永瀬正敏が熊本で“神対応” 観客に「写真撮って」リクエストで高良健吾、池松壮亮もサプライズ登場

俳優の永瀬正敏が主演する映画『箱男』(石井岳龍監督)が1日、「くまもと復興映画祭」が開催中の熊本県熊本市の熊本城ホール シビックホールで上映され、出演の永瀬、浅野忠信、石井監督、熊本県出身の映画祭ディレクター、行定勲監督(56)がティーチインを行った。

ティーチインを行った浅野忠信、永瀬正敏、石井岳龍監督、行定勲監督(左から)【写真:ENCOUNT編集部】
ティーチインを行った浅野忠信、永瀬正敏、石井岳龍監督、行定勲監督(左から)【写真:ENCOUNT編集部】

映画愛語る「デビューから5年映画に出られずも、映画館の映画で救われた」

 俳優の永瀬正敏が主演する映画『箱男』(石井岳龍監督)が1日、「くまもと復興映画祭」が開催中の熊本県熊本市の熊本城ホール シビックホールで上映され、出演の永瀬、浅野忠信、石井監督、熊本県出身の映画祭ディレクター、行定勲監督(56)がティーチインを行った。

 同作は作家・安部公房の代表作を『狂い咲きサンダーロード』『蜜のあわれ』の石井監督が映画化。ダンボールを頭からすっぽりと被った姿で都市をさまよい、覗き窓から世界を覗いて妄想をノートに記述する「箱男」の物語。1997年にドイツでクランクインする直前に頓挫し27年の歳月を経て、同じ永瀬主演で実現した。

 行定監督は「27年前、僕は助監督だったんですけど、この映画が見たくて、ずっと妄想していました。2024年の今、見られるとは思わなかったので、映画祭で上映できたことがすごくうれしいです」と紹介した。

『箱男』の3人は黒服に帽子という黒尽くめのスタイルで登場。石井監督は「97年の時は、ドイツと日本の合作で巨大な予算の映画でした。ドイツでクランクインしようとしたのですが、撮影の前日に日本側の資金の不備があって、撮影中止になりました。今回はご遺族のご意向もあって、原作に忠実に映画化しています。より熟成された完成度の高い映画にできたので、27年待った甲斐があったと思っています」と万感の思いを込めた。

 97年版に続き主演した永瀬は「監督とお会いするたびに『まだ諦めてない』と言われ、ようやく公開できた。今回の強力な助っ人(浅野)が来てくれて、本当に嬉しかった」。浅野は「監督たちの強い思いは感じていたので、出来上がっている作品に僕がポッと入ればいいんじゃないか、ラッキーだなと感じていました」と話した。

 ティーチインでは音楽の話題から、映画館の復興という大きな話題へ。

 石井監督は「映画館が私の一つの故郷、非常に大事なものだと思っています。もちろん配信が悪いわけじゃないんですけど、私にとっては映画館の闇は世界中につながっているもの。どんな古い映画を見ても、初めて見たものは新作になります。時間、場所、言葉、民族を超えて、同じものを見ることに可能性を感じています」と力説した。

 永瀬は「大きいテーマなので、一緒に飲みに行って、語り合いたい感じですね(笑)。僕は映画で救われた人間。最初の映画から5年ぐらい関われない時期があって、その間も映画館に通って、映画を見ていた。僕が救われたのなら、違う誰かを救うことができるかもしれない。そんな思いでやっています」と話した。

 ハリウッドでも活躍する浅野は「『モンゴル』という映画を内モンゴル自治区で撮影した時に、砂漠の真ん中に小さなインターネットカフェがあったんです。そこでは、その子供たちが違法ダウンロードした映画を小さなコンピューター画面にかぶりついて見ていました。こういう場所にも届かなかったら、映画じゃないんじゃないかと思いました。もちろん映画館で見るために作っているんですけど、僕が心がけることは、世界のどこにいても、届くものを作ることなんだと思いました。そんなこともあって、映画を感じるような時間を作りたいと思って、朝ドラ(『おかえりモネ』2021年)にも出演しました」と語った。

 最後に、永瀬は「本当はダメかもしれないですけども、せっかくなので、会場のみなさんに写真を撮ってもらえれば。ハッシュタグに『くまもと復興映画祭』とつけて」と言うと、会場からは「えー」という喜びの声。永瀬の“神対応”を受け、さらにバックステージにいた高良健吾、『ぼくのお日さま』出演の池松壮亮も参戦し、観客の撮影タイムに。会場は大いに沸いた。

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