竹内涼真、朝倉未来との格闘練習で知った「殴られる気持ち」 演技に生きた“プロ”の思考

世界的人気ゲーム「龍が如く」シリーズを基にしたAmazon Originalドラマ『龍が如く ~Beyond the Game~』(全6話)が、10月25日よりPrime Videoで世界独占配信された。今回、同作で主人公・桐生一馬を演じる俳優の竹内涼真と、その幼なじみの澤村由美を演じる河合優実にインタビューし、役作りや今作を通じて得た財産について話を聞いた。

インタビューに応じた竹内涼真【写真:ENCOUNT編集部】
インタビューに応じた竹内涼真【写真:ENCOUNT編集部】

ドラマ『龍が如く』撮影前に格闘トレーニング

 世界的人気ゲーム「龍が如く」シリーズを基にしたAmazon Originalドラマ『龍が如く ~Beyond the Game~』(全6話)が、10月25日よりPrime Videoで世界独占配信された。今回、同作で主人公・桐生一馬を演じる俳優の竹内涼真と、その幼なじみの澤村由美を演じる河合優実にインタビューし、役作りや今作を通じて得た財産について話を聞いた。(取材・文=猪俣創平)

 本作は株式会社セガの大ヒットゲーム「龍が如く」シリーズを基にオリジナル脚本で制作。ドラマシリーズ『全裸監督』などで知られる武正晴氏が監督を務め、竹内演じる桐生一馬の生きざまをド迫力かつエモーショナルに描くクライム・サスペンスアクションだ。

 竹内は今作のアクションシーンに向けて入念に準備していた。ボクシングなど格闘技は未経験だったため「大変な格闘シーンになる」と予想すると、格闘家の門をたたいた。

「早めに準備して、格闘シーンの免疫をつけておかないと撮影が怖いなと思って、作品に入る半年ほど前から格闘技をやっておこうと思ったんです。それで、どうしようかと考えていたときに、朝倉未来くんが夢に出てきたんです。そのあとすぐに連絡をして格闘技の練習を開始することになりました。最初に未来くんから2、3回教えてもらったんです。でも、当時彼も試合を控えていたから、彼のセコンドに入っているコーチにもお願いし、ほぼ週4、5回ペースでやっていきました。一番最初に練習した動画もありますけど、ダサすぎて見せられないです(笑)」

 格闘技界の一線級のトレーナーからの直接指導を経て、スキルも各段に成長。柔術、キックボクシングなど格闘技を取り入れる俳優もいるが、竹内にとって今作でどのような場面で活きたのだろうか。

「実際にヘッドギアをつけて、思いっきりは無理ですけど、パンチを当ててもらったんですね。そのときに『殴られるってこういう気持ちなんだ』と思ったんです。相手に殴られる距離感、パンチが当たる距離感を初めて知ったんですよ。それが今作では活かされました」

 さらに、実技だけでなく格闘家の思考に触れられたことも刺激となり、役作りにもつながった。

「プロの方と一緒にマススパーリングみたいな実戦形式の練習もやったんです。戦う上では相手に立ち向かって殴り合う覚悟と距離感が一番大事なんです。『絶対に相手のパンチは当たらない方がいい。ただ、当たってもいい覚悟が必要』だと教えてもらいました。その言葉が僕にはしっくりきて、なるほどな、と。それを教えて頂けたことがよかったですね。とても感謝してます」

 徹底した準備とともに挑んだ撮影は、昨年夏に行われた。しかし、ゲームでのイメージがすでに定着しているキャラクターを演じる難しさも実感した。

「原作が世界的な人気シリーズなので、一番チャレンジだったのは、ゲームの桐生一馬をリスペクトしながらも、演じるのは僕だし、僕の表現だから、その桐生のイメージは心のどこかにしまっておかないといけないんです。桐生を自分に引き寄せなきゃいけないから、その中で桐生のビジュアルをどう自分になじませていくか、考えないといけなかったんです」

 並々ならぬ決意とともに挑んだ本作。竹内演じる桐生をビジュアル面で支えたスタッフ陣にも感謝する。

「今回、メイクチームや衣裳チームはすごく僕の想いを汲んでくださって作ってくれました。だから、より今回のストーリーと僕に合う新しい桐生一馬を作ってくださったんですね。そのことに僕はすごく助けられた感覚があります」

