話題ドラマ出演のプロレスラー、“不良”たちにまさかの提案 前科があっても「なれますよ」

“平成のテロリスト”村上和成は、25日から配信が開始されたドラマ『龍が如く』に出演中だが、主演の竹内涼真を相手に迫真の演技を披露している。現在、村上はストロングスタイルプロレスのリング上で、第18代レジェンド王者に君臨しているが、その雰囲気はまさに裏社会にいる本職顔負けの雰囲気を醸し出す。また、村上はかつて交流があり、最近、麻薬成分が入ったチョコレートを国内に持ち込んだ罪などに問われ、有罪判決(懲役2年、執行猶予4年)を受けたエンセン井上に対して複雑な胸の内を明かした。

ドラマ『龍が如く』では迫真の演技を披露した村上和成
ドラマ『龍が如く』では迫真の演技を披露した村上和成

「エンセン井上は素直すぎる。根は真面目」

“平成のテロリスト”村上和成は、25日から配信が開始されたドラマ『龍が如く』に出演中だが、主演の竹内涼真を相手に迫真の演技を披露している。現在、村上はストロングスタイルプロレスのリング上で、第18代レジェンド王者に君臨しているが、その雰囲気はまさに裏社会にいる本職顔負けの雰囲気を醸し出す。また、村上はかつて交流があり、最近、麻薬成分が入ったチョコレートを国内に持ち込んだ罪などに問われ、有罪判決(懲役2年、執行猶予4年)を受けたエンセン井上に対して複雑な胸の内を明かした。(取材・文=“Show”大谷泰顕)

 村上に対し、“麻薬密輸騒動”に関する有罪判決を受けたエンセン井上に対してコメントを求めると、「う~ん……エンセン。僕は仲良くて、昔はというか本来は」と話した後、以下のように話を続けた。

「あいつその前も捕まったことがあるんですよ。その時は、ちょうど『アウトサイダー』があって。彼にはセキュリティーとかを頼んでいた。でも、その日になってエンセンが来ないなーと思っていたら弟子が来て、『実は……』って。その時は電話もつながらない状態だったんですけど、電話がつながることになって、いの一番にかけてきたんですよ。だから『何をやっているんだ』って言ったんですけど、ヤツはホントは男なんです。日本をすごく愛しているし、日本人以上に日本人の心を持っている男なんですね」(村上)

 もちろん、この国が法治国家であるかぎり、法を犯すことは許されないし、過去に似たような件で罪を問われたことがあるエンセンならば、なおさら改めてもらわなければいけないのは百も承知の上で私見を述べると、どうにも嫌いになれないというか、憎めない男なのを知っている。記者がそう見解を述べると、村上は「素直すぎるんです。根は真面目だし優しいし」と答えた。

 さらに村上は、「逆に言えば、そこに弱い自分がいるんですね。弱い自分がいるから憎めないんです。荒削りな部分がね。彼はTシャツにも書いていましたけど、『男で生きたい 男で死にたい 男になりたい』って。あれは彼の生涯の目標というか。でも一番今、彼は後悔していると思います。自分で『大和魂』と謳(うた)っている以上、それと向き合って生きていかなきゃいけない。だから彼が今、YouTubeやインスタもやってますけど、やっぱりどこか、自分の中で『説得力ないよな……』って分かっていると思います。それでも一生懸命奮い立たせて、自分を出しているのが見えるし。だから男なんですよ、ホントは」と複雑な胸の内を明かした。

村上和成は11月5日には新宿FACEでのストロングスタイルプロレスに参戦する
村上和成は11月5日には新宿FACEでのストロングスタイルプロレスに参戦する

「(不良少年が)100人いて100人を更生させることは難しい」

 そして、村上はエンセンの心情を察しながら、やはり複雑そうな表情を見せた。

「人間には完璧な人はいないし、どうしても魔の力というか。超えてしまう壁が低いんだと思うんですね。『これぐらいだったら大丈夫だろう』って。でも、その『これぐらい』がすごく人生を引き戻してしまうし、エンセンという男の像が、今までやってきたことが全て崩れてしまうし、全て薄っぺらいものになってしまう。それを本人が今、一番感じていると思いますよ。僕自身、悔しいですよ、見ていて……」

