3代目サラリーマン金太郎・鈴木伸之、撮影で受けた衝撃「こんなに人を殴っていいのかな」
常識破りの“あの熱い男”が令和の世に帰ってくる――。俳優で歌手の鈴木伸之が、前後編2部作として1月と2月に公開の映画『サラリーマン金太郎』(下山天監督)に主演する。シリーズ累計発行部数3000万部を記録した本宮ひろ志氏の同名人気マンガの映画化で、高橋克典、永井大に続く3代目矢島金太郎の誕生に。くしくも2025年、2010年のデビューから15年という節目の年を迎える鈴木。ENCOUNTでは、作品から刺激を受け、「次の役につなげていきたい」と話す“3代目”に、役者としての思いなどを聞いた。
1月10日に【暁】編、2月7日に【魁】編が公開
常識破りの“あの熱い男”が令和の世に帰ってくる――。俳優で歌手の鈴木伸之が、前後編2部作として1月と2月に公開の映画『サラリーマン金太郎』(下山天監督)に主演する。シリーズ累計発行部数3000万部を記録した本宮ひろ志氏の同名人気マンガの映画化で、高橋克典、永井大に続く3代目矢島金太郎の誕生に。くしくも2025年、2010年のデビューから15年という節目の年を迎える鈴木。ENCOUNTでは、作品から刺激を受け、「次の役につなげていきたい」と話す“3代目”に、役者としての思いなどを聞いた。(取材・文=大宮高史)
同作は、元ヤンキーのマグロ漁師・矢島金太郎が、海で遭難していたヤマト建設会長の大和守之助(榎木孝明)を助けたことをきっかけにヤマト建設に入社し、型破りな振る舞いと持ち前の人間力で周囲を動かしつつ、活躍していくサクセスストーリー。これまで高橋、永井でドラマ化や映画化がされており、今回が令和初となる3度目の実写化となった。前編となる『サラリーマン金太郎【暁】編』が1月10日に公開、後編の『サラリーマン金太郎【魁】編』が2月7日に公開される。
主人公・金太郎について、「原作も読ませていただきました。今の世の中って、聞きたいとを素直に聞けなかったり、言いたいことも言いづらいのかなとって思うので、金太郎の真っ直ぐな言葉は今に生きる僕たちにも響きます。彼の物おじせずにぐいぐいと人に迫り、失敗しながらも成長する金太郎の魅力をしっかりと伝えたいです」。
185センチの長身。中学時代まで野球に打ち込むなど、抜群の運動神経を誇る。本作でもしなやかな体躯が映え、アクションシーンは目を見張る。だが、金太郎の“挙動”には驚いたようで、「サラリーマンなのにこんなに人を殴っていいのかなと(笑)。それに『血管が切れるかも』と思うくらい叫びまくりました。ある駅の近くで撮影した時も、大声で叫んだら通勤途中の皆さんにびっくりされて(笑)。やっぱり金太郎のようなサラリーマンって実際にはいないからこそ、あの豪快さに惹かれるのかなと思いました」。
撮影では海上ロケも敢行した。「冬の撮影だったので、寒さが苦手な僕はスーツの裏にカイロを貼りまくっていました。なのでアクションで動き回ると、今度は汗びっしょりになりました(笑)」と振り返る。実は高いところが苦手という意外な素顔も明かし、「映画冒頭の、船の船首から飛び降りるシーンでは船の高さと僕の目線(身長)を足した高さから海に飛び込んだので、高所恐怖症の身には怖かったですね。しかもいざ飛び込んでみると、カットがかかっても声が聞こえなくて『まだかな』と思いながら泳いでいました。金太郎に引っ張られて、少しはたくましくなれたかなと思います(笑)」。
そして、令和版・金太郎には、「破天荒に見えても、彼のことをつい応援したくなるかわいげを込めました」と打ち明けた。
「ドラマを拝見して、高橋さんも永井さんも、ナチュラルに金太郎になりきっていたので、『どう僕の金太郎らしさを出そうか』と思案しました。そこで考えたのが『いかに客席の皆さんに味方になってもらうか』です。例えば入社早々、取引先を怒らせて金太郎の同僚・一美(影山優佳)から『観葉植物に水でもやってて』と言われてしまうのんですが、素直に水をあげ続けて、『こいつかわいいな』と思ってもらえたら」と役作りの一端を明かす。さらに、「それでいてエレベーターの中で専務にたて突いたり、恐れることなく社長に物申したり、現実ではなかなか考えられないスカッとしたこともやっています。見てくれた人が、明日からの一歩を踏み出せるきっかけになれたら最高です」とさわやか笑顔を見せた。
デビュー15周年も「時の長さを実感することはほとんどない」
2010年に俳優業をスタート。22年からは歌手活動も始め、24年11月には初のミニアルバム『Action』をリリースした。俳優と歌手の両輪で多忙な日々を送っている。
「ひとつの現場が終わると、すぐモードを切り替えられます。マイナスの気持ちを引きずることは少なくて楽観的な方でしょうか。音楽もお芝居も、ていねいに接していくことを心掛けています」
「では、最もこだわった経験や作品は?」と質問すると、「まだ決められないですね」という答えが返ってきた。そこには俳優としての思いがあった。
「来年デビューから15年になりますが、時の長さを実感することはほとんどないんです。気づいたらこれだけの時間が過ぎていたな、という感覚です。10年後は40代、その10年後には50代に……あっという間に時間は過ぎてしまうと思います。これまでヒットした作品に参加させていただいたこともありますが、一つ一つの演技がいい加減では、皆さんの記憶にも残らない存在になってしまう。だからこそ、ありきたりではありますが、見る人の感情を動かせる芝居を続けていきたいです」
先を見据え、演技の引き出しを増やすため日々の鍛錬には余念がないといった感じだ。加えて、「これからももっとビッグな作品に出ていきたいですね」と上昇志向ものぞかせた。
「金太郎のように、裏表なくはっきり自分の意見を言って生きていくには困難も伴います。でも本音を押し殺して生きていくよりは人生が楽しくなるかもしれません。僕自身も、彼からもらった熱さを保って、次の役につなげていきたいです」と熱く語った。
企業社会に旋風を起こすヒーローから後悔しない生き方のヒントを得て、生涯俳優を続けていく。
□鈴木伸之(すずき・のぶゆき)1992年10月14日生まれ、神奈川県出身。2010年、劇団EXILEに加入し、同年に舞台『ろくでなしBLUES』に出演しデビュー。以降、ドラマ、映画、舞台、CMなど幅広く活躍中。主な出演作は映画『桐島、部活やめるってよ』(12年)、NHK朝ドラ『半分、青い。』(18年)、ドラマ・映画『HiGH&LOW』シリーズ、フジテレビ系ドラマ『バントマン』(24年)など。24年11月27日には初のミニアルバム『Action』をリリースした。