【新日本】辻陽太のぶれない信念「世界最高のプロレスは新日本にあり」

「覚悟はいいか?」昨年、2年弱に渡る海外武者修行を経て凱旋帰国を果たした辻陽太は、コメントの最後にいつもこう問うてきた。コメントはその時々のシチュエーションで変化してきたが、辻の考えにはぶれはない。「世界最高のプロレスは新日本にあり」……2024年、しっかりと実績を残した辻に、この1年間を振り返ってもらった。

G1で対戦したTAKESHITAには辛辣な発言【写真:橋場了吾】
G1で対戦したTAKESHITAには辛辣な発言【写真:橋場了吾】

新日本プロレスでやっていく中で大事なのは“削っていく”こと

「覚悟はいいか?」昨年、2年弱に渡る海外武者修行を経て凱旋帰国を果たした辻陽太は、コメントの最後にいつもこう問うてきた。コメントはその時々のシチュエーションで変化してきたが、辻の考えにはぶれはない。「世界最高のプロレスは新日本にあり」……2024年、しっかりと実績を残した辻に、この1年間を振り返ってもらった。(取材・文=橋場了吾)

 今年春に行われた『NEW JAPAN CUP 2024』で見事優勝を果たした辻。28選手が参加したこのトーナメントの決勝で、「春男」の異名をとりベテランの最後の砦ともなっていた後藤洋央紀に勝利。この試合は、東京スポーツ新聞社制定のプロレス大賞ベストバウトを獲得した。

「素直にうれしいですよね。自分にとって大切な試合が選ばれたというのは、これ以上ない喜びです。シチュエーション的には後藤さんの方が優勢だなというのは試合が始まる前から感じていたんですが、それをひっくり返して、全部自分のものにできるという自信はありました。実際、試合が終わったときにはその通りになっていて、自分の思い描いた流れをそのままゲームプランにできたという試合でしたね。新日本プロレスでやっていく中で、“削っていく”ことはすごく大事なことだと思うんです。ただひたすらに技を重ねるだけでは、本当に自分が見せたいものが薄れていくので、いかにシンプルに自分の戦いをするかという感じでした」

 凱旋(がいせん)帰国試合で当時SANADAが保持していたIWGP世界ヘビー級王座に挑戦した試合では、インパクトのある技を多数披露した辻。しかし、今年のNJC決勝では出す技を絞っていた。

「凱旋に関しては、とにかくインパクトを残したかったので、自分のできる技を全部詰め込んだっていうのもありますね。派手な技もたくさん使いましたし。でも、この1年ちょっと新日本で戦ってきて、徐々に削ぎ落としていって、本当に今の自分に必要なものだけを詰め込んだという感じですね。(夏の)『GI CLIMAX 34』に関しては、春夏2連覇は相当意識していましたけど、春と違って追う側から追われる側になったことで身体へのダメージもハードになりましたし、その中で決勝まで進むことができたのは大きな収穫でした」

NEW JAPAN CUPを制した辻陽太【写真:(C)新日本プロレス 】
NEW JAPAN CUPを制した辻陽太【写真:(C)新日本プロレス 】

TAKESHITA選手はすごい…ただ新日本プロレスのことを分かっていない

 そのGIで、辻にとっても気になる存在が現れた。DDTとAEWの二団体に所属しているKONOSUKE TAKESHITAだ。

「(TAKESHITAは)僕の上位互換のような選手だと思います。運動神経もいい、背も高い、体格も僕より一回り大きい……僕をさらにレベルアップしたくらいのものを持っている選手ですよ。リーグ戦初戦で負けて、決勝トーナメントでリベンジしたんですけど、あのシチュエーションは僕が有利でしたね。というのも、僕は新日本でハードなシングルの連戦を経験していますけど、TAKESHITA選手は海外でもDDTでもこんなハードな巡業は経験していないと思うので。この状況に慣れていた僕が有利だったので勝てたと思いますけど、同じ条件だったらどうだったか。

 これだけ認める選手ではありますけど、ひとつだけ気にくわないのは『俺はメンター(中邑真輔)からストロングスタイルを背負わされた』みたいな発言をしたこと。お前のやっているプロレスはケニー(・オメガ)とそっくりだよ、新日本プロレスは違う、(胸をたたきながら)ここで戦うプロレスだぞと。注目を集めたかっただけでしょうけど。数年前に社長とのイデオロギー闘争がなぜ起こったか、ケニーから聞いてくるといいですよ」

(29日掲載の後編へ続く)

次のページへ (2/2) 【写真】辻が石碑の上で逆立ちする姿
1 2
あなたの“気になる”を教えてください