いている。（取材・文＝柳田通斉）

　所属事務所のイベント「エイベックス・マネジメント・エージェンシー　2025新春参拝＆晴れ着お披露目会」の当日。晴れ着姿の平は、記者と対面するとすぐに言った。

「私、地元の成人式に出るんです。すっごく楽しみで」

　上京から2年。備前市の特別観光大使を務める平は、今も深い「地元愛」を持っている。

「2月23日には『ひなせかき祭』にも出演させていただきます。実は私、中学、高校の実習を経験して1年をかけたカキ養殖ができるんですよ（笑）」

　なかなかない特技だ……。そして、平には「人に言われて気付いた」という別の特技もあった。絵画だ。

「小さい頃から絵を描くことが好きでしたが、高校の時に美術の先生に『めっちゃ、うまいね～。レベルが違う』と言われて、『私ってそうなんだ』と思い、どんどん描くようになりました」

　それは芸能活動にも生きている。MBS・TBS系『プレバト!!』に不定期出演。水彩画部門では番組史上最年少の19歳で名人初段に昇格し、色鉛筆部門でも1位を獲得している。

「テーマを聞いたら自分でロケして、写真を撮ってそれを見ながら描く感じです。正確さが大事なので、可能な限り細かく描く感じですね。特に絵を習ったことはなくて、趣味みたいなものです。特技になってビックリです」

　幼少期から背が高く、当時はコンプレックスだったが、雑誌を見てモデルに憧れを抱いた。11歳からオーディションを受け始め、「ミスセブンティーン」には中2から4年連続で応募。最初の2回は書類落ちで、3回目で面接まで進み、高2で受けた4回目でグランプリを獲得した。

「3回目で落ちた時、『もう、無理なのかな』と思いましたが、エイベックス・アーティストアカデミー大阪校の方から『もう1度、受けてみて』と言っていただきました。そして、思い立って胸の下まであった髪をバッサリ切ってショートにしたら、悪いものが落ちたのかグランプリを獲得することができました」

　周囲のサポートと負けず嫌いでもあったことが、Seventeen専属モデルの夢を叶えた。そして、上京後は演技レッスンも受け、現在は俳優としての成長も期している。

「役のオーディションに落ちて嫌になる時もあります。でも、私が憧れている生見愛瑠さんも『よく落ちていた』と話されていましたし、へこまずに『仕方ない』『さあ、次』と切り替えるようにしています」

　そんな思いの中、昨年は主演舞台を経験。膨大なせりふを覚え、4日間の公演を乗り切った。

「不安もありましたが、やり切れたことで自信になりました。お客さんを前にお芝居をすることが楽しかったです。また、舞台をやりたいです」

　その上で、平は「今年は本当に頑張りたいです。俳優、モデル、アートの全部で」と言葉に力を込めた。負けず嫌いでさまざま可能性を持つ20歳が、本気で飛躍を目指す。

□平美乃理（たいら・みのり）　2004年6月28日、岡山・備前市生まれ。21年に「ミスセブンティーン」のグランプリに選ばれて、セブンティーンの専属モデルに。舞台『無垢ども』で主演を務めた他、テレビ東京系『推しが上司になりまして』、テレビ朝日系『マルス―ゼロの革命－』、MBS『彩香ちゃんは弘子先輩に恋してる』などドラマに出演。昨年、映画『太陽がしょっぱい』では主人公の友人役を演じた。MBS・TBS系『プレバト』には特技の絵画で不定期出演。171センチ。血液型AB。