 そんな竹内が演じた桐生の姿に、共演した河合も驚いたという。「完成したものを見たときに、3DCGに加工しているのかなって思うぐらい、一瞬ゲーム内のキャラクターに見えたんです。桐生も含めて、みんながちょっと現実を超えちゃっている感じが強くて、桐生一馬というキャラクターと竹内さんの体とがぴったり重なっていました」と完成度に感動したと話し、その言葉に竹内は「うわ、うれしい」としみじみ。

澤村由美を演じた河合優実【写真:ENCOUNT編集部】
澤村由美を演じた河合優実【写真:ENCOUNT編集部】

熱量の高い撮影現場は「自分にとって一番の財産」

 今作は桐生たちが極道の世界に身を置くことになる1995年と、その10年後の2005年の2つの時間軸を交差させながら描かれ、時代の違いも表現されているという。河合は、自身が演じた由美のスタイリングも含めて「すごくこだわっている」と明かし、「由美の2005年の衣装は採寸して体に合わせてほぼ作ってもらいました。95年ではなんとも垢抜けない絶妙なドレスを集めてくださったりでした」と感心する。

 また、竹内は監督をはじめとした撮影スタッフ、出演者も含め「今回集まったみなさんの熱量がすごかった」と振り返り、充実感をにじませる。

「毎回、役へのアプローチの仕方は違うから“これだ”という明確なものは分からないんですけど、これほどの熱量がある現場を半年間ほど経験できたことが、自分にとっての一番の財産になりました」

 一方の河合も今年はドラマ『不適切にもほどがある!』で注目を浴び、映画『あんのこと』、『ナミビアの砂漠』と主演作も続いた。“ヤクザ映画”でもある濃い現場だった今回の撮影を通して「すごく勉強になった」と得るものも多くあった。

「共演する皆さんのお芝居を見たり、完成したものを見たりして、根本的にはどの作品でも、その人間を表現することは同じなんですけど。それでも作品のトーンと集まっている方が作るムードによって、自分のパワーの出力の仕方を絶妙に皆さん調節しているんだなって、今回の現場を経てすごく勉強になりましたね。すごくジャンルとしての色が強いので、そこにどうやって人間の身一つでみんなが役に挑んでるかっていうのをすごく学ばせてもらいました」

 話題作への出演が続く2人にとっても貴重な経験となった今作。熱のこもった言葉の端々から、作品にかける思いがにじみ出ていた。

□竹内涼真(たけうち・りょうま)1993年4月26日、東京都出身。2013年に女性ファッション誌『mina』初の男性モデルオーディションでグランプリを獲得。14年にテレビ朝日系『仮面ライダードライブ』で主演を務める。その後、TBS系連続ドラマ『下町ロケット』(14年)、NHK連続テレビ小説『ひよっこ』(17年)、ドラマ『君と世界が終わる日に』シリーズ(21~23年)、『劇場版 君と世界が終わる日にFINAL』(24年)などに出演。

□河合優実(かわい・ゆうみ)2000年12月19日、東京都出身。19年デビュー。21年に映画『サマーフィルムにのって』、『由宇子の天秤』での演技が高く評価され、第43回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞、第95回キネマ旬報ベスト・テン新人女優賞などを受賞。24年放送のTBS系連続ドラマ「不適切にもほどがある!』で注目を集める。同年、主演映画『あんのこと』『ルックバック』(声の出演)『ナミビアの砂漠』『八犬伝』も公開され、待機作に映画『敵』『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』などが控える。

【竹内涼真】
▼スタッフクレジット
スタイリスト:徳永貴士(SOT)
ヘアメイク:佐藤友勝

▼衣装クレジット
ジャケット 45万1000円 ニット 参考商品、パンツ 15万4000円、シューズ 16万5000円/全てFerragamo(フェラガモ・ジャパン)
問い合わせ先:フェラガモ・ジャパン
〒104-0061 東京都中央区銀座7-8-2 0120-202-170

【河合優実】
▼スタッフクレジット
スタイリスト Shohei Kashima(W)
ヘアメイク 上川タカエ(mod’s hair)

▼衣装クレジット
プルオーバー 13万2000円(税込)、スカート 13万2000円(税込)/全てsacai(サカイ)
問い合わせ先: Sacai.jp

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猪俣創平

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