メルカリ“詐欺被害”訴え続出も…本社「コメント差し控え」 被害者は怒り「騒動になったら手のひら返し」

フリマアプリ「メルカリ」を通じての売買で返品を巡るトラブルが報告され、ネット上で大きな議論になっている。被害者は購入者に有利なメルカリの対応に不満を訴え、やり取りを公開した。同様の被害は他の出品者からも寄せられ、「#メルカリ詐欺」がトレンド入りするなど、波紋が広がっている。被害者とメルカリ双方に話を聞いた。

実際に返品されたプラモデル、発送前後の様子【写真:本人提供】
実際に返品されたプラモデル、発送前後の様子【写真:本人提供】

何度もメルカリ事務局に被害を訴えたという

 フリマアプリ「メルカリ」を通じての売買で返品を巡るトラブルが報告され、ネット上で大きな議論になっている。被害者は購入者に有利なメルカリの対応に不満を訴え、やり取りを公開した。同様の被害は他の出品者からも寄せられ、「#メルカリ詐欺」がトレンド入りするなど、波紋が広がっている。被害者とメルカリ双方に話を聞いた。

 騒動の発端となったのは、にゃーちゃん(@akkord841)さんが11月11日、Xに行った投稿だった。

「メルカリで窃盗にあいました。新品未開封のプラモデルを発送しました。購入者からパーツ破損のためキャンセルしたいと連絡があり、メルカリからの指示もあり返品に応じました。着払いで届いた商品を開封すると中身がほとんど抜き取られ、ゴミが入っていた。どうしたらいいのか知恵をください」

 ビフォーアフターの写真が添えられ、返品されたきた商品はプラモデルのパーツが抜き取られ、ゴミが入っているのが確認できる。

 目を疑うような返品の仕方に、メルカリ事務局に相談すると、購入者に確認するとした上で、「購入者より入れ間違いはないとの回答がある場合や、72時間以内に回答が得られなかった場合、サポートの継続が困難となるため、本取引についてはキャンセルとさせていただきます」と一方的な返信が送られてきた。

 このままでは、中身を抜き取られているのに、取り引きそのものをキャンセルされてしまう。

 納得のいかないにゃーちゃんさんは、証拠となる写真を添えて何度もメルカリ事務局に被害を訴えた。

 しかし、メルカリ側は、購入者から「入れ間違いはない」との返答を受け取ったとして、キャンセルを通達。被害者の主張は全く考慮されなかった。

「メルカリにどれだけ盗難にあったと写真を送っても取り合ってもらえず。購入者に確認したところ返品したものに間違いはなかったと連絡があったため72時間待たずに取引が事務局によってキャンセルされました。購入者にお金は戻り、私にはゴミだけ残った」

 にゃーちゃんさんは「#メルカリ詐欺」「#メルカリ窃盗」のハッシュタグを添えて、メルカリの対応に怒りをあらわにした。購入者から返品された商品はパーツもすり替えられていたことが判明。にゃーちゃんさんは発送前に検品を行っており、そもそも返品の原因と指摘されたパーツ破損もなかったとの認識を示している。

「ネットで騒動になったら手のひら返したように180度態度が変わった」

 一連の経緯はネット上で物議を醸し、メルカリの対応に批判が集中。「何かあれば強制的にキャンセルさせられるの不利でしかない」「つまり不正したモン勝ちで損した利用者がバカだと言いたいわけだな」「出品側から手数料10%も取ってるのに、出品側が困った時の対応はダメすぎるのはどうなのかなって思う」「泥棒なんだから運営何とかしろよ」などさまざまな声が寄せられた。また、過去に同様の被害に遭った事例が続々と報告され、出品者が損失をこうむったまま、泣き寝入りしている実態も浮き彫りになった。

 投稿により、メルカリは“炎上状態”に。すると、にゃーちゃんさんにメルカリから再度連絡があった。

「事務局」ではなく、「SNS担当」からで、「一連の投稿を拝見し、社内にて再度経緯の見直しおよび補償をするよう、働きかけています」との内容だった。その後、事務局からも連絡を受けると、そこにはキャンセル対応を撤回し、販売利益を入金したことが記されていた。

「私が知らぬ間に勝手にお金が補償されてました。今さら補償いりません。最初の事務局の態度と180度変わったので許せない。然るべき措置をとると書いてあるのに購入者は名前を変えてまだメルカリにいます。これはどういうことなのでしょうか」。メルカリの謝罪は到底受け入れられないとして説明を求めている。

 取材に対し、にゃーちゃんさんは改めて心境を語った。

「私1人で訴えている時には耳を傾けず無視だったのにもかかわらず、むしろ定型文だけしか送られて来なかったのに、ネットで騒動になったら手のひら返したように180度態度が変わったことに不信感を感じています。不誠実な会社だと思います」

 類似の報告が相次いだことから、被害は「氷山の一角」と受け止めている。メルカリ内でのやり取りでは、キャンセルされており、SNSを使っていなければ、お蔵入りにされていた可能性がある。「今後二度と同じことが起きないように再発防止はどのように行うのかしっかり公表していただきたいです。このままでは誰も安心してメルカリを利用することができないと思います。今実際に被害に遭われている方たくさんいらっしゃるので、その方たち全員の声を聞き、対応してほしいと強く思います」と声を上げた。

メルカリ側の回答「本件に関わらずコメントは差し控えさせていただいております」

 一方で、メルカリを通じてiPhone13を梱包して出品したところ、取引がキャンセル扱いとなり、ペットボトルが入った箱だけが戻ってきた事例もあった。詐欺まがいの出来事は今年7月に発生。出品者のシュクメルリ(@87emp)さんは取材に対して、「販売代金は、メルカリ側からも相手からも支払われていません。iPhone13だけ、相手に取られてしまいました」と悔しい心境を明かした。

 メルカリ側の対応について、「消費生活センターの方に相談して、(センター側が)メルカリ側にいろいろ言ってくださったのですが、『補償はできない』の一点張りで、警察へどうぞといったような最低な対応でした。詐欺師を野放しにしているこの状況を続けるのであれば、利用者側は利用する必要がないと思います」と嘆いている。

 購入者には序盤のやり取りで悪質なアカウントとの印象を持ち、トラブルになると判断して連絡を取っていない。そのため、運営元のメルカリに相談し、事態の解決を頼ってきた。その思いをむげにされたとの思いがこみ上げる。

 一連の投稿について、メルカリに質問状を送り、初期対応が妥当だったのか、再発防止策を含めて見解を聞いた。

「ご質問に関しまして、大変恐縮ではありますが、個別の出品物に対する受け止めや対応方針等については、本件に関わらずコメントは差し控えさせていただいております」との回答があった。

 社内にカスタマーサービス体制を整備し、365日24時間体制で対応を行っており、「利用規約に違反する商品の自動検知システム及び目視により出品や取引を常時監視し、トラブルの防止に努めております」と説明。迷惑行為を確認した場合は、該当者に対し、「警告を行う、一定期間の利用制限または無期限の利用制限を行う、などの対応を実施しております」と付け加えた。

 そして、「万が一トラブルに遭われてお客さま同士での解決に至らない場合などは、返品・補償の対応を行い、お客さまに安心してご利用いただく取り組みも推進しています」としている。

 ユーザーの声に真摯(しんし)に向き合っているかどうかは、受け取り側が判断するもの。安心してサービスを利用できる仕組み作りが求められている。

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