3000万円の夢の国産スーパーカーに試乗 時速300キロ「ガソリンの化け物」の乗り心地は?
平凡なサラリーマンにはなかなか手が出ない国産スポーツカー・GT-R。その中でもハイエンドモデルとなるGT-R NISMO Special editionは、一般的なGT-Rの倍近い価格を誇る日産ブランドの最高級車だ。今回、最高時速300キロ超、車両価格3000万円に迫る憧れのスーパーカーのハンドルを握る機会に恵まれた。試乗会で都内を疾走。万年レンタカーの記者が抱いた率直な感想とは。
過酷なレースシーンで培われた経験や技術を市販車へ落とし込んだ日産のハイパフォーマンスブランド
平凡なサラリーマンにはなかなか手が出ない国産スポーツカー・GT-R。その中でもハイエンドモデルとなるGT-R NISMO Special editionは、一般的なGT-Rの倍近い価格を誇る日産ブランドの最高級車だ。今回、最高時速300キロ超、車両価格3000万円に迫る憧れのスーパーカーのハンドルを握る機会に恵まれた。試乗会で都内を疾走。万年レンタカーの記者が抱いた率直な感想とは。
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秋晴れの気持ちいい11月のある日、東京・南青山で行われたメディア試乗会に並んだのは、GT-Rを始めフェアレディZやスカイラインなど、日産が誇る「NISMO」グレードの各種ロードカーたちだ。今年創立40周年を迎えたNISMOは、日産本社が100%出資して設立したモータースポーツ専門の子会社が手掛けるハイパフォーマンスブランド。「NISSAN MOTORSPORT」の頭文字の通り、過酷なレースシーンで培われた経験や技術を市販車へ落とし込んでおり、「より速く、気持ちよく、安心して走れる車」をコンセプトとしている。
もっぱら公共交通機関での移動が中心で、たまに乗ってもレンタカーという記者にとって、生まれて初めてのスポーツカー。いったいどんな乗り心地なのか。担当者に尋ねると「他のNISMOシリーズのハイブリッド車と違って、GT-R NISMOは単なるガソリンの化け物です。本当にコンマ何秒を削るための車。GPSで位置情報を取っていて、登録されたサーキットでのみリミッターが解除できるようになっています。日産が誇るスポーツカーと言えばフェアレディZが有名ですが、GT-Rはそれをさらにとんがらせたような車ですね」。市販車ながらサーキットでの最高時速はゆうに300キロを超える、正真正銘のモンスターマシンだという。
この日の試乗会の目玉ともいえるGT-R NISMOには、メディア各社から多くの予約が殺到していたが、まさかの一番乗りで乗車することに。カーボン素材を多用し“肉抜き”して軽量化を図ったというレーシングタイプのシートは、座ると深く沈み込むような感覚で、いつもより低い目線が新鮮だ。車というよりもロボットアニメのコックピットのように、まるでマシンと一体化したような高揚感がある。
2915万円という車両本体価格に、フルオプションを合計した試乗車の価格は2930万4000円。3000万円に迫るスーパーカーだけに、ハンドルを握る手にも緊張が走る。スタートボタンを押すと、地鳴りのような迫力あるエンジン音が車内を包んだ。おっかなびっくり、安全運転で発車すると……「あれ? 思ったよりも乗りやすい?」。
確かに、ハンドルはやや重く小回りの利く操作性はないものの、路面に吸いつくような安定感がある。予約殺到のため、1社あたりの試乗時間はわずか20分。高速に乗ることもなく、試乗会場の周囲を巡っただけだが、それでもアクセルを踏み込んでみたい衝動に駆られる。国産車の最高峰とも言える存在に、運転経験の浅い記者が何かを評するのはおこがましい気もするが、世界のレースで輝かしい成績を残してきた最先端のテクノロジーの一端を垣間見れた気がした。
試乗後、担当者に率直な感想を告げると、「圧倒的な性能を誇りながら、いつでも、どこでも、誰でも乗れるスーパーカーがGT-R。あくまでもスピードを求める層に向けた車なので、乗り心地は快適とまでは言えませんが、それでもこの手の車の中ではかなり乗りやすい方になっています」。街でも高速でも、サーキットでも。どこまでも妥協しないエンジニアの情熱があればこそ、大金をつぎ込んででも求める人が止まない名車なのだと感じた。