藤井隆、芸歴32年目を迎えた現在の思い「ボクはすぐ飽きられると思っていました」

お笑い、司会、俳優、音楽など、多様な表現のフィールドを自由に行き来し、テレビや舞台で活躍する藤井隆。来年1月からは、劇作家で演出家のケラリーノ・サンドロヴィッチの多様な戯曲から選ばれた名作を、才気あふれる演出家たちが再創造する連続上演シリーズ「KERA CROSS」の第6弾『消失』に出演する。KERA作品への印象や、芸歴32年目を迎えた現在の思いを聞いた。

第6弾『消失』に出演する藤井隆【写真:ENCOUNT編集部】
第6弾『消失』に出演する藤井隆【写真:ENCOUNT編集部】

稽古期間、気分転換の方法は“食”の楽しみ

 お笑い、司会、俳優、音楽など、多様な表現のフィールドを自由に行き来し、テレビや舞台で活躍する藤井隆。来年1月からは、劇作家で演出家のケラリーノ・サンドロヴィッチの多様な戯曲から選ばれた名作を、才気あふれる演出家たちが再創造する連続上演シリーズ「KERA CROSS」の第6弾『消失』に出演する。KERA作品への印象や、芸歴32年目を迎えた現在の思いを聞いた。

「KERA CROSS」は過去5回、東京・シアタークリエで公演を行い、このたび新シーズンとして再始動。今回は、河原雅彦氏が演出を担当する。物語の舞台は、クリスマスの夜。パーティーの計画を練る兄(藤井)と弟(入野自由)、弟が想いを寄せる女性(佐藤仁美)も迎えて楽しい一夜になるはずが、ちょっとした誤算からその計画はもろくも崩れ去ってしまう。兄弟の家に集まった6人の“善意”がかけ違い、彼らが築き上げてきた日常を破滅へと導いていく。

 オファーを受けた際の心境について、藤井は「(企画・製作の)キューブさんにはずっとお世話になっていて、今回、『こういう話があるけど、どうですか?』と言っていただけたのがすごくうれしくて、やってみようと思いました」と明かす。

 KERA作品への参加は初。作品の印象については、「本当にドキドキや悩み、悲しみなど、3時間の中にさまざまな感情をもたらしてくれるので、時には感情が追いつかないこともあります。KERAさんの舞台を観ると、複雑な感情になるので楽しいです。劇場を出るときは“ああ、舞台を見たな”と、その感覚をかみ締めています」としみじみ語った。

『消失』は、日本ではナイロン100℃の劇団公演として2004年に初演、15年にも劇団で再演が行われており、初演から20年がたった今もなお魅力が衰えない作品。プレッシャーを感じつつも、河原氏の「決して悪い意味ではなく、気軽にやろうと思ってます」という言葉に安心感を得たという。「無責任に楽しむということではなく、劇団公演とはまた違うものだと思うので、おのずと内容は変わってくるんじゃないかなと思っています。怖がらずに頑張ろうと思っています」と気を引き締めた。

 これから始まる稽古期間、気分転換の方法については“食”の楽しみを挙げる。「稽古場や劇場に通ってる間に、パン屋や喫茶店、食堂など、新しく好きになるお店を見つけるのが得意なんです。自分でも褒めてあげたいと思うくらい。仕事場が変わるため、常に通えるわけではないですが、『また、来ました』って言うと、スタッフさんから『あらー』と言ってもらえるのが楽しいんです」とうれしそうに語った。

芸歴32年目を迎えた藤井隆【写真:ENCOUNT編集部】
芸歴32年目を迎えた藤井隆【写真:ENCOUNT編集部】

 本作にちなみ、クリスマスパーティーの思い出を聞くと、「子どもの頃からクリスマスも好きでしたが、それ以上にお正月が好きでした。お正月に向けての前夜祭のような感じが好きで、おせち料理や三が日には火を使わないという習わしが魅力的でした」と振り返った。

 高校生の頃には、クリスマスの時期にケーキ屋でアルバイトをした経験も。「売り上げがすごく伸びて、褒められたのを覚えています。予約販売のホールのクリスマスケーキとは別に、店頭用にカットケーキも並べていたんですが、予約がないお客様にご家族の人数を尋ねて、『カットケーキを並べてホールにする方法もあるんですが、どうですか?』と提案して売っていました。店長にも褒められました」と、当時の工夫を明かす。

 お笑い、司会、俳優、音楽など幅広いジャンルで活躍し、芸歴は32年目を迎える。多彩な才能を持ち、順風満帆な芸能生活かと思いきや、本人は「芸能界で長く生きていけるとはまったく思っていなかった」と打ち明ける。

「言われるままで自分の考えも自信も無かったので、こんなんじゃすぐ飽きられると思っていましたので、三十数年もやっているとは思ってもいなかったです」

 今後の目標は「この役を藤井にやらせてみよう、この番組に呼んでみよう、と思いついてもらえるように仕事を頑張りたいです。それが目標です。自分が想像できる得意なことや好きなことを仕事にするのは大好きですがそれ以上に出来ないかもしれませんが『藤井にやらせてみよう』と思っていただけることが一番嬉しいですし励みになります。そしてそれを応援してくださる方に新しい自分として観ていただけるのが1番の目標です」と話した。

□藤井隆(ふじい・たかし)1972年3月10日生まれ、大阪府出身。1992年、吉本新喜劇入団。2000年に『ナンダカンダ』で歌手デビューし、年末の紅白歌合戦に初出場。近年は舞台作品にも積極的に出演するなど幅広いジャンルで活躍している。

 スタイリスト:奥田ひろ子 ヘアメイク:柳美保

次のページへ (2/2) 【写真】KERA CROSS 第6弾『消失』ビジュアル
1 2
あなたの“気になる”を教えてください