Dream5時代は「早く大人にならなきゃ」 26歳・日比美思、俳優転身8年で見えた“弱い自分”との向き合い方
俳優の日比美思は、30日に1st写真集『朝食ってビュッフェですか』(玄光社)をリリースする。デビュー15周年の節目に、念願の一冊を出せることになり、「たくさんの方に助けていただいた」と感謝の言葉を述べた。
日比美思が待望の1st写真集
俳優の日比美思は、30日に1st写真集『朝食ってビュッフェですか』(玄光社)をリリースする。デビュー15周年の節目に、念願の一冊を出せることになり、「たくさんの方に助けていただいた」と感謝の言葉を述べた。(取材・文=小田智史)
2009年に『天才てれびくんMax』のオーディションに合格し、ダンスボーカルグループ・Dream5のメインボーカルとしてデビューした日比。当時はまだ11歳。それでも、子どもながらに写真集を出すことの難しさを感じつつ、憧れを抱いてきたという。
「活動を始めたのが11歳。とにかくひたすら走るしかないというか、しがみつく気持ちで必死だったので、(写真集なんて)遠い未来のことのように思っていました。走っていたら、いつの間にか時間が経っていた感覚です。写真集を出せるのはすごく大きなことだと感じていたので、(デビュー)15周年という大事な節目で発売できるのはすごくうれしいし、たくさんの方に助けていただいて感謝の気持ちでいっぱいです。ずっと出したいと思っていたので、念願の写真集。話を聞いた時はもうガッツポーズでした(笑)」
撮影は「日々の記録」をテーマに、鹿児島県を舞台にして行われた。「天気にも恵まれて、桜島がすごくきれいでしたし、桜島に向かうフェリーでの風が気持ちよくて、楽しかったです」と振り返る。
「鹿児島に行くとなったときに(名所を)調べて、最初に出てきたのが『天文館むじゃき』という氷白熊(しろくま)発祥のお店でした。私はそれまで知らなくて、ぜひ行きたいですと言いました。今までコンビニで売っていたものが通常の白熊だと思い込んでいたんですが、本店に行くとアイスが大きくて、急いで食べないと飾り付けのフルーツが落ちてきてしまうくらい(笑)。スタッフさんと急いでつついて食べたのが楽しい思い出です」
日比は、自身のチャームポイントに「肌の白さ」を挙げる。1st写真集では水着やランジェリーにも挑戦しており、「肌を見せるカットが多いので、肌の白さが生かされていたらいいなと思います」と思いを口にする。
「元々、雑誌で(水着やランジェリーの)撮影はしたことがありましたけど、(挑戦は)久しぶりでした。写真家の藤本(和典)さんが呼吸を合わせて、丁寧に撮影してくださったので、着飾るのではなく、自然体で撮影に臨めたと思います。よく『肌が白いね』とほめていただけるんですが、親の遺伝がほぼ100%。赤く火照りやすくて日焼けしやすいのに、ずぼらなタイプなので、日焼けに気を付けるようによく怒られます(苦笑)」
10代のDream5時代は「背伸びしていたところがあった」
“お気に入りのカット”を問うと、「どれもお気に入りと言いたいところなんですけど(笑)」と断った上で、悩んだ末に「朝のカット」を挙げた。
「寝起き30分くらい、ほぼ目覚めたばかりの姿を撮っていただきました。今の自分を知っていただくという意味では一番近い、いい状態で撮影していただけたんじゃないかと思います。ほとんどメイクもせず、これで行きましょうと(笑)。本当に自然体ですね」
写真集の発売が正式決定してからは、短期間では過去最高という身体の“絞り込み”に成功したという。また、2017年以降は俳優としての道を歩んできただけに、表情づくりなどの面で「これまでの演技経験が生きていたらいいなという思いはあります」と日比は笑う。
