フグ料理を当日予約でドタキャン→8万円分のキャンセル料は「払いたくない」 店側あ然、ネット怒り

急に入った当日のコース予約に、とんでもない結末が待ち受けていた。4人分の料理を丹精を込めて用意していたのに、来店の時間になっても一向に客は現れない。まさかの当日キャンセル。そして、キャンセル料は「聞いてないから払いたくない」……。困り果てた日本料理とフグの飲食店が、SNSで悲痛な思いを訴えた。忘年会シーズンを控え、飲食業界ではキャンセルを巡る悩みは尽きない。創業以来というトラブルの一部始終を聞いた。

フグコースの当日キャンセルに店側が悲痛(写真はイメージ)【写真:写真AC】
フグコースの当日キャンセルに店側が悲痛(写真はイメージ)【写真:写真AC】

35年となる創業以来初の出来事 当日キャンセル料は「100%」

 急に入った当日のコース予約に、とんでもない結末が待ち受けていた。4人分の料理を丹精を込めて用意していたのに、来店の時間になっても一向に客は現れない。まさかの当日キャンセル。そして、キャンセル料は「聞いてないから払いたくない」……。困り果てた日本料理とフグの飲食店が、SNSで悲痛な思いを訴えた。忘年会シーズンを控え、飲食業界ではキャンセルを巡る悩みは尽きない。創業以来というトラブルの一部始終を聞いた。

「お昼に電話でフグコース当日予約のお客さん7時予約、7時半頃『行けないからキャンセル』キャンセル料発生の旨伝える『聞いてないから払いたくない』
 キャンセル出来ない旨伝える『ちょっと相談して折り返す』電話無し電話しても出ない一同途方に暮れている
 こんな事は創業以来初」

 そして、「#悲しい」のハッシュタグのひと言がが、料理人の心情を表している。

 投稿者は、東京・阿佐ヶ谷で創業35年となる日本料理 ふぐ舗 「にしぶち」だ。

 ガスコンロに土鍋、箸セットが4つ分置かれているのにもかかわらず、空席のテーブルが物悲しい。

 事の発端は、先月11月30日の昼、12時30分ごろにかかってきた一本の電話だった。予約を受け、急いで準備したコースは「お料理だけで4人分で8万円になります」。最大限のおもてなしに努めていた。

 店のキャンセル規定は「当日の場合は、キャンセル料は100%のご理解をいただいております。やむを得ずキャンセルになる方もいますので、お持ち帰りできるよう全てお包みすることもあります」とのことだ。

 来店予定時刻の午後7時から30分がたって、かかってきたキャンセルの電話。店側はキャンセル料発生の旨を伝えたが、客側は「聞いてないから払えない」の一点張り。店側はもう一度、キャンセルはできない旨を伝え、「その際、来られる方だけでもご対応できること、お包してご用意するできることもお話しました」。そこからは店側が電話をしても出てもらえない状況になっているとのことだ。

 担当者は「数日前の事前予約の場合は、最終確認の電話でお知らせしており、最終確認の後はキャンセルができない旨をお伝えしておりますが、今回の件は当日予約でしたので、まさかキャンセルとは考えてもいなかったです。今までこのような件は一度もなかったので……」と驚きの思いを明かす。

 ただ、思うところもあるといい、「1点、今回は当日予約だったので、(昼の予約の電話のやりとりの際に)この後キャンセルができない旨を伝えませんでした。正直な話今までこのようなキャンセルはなかったので反省しております」。

「仕込んだ食材やおもてなしをしようとしていたスタッフに申し訳ない気持ち」

 突如見舞われたキャンセルの悲劇。「同様の被害が他の飲食店様に出ないことを願い投稿した次第です」との思いを込めたSNS発信は、1.8万件以上のリポストを集めるなど、反響を集めた。

 客側の言動に批判が集まっており、「非常に腹立たしい話ですね」「有り得ないですね 酷すぎる客に言葉を失います…」「これは失礼でしょ…せっかくの食材が」「こういうの聞くと一見さんお断り文化が日本にあるのも納得だよなぁ」「なにより、食材が可哀想っすよ」などの声が寄せられている。

 同店は「今後は事前決済や半金のお支払いを検討しなくてはならないのかなと考えておりますが、正直なところ、なかなかハードルが高いと考えております。お客様に喜んで召し上がっていただけるよう仕込んだ食材や、おもてなしをしようとしていたスタッフに申し訳ない気持ちです。事情によっては当日でもキャンセルを受けることもありますが、今回の件はちょっと考えられない事案でした」。今後の予約システムをどうするか頭を抱えている。

 店の売りの1つが、フグ。国産天然トラフグのみを使用しており、「店内で一からさばき、お客様のご来店日に合わせて、寝かせ熟成させたものをご提供しております」。穴子天丼のランチ限定メニューも人気だという。

 腕によりをふるって調理していたフグ。残ってしまった食材はどうなったのか。「用意した食材は他のお客様にはお出しできないので、今回はより一層当店のフグのおいしさをお客様に伝えられるようスタッフの皆に勉強会という形で食しました」という。

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