池田エライザ、シンガー母の存在に感謝 日曜劇場でジャズ歌唱「自分の中に表現の引き出しがあった」
TBSでは、日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』が放送中。本作は、1955年からの石炭産業で躍進した長崎県・端島と、現代の東京を舞台にした70年にわたる愛と友情、そして家族の壮大な物語だ。主演・神木隆之介が演じるのは、端島の炭鉱員の家で生まれ育った明るくまっすぐな鉄平。戦後復興期から高度経済成長期の“何もないけれど夢があり活力に満ちあふれた時代”にあった家族の絆や人間模様、青春と愛の物語を紡いでいく、時代を超えたヒューマンラブエンターテインメント。
役を生きた時間の終わりに訪れる寂しさ、キャストと脚本家が語る制作の余韻
TBSでは、日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』が放送中。本作は、1955年からの石炭産業で躍進した長崎県・端島と、現代の東京を舞台にした70年にわたる愛と友情、そして家族の壮大な物語だ。主演・神木隆之介が演じるのは、端島の炭鉱員の家で生まれ育った明るくまっすぐな鉄平。戦後復興期から高度経済成長期の“何もないけれど夢があり活力に満ちあふれた時代”にあった家族の絆や人間模様、青春と愛の物語を紡いでいく、時代を超えたヒューマンラブエンターテインメント。
いよいよ物語が終盤に突入した本作では、脚本家・野木亜紀子氏を迎え、鉄平と現代のホスト・玲央(二役)を演じる神木、百合子役の土屋太鳳、そしてリナ役の池田エライザによるスペシャル対談が実現。ここでは、作品の裏側やキャラクターへの思い、撮影現場のエピソードを野木、土屋、池田が鼎談(ていだん)形式で語り合う様子を、TBS公式YouTubeチャンネル公開の動画から抜粋してお届けする。
土屋「撮影中、私たちは役を生きているので、クランクアップが近づいてくるにつれて寂しい気持ちが芽生えてきています。野木さんはゼロから手掛けてきた脚本が手から離れる時、寂しさを感じますか?」
野木「それはすごくありますね。最終回を書いていると、『もうこの人たちは書けないんだ』…みたいな」
土屋「ここまで書くのにたくさん取材や調べものをされると思うのですが、これだけ時間を掛けたんだから3ヶ月で終わらずにずっと続いてほしいと思いませんか?(笑)」
野木「でも、これ以上書くのも疲れちゃいますからね(笑)。脱稿しても、みんながキラキラ演じてくれるからうれしい限りです。第4話のお供え物をみんなで分け合うシーンは特に眩しかった! 進兄(進平:斎藤工)に瓜を渡されたときのリナがめちゃくちゃかわいくて。あのシーンは演じていてどうでしたか?」
池田「とても幸せな時間でした…! あのシーンは進兄もかわいかったんですよ。想像以上にはにかんでて、リナも、おやおや? って(笑)。リナが端島に馴染んできたころでもあり、演じていて楽しかったです」
野木「第2話で、百合子の前でジャズを歌うリナがものすごく上手でした! あれをアカペラでサラッと歌うなんて…!」
池田「あれは野木さんから私への挑戦状だと思っていました。端島音頭についても、最初の打ち合わせで、野木さんと塚原監督に『任せる』と言われたのを覚えています。その点は、シンガーである母の存在に感謝しました。小さいころから実際のジャズクラブで歌う姿を見て育ってきたことで、自分の中に表現の引き出しがあったんです」
野木「百合子は心に迫るお芝居はもちろん、毎回好きな言い回しがあるんです。特に好きなのは第1話で朝子に向かって『鉄平が帰るっていうから付いてきちゃった』ってところの、あの独特な動き! 『百合子、こ、コイツっ!』って感じがまさにキャラクターを表現していて、あれは誰にもできない。いつもそういう細かい表現にキャッキャしています」
池田「普段はいじわるな人じゃないのに、勘違いしてしまいそうになるほどですよね。私も百合子のプリプリしているところと、見惚れさせてくれる美しさの緩急に惑わされています」
野木「今日は参加がかなわなかったけど、杉咲さん演じる朝子は、実はみんなより年下の設定。それを汲んで、杉咲さんがずっと年下感があるお芝居をしてくれていることに、毎回感激しています」
70年の物語を紡ぐキャストが語る、時代ごとの芝居へのアプローチ
野木「本作は1955年からの長い物語なので、別の時代をまとめて撮ることも多いはず。そんな中、皆さんどんなふうに年代とお芝居を合わせているのでしょうか?」
池田「リナは時代のトレンドを衣装に入れやすいキャラクターなので、見た目で変化をつけることができました。進平と結ばれて家族ができたあとも、見た目はリナらしい遊び心があっていいよねって」
野木「衣装からその年代のリナを引き出す感じなんですね。百合子はどうでしたか?」
土屋「そんなに難しく感じたことはありません。なぜなら、台本がいいから!(笑)本当に素敵な言葉がたくさん入っているので、敢えて年を重ねたように演じる必要がなくて、セリフを感じたままにお芝居しています。野木さんの呼吸が最初にあって、そこに塚原監督と私の呼吸を混ぜながら臨む本番…という感じです」
野木「ありがとうございます…! (スタッフからの質問メモを読んで)『ほかの人を演じてみたかった』とかありますか?」
池田「当て書きしてくださっていますよね? なので、変わっちゃったらキャラクターも変わるんだろうなと。私が朝子だったらどうなるんだろう…。前髪、とめるのかな?」
野木「全員当て書きしているので、もし池田さんが違う役だったらもっと違う書き方をしているはず。朝子の前髪は、花ちゃんが演じているからああなっているのよ(笑)」
土屋「賢将も清水さんじゃないと! って感じですし、みんなそれぞれの役が一番ハマっているよね」
池田「そうですね、改めてリナでよかったなって思います。本作は何度でも見返してもらうことで楽しめる要素もたくさん。みんな言わないだけでそれぞれ背負っているものがあって。でも、それをお芝居では実はそんなに隠していないので、何度見てもきっと面白いと思います」
土屋「私も百合子を演じることができて幸せです。視聴者の皆さんには、物語の中に散りばめられたダイヤモンドを拾いながら楽しんでもらえたらうれしいです!」
野木「そういっていただけてうれしいです。改めて演じていただいてありがとうございます! 最後まで見て、また始めから見てもらうと新たな発見があるかもしれません。最終回まで激動の展開が続きますので、お見逃しなく!」
緻密な脚本とキャスト陣の豊かな表現力、そして監督の柔軟な演出が見事に調和している本作。個性豊かなキャラクターたちが紡ぐストーリーは、一度見ただけでは気づけない細やかな仕掛けが隠されている。散りばめられた伏線と感情の揺らぎを拾い上げ、物語の奥深さを何度でも楽しみたい。