「マネージャーさんと『写真集を出したいね』という話をしていたのが今年の初めごろ。そこから徐々に意識しつつ、具体的に決まったのは6~7月。そこから3か月くらい集中して体づくりに励みました。普段はよほどハメを外さない限りは好きなものを食べるタイプですけど(笑)、体型の維持は頑張ってきたところではあったので、それが反映されていたらいいなと。表情に関しても、『経験してきたことは、必ず顔に映るもの』だと思っているので、それが見ていてくださる方に少しでも伝わったらうれしいです」
Dream5時代、『ようかい体操第一』が大ヒットし、2014年にはNHK紅白歌合戦に出場した。「祖母だったり、両親が(当時の)テレビ番組を今でも見返していたりしますし、なかなかない貴重な経験をさせていただいたと改めて思います」と語る一方で、若さゆえにどこか「背伸びしていたところがあった」と振り返る。
「小さい頃から大人に混ざって仕事をしていたということもあって、『早く大人にならなきゃ』と思って、自分を大人に見せられるように意識していたというか。人に対してコンクリートのように分厚い壁を作っていた時期もありました(苦笑)。その壁が少しずつ薄くなっていって、少し意地を張ってしまうこともありますけど、今は薄いベールくらいにはなったかなと思っています(笑)。私は基本、すごく負けず嫌い。内に秘めているつもりはないんですけど、人よりも(表に感情が)出づらいのかもしれなくて。常に弱い自分に負けそうになるので、焦らずにコツコツ頑張っていくしかないと自分を戒めています」
写真集に続く「新たな目標」は“オール自主製作”の作品
ソロ活動となって8年。テレビドラマや映画、舞台を数多く経験してきたが、「(俳優としての)手応えは本当に感じたことがないです(苦笑)」と、日比は謙虚な姿勢を貫く。
「一つひとつ階段を上っている感覚というか、いただいたお仕事を丁寧に精一杯やろうという気持ちで日々過ごしています。好きな俳優さんはたくさんいます。最初はその真似をするところから始めて、いろんなものを見あさって研究したりしていましたけど、今は自分が経験したことから引き出しが出せるように意識しています。誰かを目指してゴールを決めてしまうと、可能性を狭めてしまう気がして。視野を広く持って、これからたくさんの作品に出会いたいです」
今年26歳となり、今回の写真集で「新たな目標」を見つけたと日比は明かす。
「まず、今回の撮影が本当に楽しくて、撮影中から写真集をもう1回出したいと思っていました(笑)。今回は暖かい場所に行ったので、次は寒いところかなとか、海外に行けたらな、とか考えています。あと、ぼんやりと、書籍や映像など自主製作できたらいいなと。今回、編集の方、スタイリストさん、ヘアメイクさんを含めて信頼できる皆さんが丁寧ですてきな仕事をしてくださって、刺激を受けたというか、『〇〇をしてみたい』とインスピレーションを受けました。過去に写真展を2回開催させていただきました。企画の立ち上げから携わったものはありますけど、ゼロから完成まで全て自分で、という経験はまだなくて。いつか挑戦してみたいですね」
日比美思――。両親から授かった名前には、「美しい思いやりのある子に育ってほしい」という願いが込められている。「両親は『名前は最初のプレゼントだから』と言ってくれていました。名前に恥じないように、願いに応えられるように、頑張るしかないです」。日比は自分と向き合いながら、一歩一歩人生を歩んでいく。
□日比美思(ひび・みこと)1998年9月20日、神奈川県出身。2009年に『天才てれびくんMax』のオーディションに合格し、ダンスボーカルグループ・Dream5のメインボーカルとしてデビュー。『ようかい体操第一』が大ヒットし、2014年には輝く!日本レコード大賞、NHK紅白歌合戦に出場した。16年、高校卒業と同時にグループ活動が終了、本格的に女優としての道を歩み始めた。主な出演作品は『さくらの親子丼2』(19年)、『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(19年)、『オクトー ~感情捜査官 心野朱梨~』(22年)、映画『町田くんの世界』(19年)、舞台『点滅する女』(23年)、『蒲田行進曲』(24年)など。