銀座の店舗では入場規制 インバウンド人気爆発、日本のスニーカーブランドに驚きの声「部活で履いてました」
日本を訪れる外国人旅行客は、何を買っているのだろうか。そのヒントはホテルの部屋のゴミ箱にある――。日々清掃で回収されるゴミの中にはインバウンドがお土産として買った商品の紙袋やケースが捨てられている。今、外国人に人気の日本ブランドとは。
日本観光で求める「特別な体験」
日本を訪れる外国人旅行客は、何を買っているのだろうか。そのヒントはホテルの部屋のゴミ箱にある――。日々清掃で回収されるゴミの中にはインバウンドがお土産として買った商品の紙袋やケースが捨てられている。今、外国人に人気の日本ブランドとは。
昨年に続き、今回も東京・台東区の「カンガルーホテル」のオーナー、小菅文雄さんに協力を打診した。同ホテルは本館と別館を合わせて32部屋を運営。2024年の稼働率はほぼ100%で、日本のみならず世界中から観光客を受け入れている。
シングル1泊の価格はベース料金が4000円で、宿泊費の高騰が続く都内の中ではかなりリーズナブルだ。年末年始は6泊7日を宿泊の条件にしたものの、全室外国人観光客の予約で埋まった。中国、韓国が最も多く、東南アジアや欧米からの観光客も訪れている。
カンガルーホテルでは、日々の清掃を業者に頼まず自分たちの手を行っている。中でもゴミの回収は欠かせない仕事の1つだ。特に紙袋などリサイクルできるものは丁寧にまとめて保管・破棄している。今どんな商品が日本で買われ、お土産として人気があるのかは、その過程でおのずと傾向を知ることができる。フィギュアの箱やガチャガチャのカプセルは1年を通じて多いという。
衣類では海外ブランド品が目立つ。
「部屋で捨てられた紙袋や箱はハイブランドのものが多いですよね。この安いホテルに泊まってセリーヌだ、シャネルだ、グッチだと大量に捨ててあるという乖離(かいり)があります。日本人もバブルのころは円高だったから買い物ツアーで海外旅行に行って帰ってくることを批判されてた時代がありましたけども、その逆みたいな感じなのでしょうか」
実際、都内のハイブランド路面店では観光バスから降りて来た外国人が大挙して入店する姿もおなじみの光景になった。円安の追い風もあり、日本で外国製の高価な商品を買うことが一つの“定番”になっているようだ。
一方、日本ブランドのアパレルも負けてはいない。
「ユニクロ、GU、無印良品とかファストファッションの袋もすごく捨てられていますね。日本のお土産としてトップクラスなんだろうなと思います。浅草のお店に行くと、Tシャツとかも外国人が好きそうな浮世絵の柄だったり、シフトしますよね」
いずれも財布に優しく、安定した品質が売り。ユニクロは全世界に展開していても、日本で買うことは外国人観光客にとって特別な体験を意味している。商品のラインアップやサイズも母国の店とは異なるものがあるのだろう。
銀座店は入場規制「びっくりしました」
さらに、小菅さんが注目している日本ブランドがある。
「オニツカタイガーが人気ありますね。スカイツリーに店舗を持っていましたし、コロナ禍前から知られていましたが、コロナ禍以降のほうがすごく盛り上がっている気がします。銀座店とか入場規制していると聞いてびっくりしました。中学の時、僕らは部活で普通に履いてましたから(笑)」
同ブランドは1949年に鬼塚喜八郎氏が創業。アシックスに統合され、一時は姿を消したものの、2002年に復刻。映画「キル・ビル」に登場して国際的な知名度を高めると、マーケットが急拡大し、今や海外セレブからも熱い支持を集めている。
スニーカーはお土産の中でもトレンドが分かりやすいジャンルだという。
「面白いのは捨てられる箱の傾向でこっちがはやっているとか、新しいスニーカーメーカーが出てきたなとか、なんとなく分かります。2024年で言えば、On(オン)とかHOKA(ホカ)とか新興勢力が出てきました」
新旧入り混じる中でのオニツカタイガーの奮闘。「日本のブランドが昔とは違ったイメージになって世界に伝わっているんだなと思います。作りが丁寧とか、ものづくり日本というのがいい意味で評価されている」と目を細めていた。