MISIA、ライブハウス存続のため「微力ながら力に」 Blue Note Tokyoでスペシャルライブ開催
未発表の新曲も披露
ライブ本編は、音楽へのたくさんの想いと、かけがえのない日常への強い希望が込められたステージだった。
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先にステージインしたバンドのアンサンブルに迎えられMISIAが登場。オープニングナンバーは、1月の大阪城ホールと2月の横浜アリーナで行われたライブでもオープニングを飾った「CASSA LATTE」。会場からは声援の代わりにハンドクラップが咲き乱れる。
MISIAは、衣装に合わせたデザインのマスクを着用し、ただでさえ難易度の高い歌唱をパフォーマンス。
息が乱れることなく幅広い音域を行き来する様子は、コロナ禍の今だからこそ目撃できる貴重なものとなった。
そのMISIAのボーカルを支えるのは、ジャズ・トランペッター黒田卓也を中心とした特別編成によるバンド。個々の凄まじい力量と遊び心を感じさせる演奏が序盤から弾ける。
3曲目では未発表の新曲を初披露。2曲ある候補から各曲の情報とイントロのみの演奏でオーディエンスが聴きたいと思った方に拍手を送り、拍手の多かった方を演奏するという趣向だ。結果、僅差で後に演奏した方の曲に決定。フルートの音色がカラフルな色を添えるフリーソウルのエッセンスを感じさせる曲だった。披露されなかったジャジーなイントロが特徴的なもうひとつの曲もかなり気になるところだ。
MCでは「アフリカのことを思い出す」と語り、「日本と違って安全な水や高度な医療に簡単にアクセスできない人が多いアフリカでは、一方で人と人との助け合いで命を守っている。SNSでの心ない言葉や嫌がらせなどが時に起こる先進国で人と人との助け合いができれば、今よりもっと感染症に立ち向かえるのではないか」。アフリカ各地の難民支援活動を続けるMISIAらしい視線で語る内容に説得力が宿る。
6曲目では「音楽の日」(TBS)での放送で初披露され話題となった新曲「さよならも言わないままで」を歌唱。
いまだ特効薬とワクチンがない中では、大切な人の死に際して、さよならもありがとうもできないこのウイルスをMISIAは「悲しいウイルス」と表現し歌い上げた。「この悲しみが早く止まるように、ひとりひとりが助け合って生きていけるように、そんな願いを込めて作りました」。新型コロナによって失ったものはたくさんある。けれどそれによって新しい音楽が生まれ、ライブで聴くことができる今この瞬間を信じたい。会場にいる誰もがそう思ったに違いない。
本編ラストは「Everything」。そのメロディーと歌声は、きっと誰もの心にある美しい部分に水をまくように染み込んでいき、時代を超越する名曲のたのもしさを実感した。