結婚35年目の黒木瞳、夫は「隣にいてくれないと困る存在」 仕事も充実“4刀流”で幕開け

俳優の黒木瞳が1月24日、25日に東京・有楽町のI’M A SHOWで朗読劇『ルビンの壺が割れた』を上演する。先の読めない展開や驚きのラストが話題となった宿野かほる氏著の同名小説(新潮文庫刊)が原作で2023年の初演から2年ぶりの再演に。前回に続き自身が企画・脚本を務めて主演し、今回は演出も担当する。1985年に宝塚退団後今年で40年。俳優として走り続ける中、2016年に映画監督デビュー後はクリエーターとしても活躍する。私生活では今年結婚35年目の“サンゴ婚式”を迎え、仕事にプライベートに充実した今に迫った。

仕事やプライベートについて語った黒木瞳
仕事やプライベートについて語った黒木瞳

朗読劇『ルビンの壺が割れた』再演

 俳優の黒木瞳が1月24日、25日に東京・有楽町のI’M A SHOWで朗読劇『ルビンの壺が割れた』を上演する。先の読めない展開や驚きのラストが話題となった宿野かほる氏著の同名小説(新潮文庫刊)が原作で2023年の初演から2年ぶりの再演に。前回に続き自身が企画・脚本を務めて主演し、今回は演出も担当する。1985年に宝塚退団後今年で40年。俳優として走り続ける中、2016年に映画監督デビュー後はクリエーターとしても活躍する。私生活では今年結婚35年目の“サンゴ婚式”を迎え、仕事にプライベートに充実した今に迫った。

 都内の稽古場に熱い空気が流れる。現在再演に向けて最終段階に入っており、スタッフと細部にわたって打合せする“主役”の姿があった。

『ルビンの壺が割れた』は、一通のメッセージから始まる男女のやりとりを通じて、過去があぶり出され、最後に衝撃的などんでん返しを迎える物語。原作に感銘を受けた黒木が朗読劇での上演を企画した。今年の仕事は同作品で幕開けし、主演、企画、脚本に加えて演出も務め、“四刀流“に挑む。

「何より原作にほれ込んだので、原作に忠実でありたいと思っています。作品は、初演の時の演出家、川名幸宏さんとしっかりとコミュニケーションをとって作り上げたので、大きく手を加えることもなく川名さんの世界観を大事にし、今回は演出で私のエッセンスを少しだけ加えました。楽しみにしていただけたら」とコメントした。

「ルビンの壺」とはデンマークの心理学者、エドガー・ルビンが考案した多義図形(反転図形)で、見方によって、向かい合う人の顔もしくは壺に見える。

 公演では、オリジナル技法「光彫り」を考案した光彫り作家・ゆるかわふう氏が今回も舞台美術を担当。「ルビンの壺」をイメージした幻想的な舞台セットデザインがステージを彩るのも見どころひとつだ。「この『ルビンの壺』が舞台上で大きな役割を果たします。朗読劇ではありますが、目で見ても楽しんでいただけるステージとなっています」とアピールした。

 今回は公演数を拡大し、東京での再演に続き、2月には九州6か所でも公演予定だ。2月9日には出身地、福岡県八女市でも上演する。“凱旋公演”も楽しみにしているようで、「物語の面白さはもちろん、見終わった後にさまざまなことを考えさせられる作品です。事実(起こった事)はひとつなのに、人の数だけ真実がある現代だからこそ、人の心に刺さる作品だと自負しております」と熱く語った。

俳優とクリエーターは「まったく違う対岸の景色」

 稽古場ではスタッフ一人ひとりに耳を傾けコミュニケーションを図る黒木。その姿は近年クリエーターとしての活躍に通じるものを印象づける。

 1981年に宝塚で初舞台を踏み、85年に卒業後は、映画やドラマ、舞台など数々の作品に出演。持ち前の根性と努力で、俳優としてのキャリアを着実に積んできた。一方で、2016年で映画『嫌な女』で監督デビューすると、その後も長編や短編の映画監督を務めたほか、2022年には宝塚出身の後輩で女優、紅ゆずるのディナーショーの演出を手掛けるなど、活動の幅を広げている。映画監督や演出など、自身にとって“作り手”の魅力とは?

