パラオの無人島「イノキアイランド」秘話 政府関係者の証言に愛弟子・小川直也も仰天

「日本パラオ国交樹立30周年記念」イベント(10月29日、東京大神宮)に“暴走王”小川直也がゲスト出演を果たした。23日にその模様がYouTube「熱血道チャンネル」に公開されたが、驚いたのはイベント終了後、小川がパラオの要人と対談した際のこと。パラオに「イノキアイランド」という名の島が存在することは知られているが、改めてパラオ側の目的と意図が判明した。

亡くなる直前までパラオへの思いを語っていたA猪木さん
亡くなる直前までパラオへの思いを語っていたA猪木さん

パラオの大臣が驚きの証言

「日本パラオ国交樹立30周年記念」イベント(10月29日、東京大神宮)に“暴走王”小川直也がゲスト出演を果たした。23日にその模様がYouTube「熱血道チャンネル」に公開されたが、驚いたのはイベント終了後、小川がパラオの要人と対談した際のこと。パラオに「イノキアイランド」という名の島が存在することは知られているが、改めてパラオ側の目的と意図が判明した。(取材・文=“Show”大谷泰顕)

「元気ですかーッ! 元気があればなんでもできる。元気があればパラオだって元気にできる」

 小川から師匠・アントニオ猪木譲りの言葉が飛び出したのは、10月29日に東京大神宮で開催された「日本パラオ国交樹立30周年記念」のイベントだった。同イベントに小川がゲスト出演した理由は、ひとえに猪木とゆかりのあったパラオだったからに他ならない。

 参考までにパラオとは、東京から南に3000キロ離れた太平洋に浮かぶミクロネシア地域にあり、400余の島々からなる共和政国家。実際に人が住んでいる島は9つのみだという。第1次世界大戦後には日本に統治されていたことから親日国でもある。

 また、パラオには「イノキアイランド」と呼ばれる無人島がある。これは1980年代に猪木がパラオ政府の要人から譲り受けたもの。極真の“熊殺し”ウイリー・ウイリアムス戦(1980年2月27日、蔵前国技館)の前には、ウイリーの打撃に見立てた槍を突かせた特訓をしたことでも知られている。実は小川も今から四半世紀前には猪木や佐山サトル(初代タイガーマスク)らとともに現地を訪れたこともある。

 イベント終了後、小川がパラオ政府のンギライベラス・トメトゥクル大臣(パラオ政府/人材・文化・観光・開発庁大臣)と会談した際のこと。ンギライ大臣が「私の父(ローマン・マチュール)が『イノキアイランド』を贈呈させていただいた」と語ったのだ。

 ンギライ大臣によれば、「実はバウレス・ソロという方と私の父でプロレスリングを呼んで、観光を高めたいと考えていました。その理由は、日本のプロレスリングが大人気だったからです」「その際、日本が最も重要な市場だと考えました。その時、日本のプロレスラーに島を差し上げることによって、日本との関係をもっと強いものにしたいと考えたのです」と語り、観光業に力を入れる目的だったという。

「私の父もバウレスさんも、日本語が大変上手でした。パラオが日本に統治されていた時に育ったために、日本語の教育がなされていて、日本のことが大好きでした」

 小川が過去に初代タイガーマスクらと現地に訪れたことを話すと、「タイガーマスクはよく覚えています。私はまだ子どもでしたけど、島の子どもがみんなタイガーマスクを着けていました」と語った。

 興味深いのは、ンギライ大臣が以下のように話したことだろう。

「イノキさんのことはパラオの島民みんなが知っていました」「(パラオ国民は)『イノキアイランド』のこともみんな知っています。元々あった名前は忘れてしまって、『イノキアイランド』として今も残っています」

 そう言ってンギライ大臣は笑みを見せていたが、現地の人にも「イノキアイランド」として親しまれているのは喜ばしい限りだ。

パラオ政府のンギライベラス大臣(左)と小川直也
パラオ政府のンギライベラス大臣(左)と小川直也

猪木の愛弟子・小川がパラオに招待された

 続けて小川が、猪木は引退後はイベントプロデューサーとして活躍し、パラオにもよく足を運び、その映像が日本で流れていたことを告げると、「オガワさんがその話をしてくださって、本当にうれしいし、その時代のことを覚えてくれている方がいることも、本当にうれしく思いました。パラオは単なる観光先ではなく、日本にとって真の友人です。だから、それをぜひ、若い世代にも引き継いでいきたいと思います」と話した。

 そして小川が「生前、猪木本人も亡くなる直前まで、パラオに行きたいと話していた」と伝えると、ンギライ大臣は、「その言葉には本当に感銘を受けます」との言葉を発した。「というのは、父のことを思い出すからです。そしてその志を引き継いでくれる次の世代がいることを、本当に感謝したいと思います。そういう意味では、縁結びのトウキョウダイジングウ(東京大神宮)ですから、我々も再度、縁をつかめる場だと思います」。

 ここまで話した大臣は、「ぜひ近いうちパラオに訪問していただいて、プロレスがもっと盛大なものになることを祈っています」と小川をパラオに招待することを約束した。関係者の話では、来年からはユナイテッド航空で直行便が飛ぶという。

 動画では、小川がパラオで猪木から火槍特訓を受けたことやパラオでの思い出を話しているが、島に関する話になると、「小さくてもいいよー」と「オガワアイランド」の獲得を妄想する場面もあり、「父島、母島じゃないけど、イノキアイランドの近くにあればいいですね」と結んだ。

 小川いわく、「(島が)大きかったら大きかったで大変だよ」「あれ以上大きかったら、恐ろしい野生動物がいっぱい住むようになっちゃうんじゃないの?」と話しながら、「ちなみにイノキアイランド(の広さ)は東京ドーム7個分。(猪木)本人は奥まで行ったことないと思う」と語っていた。

 振り返ると80年代には、テレビ番組の企画だったが、猪木が日本の子どもたちとパラオの島を探検する番組があったと記憶している。あれからもう数十年の時が流れたが、今度は猪木の弟子である小川が、小川道場の子どもたちと一緒にパラオで合宿ができたら最高の体験ができるだろう。

 そんな話をしていると、小川が「旅費が高いだろうなー」と言いながら、「そんな細かいことを言うと、(猪木に)怒られちゃうからね」とひと言。小川はかつて「(猪木が)島を持っているって言うから、所有権とか細かいことを(小川が)言うじゃない。そしたら、『お前には夢がない』ってバッサリ」とお叱りを受けたことを明かしていた。

 それでも小川は、イベントでのあいさつを振り返りながら、「切羽詰まって行ったは行ったけど、何をしようと思ったら『元気ですかーッ!』って(言葉が出た)」と話し、さらには師匠譲りの「1、2、3、ダー!」も披露していた。

 もちろん、アントニオ猪木はすでにこの世にはいないが、その遺伝子や志は、さまざまなカタチで弟子たちに受け継がれている。

(一部敬称略)

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