 ちなみに昨今、話題になった「ブレイキングダウン(BD)」関連の動画で、エンセンが出場者と絡む場面が公開されたことがあった。

 それを見る限り、イキがっているファイターでさえ、エンセンと絡むと単なる悪ガキにしか見えず、圧倒的に辿ってきた修羅場の数が違うことがまざまざと伝わってきたことが再確認できた。

 この話を村上に振ると、「あそこに出ているヤツは、元々は『アウトサイダー』に出ているヤツなんですよ」と話し、「僕は『アウトサイダー』の立ち上げの頃から前田さんと一緒にいたんです。(前田日明代表に)『村上、一緒にやってくれないか』って言われて。元々は地下格闘技と言われているものがある中で、(前田代表は)『俺は更生の場としたい』と話していたんですね。若い子は元々持っている力やエネルギーの出し方が分からない。(前田代表から)『本当はみんな素直なんだよ。な、村上、分かるよな?』って言われて、『そうですね』っていう話をしていて」と証言した。

 とはいえ、村上いわく、「ただ、100人いて100人を更生させることは難しい」と話しながら、「だけど、そこから1人でも2人でも更生して行ってくれれば、必ずそこには道ができるので、いくつも道ができて、そいつらが引き上げてくれれば、その先には必ず世の中的に受け入れられる人たちがいるような手本と道を作れれば、ああ、俺もそっちに行けるかもしれないって気づける材料になるじゃないですか」との見解を述べる。

 そこで村上が多少なりとも心配していたのは、そういった不良たちが大金を手にした際の扱い方だった。

「(大金を手にしても)そのお金を扱える器の人間であれば変なことにはならない」

「今はYouTubeとかそういうものがある中で、ある程度のまとまったお金を手にする場合がある。しかも、お金を手にしたことがどういうタイミングでどのくらいの重さで入ってくるのか。そのお金を扱えるだけの器の人間が手にしたのか。もちろんそれも1つの更生だと思うけど、そこで自分がそのお金を扱える器の人間であれば変なことにはならないんです。だけど器がない人間が大金を手にしたら、ロクなことにはならない。だけど、それも1つの表現なんです。その中に朝倉くん(未来&海の兄弟)がいたりして、(海は)UFCのタイトル戦まで行ったわけだから、そこに携われたことを誇りに思うか、悔しく思うか。そういうエネルギーの方向性は、僕は悪いとは思わないし、その信念を出してほしいですよね」(村上)

 村上と話すと、世間を騒がす不良と呼ばれていたファイターたちに、希望を持てと心からエールを送っていることが伝わってくる。

「僕は、せっかくやるなら世の中の人として、人から崇められるような人物になってほしいんです。池の中で強い弱いじゃなくてね。たとえば、納税額で天下を取るとか。彼らはそういうエネルギーを持っているんだから。もちろん道場を経営するのもいいけど、若いヤツらがエネルギーの使い方が分からなかったのであれば、使い方を教える場としてビジネスをしていけばいい。こうすれば稼げるなんてことじゃなくて、やっぱり人としての道を作れるものになってほしいし、とにかく池に収まらないでほしいんです」

 ここまで話した村上は、まさかとも思える提案を口にした。

「もっともっと先の、例えば政治家にでもなればいいんですよ。国会議員になればいいんです。なれますよ。それだけのエネルギーが彼らにはあるんだから。不良だったからなれないなんてことはない。前科があったって、そのほうが苦労を知っている分、底辺を知っている分、底辺にいるヤツらを引き上げる方法を知っているんです。上にいる人間には下の気持ちなんてわからないんだから、底辺を知っている人間が上になって、下のヤツらを引き上げればいいんです。じゃんじゃん国会議員を出せばいいんです」(村上)

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