「俳優として作品に参加すると、監督や制作陣の思う世界観を体現することに心を揺さぶられますが、(クリエーターのときは)私が感じた世界観を表現しますので、まったく違う対岸の景色を見られることに魅力を感じます」と明かす。人々を感動させ、ときに“生きるヒント”も与えるエンターテインメント……根底には“エンタメ”の持つ力を信じる気持ちがあり、「エンターテインメントの世界が好きなので、クリエーターとしても演者としても、どちらも大事にしています」と話した。

原動力は家族の理解、ファンらの支え

 そんな黒木を突き動かす原動力について尋ねると、「家族の理解や支えはもちろんですが、見てくださるファンの方や、応援してくださる方々の支えなしではやってこられなかったと思います。感謝しかありません」と感慨深く語る。結婚生活は順調で、1990年に大手広告代理店勤務(当時)の男性と結婚し、今年35年目の“サンゴ婚式”(長い時間をかけ成長するサンゴに例えて)を迎える。毎年結婚記念日にはバラの花束をもらうそうで「いろんなことがありました。私たちは一本の道というより、(夫と自身と)二本の道を一緒に歩いていく夫婦です」と話す。そして「(夫は)口論が出来る人、心が折れそうになった時に支えてくれる人、隣にいてくれないと困る存在です」と笑顔で明かした。

 一方、走り続ける日々の中、もっかの気分転換は、「新しい料理に挑戦することかな」。料理は得意で十八番は「タンシチュー」と明かす。“表現者”としての活動は多忙で、昨年12月放送のテレビ朝日系『きっと明日はイイ感じ!』でバラエティー番組初MCを務めたのは記憶に新しい。1月31日公開のアニメ映画『ベルサイユのばら』ではナレーションを務めており、「ナレーションを任されたことは大変光栄なことでした。宝塚を知るきっかけとなった『ベルサイユのばら』ですので、心からうれしく思っております」と素直に喜んだ。

 健康づくりにも余念がない。昨年、ジムに通い始めたほか、乗馬や剣舞もデビューしたという。「ジムは週2回を目標にしています。ダンスはしていますが体幹が鍛えられますし、お腹のきれいなシックスパックを目指しています(笑)。乗馬と剣舞はさほど回数は多くないですが、やるといい汗をかきます。どれも今年も続けていきたいですね」と継続を誓った。

 最後に今年の抱負を聞くと、「今年は地に足をつけて、これまで通り真摯に作品と向き合い、健やかに過ごせたらと思います」とやさしくほほ笑んだ。

 俳優としてクリエーターとして、その“瞳”は未来を見つめ、確かな足跡を刻んでいく。

□黒木瞳(くろき・ひとみ) 10月5日、福岡県八女市生まれ。81年に宝塚歌劇団で初舞台を踏む。入団2年目で月組娘役トップに就任。85年に宝塚を退団し、俳優に転身。翌86年の映画『化身』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。『失楽園』(97年)では第21回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞した。主な出演作は、映画『終わった人』(18年)、『東京タワー』(2005年)、『仄暗い水の底から』(02年)他。ドラマは近年、テレビ朝日系『JKと六法全書』(24年)、NHK『燕は戻ってこない』(24年)、フジテレビ系『黄昏流星群』(18年)など。2016年に映画『嫌な女』で監督デビュー。1990年に結婚、1児の母。

【公演情報】
朗読劇『ルビンの壺が割れた』
出演:黒木瞳、渡辺いっけい、野口一真(レジスタンス)
詳細は公式サイト:https://fuzimura-mio.com/event/25rubin/

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