『本当はいい子』は心外、衝撃のヒールターンから3年 渡辺桃が今ひしひしと感じている“待望論”

これまでのスターダムにおいて、偉大なる記録を作り上げた一人に渡辺桃がいる。彼女は2018年5月にワンダー・オブ・スターダム王座を獲得すると、13回の防衛を記録。キャリアわずか3年半、10代で金字塔を打ち立てた。しかし2021年12月に試合中に自らの意思で当時率いていたQueen’s Questを脱退、大江戸隊に加入するという衝撃的なヒールターンを遂げた。その渡辺、10周年を迎える今年、「今一番“求められる”女子レスラー」となっている。

岩谷麻優の持つIWGP女子王座に狙いを定めた渡辺桃【写真:(C)スターダム】
岩谷麻優の持つIWGP女子王座に狙いを定めた渡辺桃【写真:(C)スターダム】

『Historic X-over Ⅱ』だからこそのIWGP女子王座挑戦

 これまでのスターダムにおいて、偉大なる記録を作り上げた一人に渡辺桃がいる。彼女は2018年5月にワンダー・オブ・スターダム王座を獲得すると、13回の防衛を記録。キャリアわずか3年半、10代で金字塔を打ち立てた。しかし2021年12月に試合中に自らの意思で当時率いていたQueen’s Questを脱退、大江戸隊に加入するという衝撃的なヒールターンを遂げた。その渡辺、10周年を迎える今年、「今一番“求められる”女子レスラー」となっている。(取材・文=橋場了吾)

 渡辺桃は2014年11月に14歳でデビュー。以後10年に渡ってスターダムの生え抜きとして戦ってきた。

「そう、今年10周年なんだよ。しかもデビュー日の翌日が『Historic X-over Ⅱ』(新日本とスターダムの合同興行)なんだよね。そんなタイミングが揃ったんだから、岩谷麻優の持つIWGP女子王座に挑戦したい。スターダムの選手にとって、岩谷は絶対に超えないとダメな存在だけど、まだ誰も超えていないと思う。私もシングルで勝ったことはあるけど、まだ超えたとは思っていないし。岩谷はアイコンでいることに疲れちゃっているように見えるから、私がその座から引きずりおろしてやろうと思って。『アイコン、休んでいいよ』と。IWGP女子は岩谷が持ったことで価値が赤いベルト(ワールド・オブ・スターダム王座)と並ぶくらいに上がったと思うし、岩谷から獲らないと意味がない。しかも新日本との合同興行……名前を上げる絶好のチャンスだよね」

 ここ最近の渡辺はシングル王座になかなか縁がない状況が続いている。ワンダーの絶対王者時代から5年近くが経過し、ワールド・オブ・スターダム王座にも数度挑戦しているがあと一歩のところで逃している。

「逆にデビューから4年も経たずにワンダーの記録を作ったわけで。それはそれで凄いでしょ?(笑)最近はハードな試合が続いているよね。王座決定戦進出トーナメントでダブルヘッダー(2023.11.28後楽園)だったり、ルールの違う3本勝負(2024.4.27横浜BUNTAI)だったり……両方とも舞華が絡んでいて負けているのは素直に悔しいんだけどさ。BUNTAIの試合後は、ここまでやってもまだ届かないのかという気持ちが出ちゃったよね」

 H.A.T.E.について語った渡辺は不敵に笑った【写真:橋場了吾】
H.A.T.E.について語った渡辺は不敵に笑った【写真:橋場了吾】

「渡辺桃待望論」はひしひしと感じている

 とはいえ、ここ最近の「渡辺桃待望論」は継続中だ。

「ぶっちゃけ、ひしひしと感じてるよ(笑)。でもね、今はブーイングを聞きたいんだよね。まあ、学生時代はヤンキーでもないし真面目に学校行って、部活もしっかりやってプロレスもしているような生徒だったからヒール志向があったわけではないんだけど(笑)、ブーイングの方が心の底から声を出しているように感じるんだ。だから今は場外乱闘もめちゃくちゃやるし、何なら見に来ている人の傘を凶器にしちゃうし。ワンダー王者時代は少女・渡辺桃の素だったけど、大人になっていろいろな人生経験を経て、今は今でブラックピーチ・渡辺桃の素だってことで。だからいろいろなコメントで『本当はいい子』とか書かれるのは、心外なんだよ(笑)」

 今年7月、大江戸隊がH.A.T.E.に生まれ変わるタイミングで、渡辺がQueen’s Questを率いていた時代にQQに加入した上谷沙弥が悪の道へ加わった。

「私も大江戸隊に入ったばっかりのときは、どう悪さを見せていこうかと考えていたけど、自然にできるようになるもんなんだよ。上谷も今は戸惑いがあるかもしれないけど、アドバイスもしていい感じになってきたと思う。上谷はデビューして割と早くQQに入ってきて、成長するのをずっと見守っていたんでね、ちょっとだけQQ時代のことを思い出したよ」

 スターダムでは10月26日から12月8日まで『第14回 ゴッデス・オブ・スターダム ~タッグリーグ~』が開催される。渡辺はゴッデス王者として、テクラと参戦することが決まっている。

「テクラとはお互い自由にやってるよ。いきなりバリに行っちゃったりめちゃくちゃなんだけど(笑)、試合ではやりやすいね。連携技も考えてくれて提案してくれるし。私はどちらかというとパートナーに合わせるのが好きだから、テクラにも好きなことをやってもらって、それをサポートしている感じかな。チャンピオンだからといって優勝を狙うというよりも、好き勝手にやらせてもらうよ。まあ、周りが弱すぎるんで勝手に優勝しちゃうかもしれないけどね」

(31日掲載の後編へ続く)

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