松本幸四郎、17年ぶり『朧の森に棲む鬼』の舞台稽古で娘の“進化”語る「ヒップホップを踊ってる」

歌舞伎俳優の松本幸四郎、尾上松也、坂東彌十郎、坂東新悟、中村時蔵、市川染五郎、尾上右近らが29日、東京・中央区の新橋演舞場で歌舞伎NEXT『朧の森に棲む鬼』公開舞台稽古と囲み取材を行った。

公開舞台稽古と囲み取材を行った【写真:ENCOUNT編集部】
公開舞台稽古と囲み取材を行った【写真:ENCOUNT編集部】

激しい立ち廻りに坂東彌十郎「俺も若かったらやりたいなぁ」

 歌舞伎俳優の松本幸四郎、尾上松也、坂東彌十郎、坂東新悟、中村時蔵、市川染五郎、尾上右近らが29日、東京・中央区の新橋演舞場で歌舞伎NEXT『朧の森に棲む鬼』公開舞台稽古と囲み取材を行った。

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『朧の森に棲む鬼』は、松竹と劇団☆新感線がタッグを組んだ『Inouekabuki Shochiku-Mix』シリーズのオリジナル作品として制作され、2007年に初演された作品。シェイクスピアの名作『リチャード三世』を下敷きに、源頼光による大江山の「酒呑童子伝説」をモチーフに、嘘と欲望に支配される男の栄光と破滅の物語を描く。初演時は幸四郎(当時は市川染五郎)が主人公・ライを演じた。『Inouekabuki Shochiku-Mix』では舞台機構を使った躍動感あふれる演出や、華やかな照明、迫力ある音響などが特徴で、スケールの大きなエンターテインメントとして当時話題となった。

 今回は同作が、歌舞伎の新たなるステージとして銘打った“歌舞伎NEXT”として蘇る。“歌舞伎NEXT”は15年の『阿弖流為(あてるい)』に続く第2弾として、歌舞伎ならではの趣向を凝らした演出や音楽で創り上げる。今回は幸四郎と松也が主人公のライとエイアン国の武将の一人・サダミツの2役をダブルキャストで勤め、「究極の悪」を体現するライと、ライと対峙(たいじ)する四天王であるサダミツの役柄を演じ分ける。エイアン国の国王・イチノオオキミを彌十郎、イチノオオキミの愛人・シキブを新悟、検非違使の長・ツナを時蔵、オーエ国を治めるシュテン党の党首・シュテンを染五郎、ライの弟・キンタを右近が演じる。その他に片岡亀蔵、市川猿弥、大谷廣太郎、澤村宗之助らが出演。あす30日に初日を迎える。

 出演者たちは公開稽古前に本番同様の衣装とメイクで登場。17年前の初演時も主役を勤めた幸四郎は、「前回『朧の森を~』をやっていた頃に娘が生まれたので、17年たってその娘が今はもうすっかりヒップホップを踊っているのが、進化ですかね」と語り、共演者から「(舞台と)関係ない(笑)」とツッコまれた。

 前作に憧れていたという松也は幸四郎を見つめ、「やっぱりかっこいいですね」とうなり、「ついつい『本物を見てるな』という感じがします。(稽古では)『目の前にライがいる』と感じることもたくさんありました。初日が近づいて来るにつれてボルテージが上がっていて、毎日刺激的で楽しいです」と喜んだ。

 同作では激しい立ち廻りも見どころ。松也が「かなり激しいです。時間も長いですし」と明かすと、幸四郎は「冗談じゃないくらい長い。『ふざけるな』というくらい長い」と報道陣を笑わせた。彌十郎が「俺も若かったらやりたいなぁと思いますけど、でも殺陣に参加しなくてよかった(笑)」とこぼし、「でも、見ているとやりたくなりますよね。それくらいカッコいいんです」と絶賛した。長時間の立ち廻りのための体力づくりについて聞かれた幸四郎は、「体力づくりしている暇もない。体力づくりなんてしてたら、(舞台)で何も出来ない」と大変さを語った。

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