路上喫煙全面禁止まで1か月、大阪市で聞いた愛煙家の声 ポイ捨てには憤り「そういうことは絶対しない」
来年4月13日に大阪・関西万博の開幕を控える大阪市で、1月27日からこれまで6地区だった路上喫煙禁止地区を市内全域へ拡大する改正条例が施行される。市が目指した140か所以上の喫煙所に確保の見通しが立ち、万博までに計300か所の確保を見込んでいるという。それでも十分ではないという意見がある中、喫煙者はどう考えているのか、直撃して実際の声を聞いた。
「喫煙スポットが増えたらいいよね」の声も
来年4月13日に大阪・関西万博の開幕を控える大阪市で、1月27日からこれまで6地区だった路上喫煙禁止地区を市内全域へ拡大する改正条例が施行される。市が目指した140か所以上の喫煙所に確保の見通しが立ち、万博までに計300か所の確保を見込んでいるという。それでも十分ではないという意見がある中、喫煙者はどう考えているのか、直撃して実際の声を聞いた。
約50年間、吸っているという大阪市の自動車関連の個人事業主(72)は路上喫煙全面禁止に「時代の流れやね」と理解を示し、「大学の時から吸い始めて、喫茶店をよく利用してたけど、ここ20年ぐらいで締め付けが厳しくなった」と実感を口にした。天王寺駅前や京橋の指定喫煙所の利用者。数が少ないと感じるか尋ねると、「そら思います。探すんですよね。吸えるとこを」と明かした。
「(喫煙所が)ようけあったらポイ捨ては減るんでは。(実際どうか)気になるね」。マンションの清掃の仕事もしているといい、余計にポイ捨てには敏感だ。現状については「いっぱいたばこが落ちてるね」と同じ喫煙者の行動を残念がった。
「人の放ったヤツを掃除してるんで、そういうことは絶対しない」と自身の姿勢を強調。現在は「携帯灰皿を利用しつつ、家族がいないときに1日10本ペースで吸っている」と説明した。血圧が高く、医者から“卒煙”を助言されているというが、自動車修理に手こずり、イライラしたときの一服で「うまくいくことがある」とリフレッシュ効果に言及するなど“たばこ愛”は深い。
昨年2月と11月に喫煙所増設関連の陳情書を市議会に出した天王寺区商店会連盟の佐野嘉昭会長(73)は、自身が喫煙歴約50年で、現在も1日40本のヘビースモーカー。「喫煙者が減ったら、税金を上げればいいというのは好きではない。意地で吸うてる」と笑いつつ、指定喫煙所の早急な増加を願った。
12月上旬、難波の高島屋大阪店前。4キロの御堂筋内に現在1か所しかない公設喫煙所には、ひっきりなしに人が出入りした。大阪屈指の繁華街という場所柄、外国人も含めた老若男女が利用。一服してはすっきりした表情で足早に去った。喫煙所から出てくるなり、消臭スプレーを使用した着飾った年配女性は、目前に迫った路上喫煙全面禁止を「覚悟はできてます」と受け止めた。場所をわきまえて吸っているといい、喫煙所が少ないという声があると聞くと、「それはねえ」と同意してうなずいた。
他府県在住で月に1度は大阪市を訪れるという無職の65歳男性も「何十年と吸い続けている」というベテラン。禁煙全域化については「ニュースで知ってました。万博のこともあるんでしょ。もともと吸えない場所があるし」と驚きはないとした。改正条例施行後について聞くと、「喫煙スポットが増えたらいいよね」と同様の考えだった。
マナーを守る“優等生愛煙家”は、厳しくなる一方の世の中と共存していく。