「バカじゃないのって言われちゃうかも」裏金問題で揺れた萩生田議員を小川直也が「応援したかった」ワケ

バルセロナ五輪男子柔道銀メダリストで“暴走王”と呼ばれる小川直也が、まさかの言動を展開している。小川は4日、自身のYouTubeチャンネル「暴走王チャンネル」を更新したが、動画内で小川は、今回の総選挙で物議を醸した裏金問題の渦中にあった、萩生田光一氏を擁護しているのだ。萩生田氏の地元である東京・八王子は、小川にとっては生まれ故郷でもあり、両者の間にはかねてから交流があった。そこで小川の見解を紹介しながら深層心理を推察してみる。

“暴走王”小川直也がまさかの裏金問題で揺れた萩生田氏を擁護
“暴走王”小川直也がまさかの裏金問題で揺れた萩生田氏を擁護

文部科学大臣時代に「ひとクラス35人学級」を実現した萩生田氏

 バルセロナ五輪男子柔道銀メダリストで“暴走王”と呼ばれる小川直也が、まさかの言動を展開している。小川は4日、自身のYouTubeチャンネル「暴走王チャンネル」を更新したが、動画内で小川は、今回の総選挙で物議を醸した裏金問題の渦中にあった、萩生田光一氏を擁護しているのだ。萩生田氏の地元である東京・八王子は、小川にとっては生まれ故郷でもあり、両者の間にはかねてから交流があった。そこで小川の見解を紹介しながら深層心理を推察してみる。(取材・文=“Show”大谷泰顕)

「何十年も付き合っている、先輩後輩の間柄の先輩がいるんですよ。萩生田先生しかいないじゃないですか。大変だったんですよ、今回」

 そう言って小川は、萩生田氏のことを語り始めると、「普段、弱音を吐かない(萩生田)先輩なんだけど、今回はヤバいかもしれない、なんて切羽詰まってましたね」とのやりとりを明かした。

 小川いわく、「(俺の)地元は八王子だから、最初、茅ヶ崎に道場を出すって時には(萩生田氏に)怒られたもん。『お前、八王子を捨てるのか』って。俺、道場開きをした時も、『小川は八王子を捨てた。僕は許せない』なんて言われちゃったもんな。それくらい八王子を愛しているわけよ。その証拠に八王子の街をよくしてきたわけよ。別に萩生田先生をヨイショする案件じゃないですよ」と証言する。

 とはいえ、萩生田氏が裏金問題で逆風にさらされたことは事実。これを小川はどう思っているのか。

 これに関して小川は、「萩生田先生ほどの人がね、バレた時のことを考えたら、今まで自分が積み重ねてきたものを一瞬にしてパーにするじゃない。だから、そんなことをするのかなと思うけどね」と疑惑を一蹴すると、両者の付き合いが始まった頃の話をし始めた。

 小川が言うには、「あの先輩と結びつけてくれた先生は、八王子の宝生寺の『夕焼け小焼け』の住職が明治大学の大先輩だったわけ。八王子には『八王子明大会』ってのがあって、その仲間ってことで」、両者の付き合いがはじまったという。ちなみに宝生寺は、童謡「夕焼け小焼け」に出てくる「山のお寺」として知られている。

 さらに小川は、いかに萩生田氏が人情味があって、八王子に尽くしてきたかを語る。

「(宝生寺は)由緒あるお寺なんだけど、ギャラリーを考えたら、成田山とか川崎大師とか節分のときに華々しくイベントをやるじゃん。みんなそういうところに行きたがるでしょ。でも、俺と萩生田先生はね、ずーっとその先生(住職)のお寺に毎回行ってたもん。何かの行事のときは毎回行ってたし。だって忙しいときだよ。(萩生田氏が)大臣とかやってるでしょ。そういう忙しいときにも合間をぬって行事に来るわけよ。八王子の小さな柔道大会にも顔を出したりとかさ。細かくやるわけよ。目配り気配りができるのね」

 文部科学大臣時代には、先生と生徒の最低限の距離を保つべく、「ひとクラス35人学級」を実現した萩生田氏。普段、小川道場で子どもたちを相手に柔道を指導している小川からすれば、そういった教育に対する接し方にも、萩生田氏との共通認識を感じているのだろう。

選挙中、地元・八王子で自身の政策を訴える萩生田氏【写真:ENCOUNT編集部】
選挙中、地元・八王子で自身の政策を訴える萩生田氏【写真:ENCOUNT編集部】

萩生田氏は2位に約8000票の僅差で当選

 結果的に萩生田氏は、東京24区で7万9216票を獲得し、2位に8000票弱という僅差ながら当選を果たしたが、これには小川も「でも選挙だからね、八王子市民はそういうところを見てたんだろうね。良かったよ、受かって」と胸をなで下ろした様子。

 しかしながら、小川としては接戦になったことに不満があるらしく、「接戦はキツいよな。そこはいくらなんでも八王子の利益をもたらしてくれる人なんだから、もっと大差でいいんじゃないの? 夜8時過ぎの開票直後に『はい当選』ってそれを見たかったよ。気持ちいいじゃん」とまで話す。確かに萩生田氏に「当選確実」が出たのは、深夜0時45分だった。

「今はみなさん、萩生田先生のイメージが悪く受け取られてるだろうけど、このYouTubeだって、この話題をなるべく逸らそうとするけど、それは違うなって思って。そこをあえて、メスを入れるぞ。小川、バカじゃないのって言われちゃうかもしれない。でも、それ(裏金問題)と分けて。そういう人ですよ。そういうところがマズかったって。それでも見る人がダメだと思えば、それはしょうがない」

 ここまで小川の言動を振り返ってきたが、小川と萩生田氏に深い信頼関係はあることは分かった上で、単にそれだけではないような気がしている。それは何かと思いを巡らすと、そこにはやはり、小川の師匠であるアントニオ猪木の姿が浮かび上がってくる。

 猪木は、いわゆるプロレス市民権を獲得すべく、格闘技世界一決定戦から巌流島決戦、「国会に卍固め」で実際に政界に進出してからはイラクの人質開放や北朝鮮への度重なる訪問……と世間にある逆風を逆手に取るように人生を展開させてきた。それと今回の萩生田氏による裏金問題を同列に考えることはできないものの、小川にも、そういった世間の風や波に対して抗って生きる、猪木的なDNAが流れているに違いない。要は、メディアによる印象操作だけではない、現場にある生の声や体験が猪木を動かす原動力になったことを、弟子である小川も受け継いでいるのだ。

 実際、小川は「俺も『応援に行きますよ』って(萩生田氏に)言った」ところ、「その時は頼みます」と返答はあったが、「迷惑かけたくなかったのかもしれないけど、その時はスタンバイしたもん。『いつでも行かなきゃ』って」と話し、結果的に応援の依頼がなかったことも明かしていた。

「コロナ禍に、俺と先生を結びつけてくれた先代の住職さんがお亡くなりになったわけ。そのときの葬式の時も、お亡くなりになってからしばらくしたら葬式をやりますよって感じになったんだよ。そのときも関係者って、俺と萩生田先生の2人だけだよ。(葬儀の直後に萩生田氏は)テレビに出てたもん。だから急いで行ってたんじゃない。義理人情に厚いしさ。そういう方なのよ。それを言いたかった。もし応援に行くならね」

 仮の話、もし小川が実際に萩生田氏の応援演説に出向き、最後に両者がハッスルポーズなどしていたらどうなっていたのか。今となっては知るよしもないが、想像するに余計な波風を立てただけだったかもしれないし、萩生田氏の当落に大きな影響が出た可能性も否定はできない。それでも、小川による“熱”が、さまざまなカタチとなって八王子市民の心を突き動かしただろうことも否定はできない。

(一部、敬称略)

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