37歳の歌姫、充実するフリー活動の今…谷村奈南が大事にする「直感」 “一体感”のステージ歌唱
歌手の谷村奈南が、フリーの活動を充実化させている。このほど、約1年10か月ぶりとなる新曲を発表。また新たな応援ソングを生み出した。新型コロナウイルス禍を経て、音楽界においてもオンラインが浸透する中で、ステージに上がって観客の前で歌う「生の音」のよさを改めて実感しているという。37歳を迎えての新たな表現スタイル、見据える未来像に迫った。
「もう人生終わった、なんて思ってしまうような時も、力を取り戻してもらえたら」 新曲に込めた思い
歌手の谷村奈南が、フリーの活動を充実化させている。このほど、約1年10か月ぶりとなる新曲を発表。また新たな応援ソングを生み出した。新型コロナウイルス禍を経て、音楽界においてもオンラインが浸透する中で、ステージに上がって観客の前で歌う「生の音」のよさを改めて実感しているという。37歳を迎えての新たな表現スタイル、見据える未来像に迫った。(取材・文=吉原知也)
大学生だった19歳でデビュー。スカウトされて芸能界に飛び込み、「輝く!日本レコード大賞」など、ショービジネス界のど真ん中を駆け抜けた。その後、結婚と離婚を経験。所属事務所を退社した後、2019年に自身の会社を設立、現在はフリーとして多方面で活躍を見せている。
近年はコンスタントに楽曲を発表。21年に5年ぶりのシングル曲、22年冬にもオリジナル曲をリリースし、今回、最新曲『LIGHT』を世に送り出した。
「扉を開き、光に触れた My Heart」――。歌詞の一節だ。暗くなりがちな現代社会。だからこそ、人生を明るく照らす“光”に願いを託した。
「今、何かの渦中にいて苦しい思いをしている人たちに向けて、『つらいと感じていたとしても、後々、その体験があったからこそ、次のステージへ行くことができて、自分にとっての本当の幸せを知ることができる』。このメッセージを伝えたいと思いました。私自身、人生を振り返ると、『いろいろな苦しかった体験のおかげで、今自分らしく生き始められ、とても満たされている』。こう感じています。もう人生終わった、なんて思ってしまうような時も、力を取り戻してもらえたら。その思いを今回の歌に込めました」
エレクトリックな音質にダンステンポが乗ってくる独自のサウンド。何層にも重なって響く谷村のコーラスワークも聴きどころの1つだ。「低いコーラスから主旋律、高音パートまで、レコーディングを終えて、『すごい量のコーラスを録ったな』と実感しました。コーラスだけでエンジニアさんが、140本ぐらい本数があるとおっしゃっていました(笑)。ダンスミュージックの雰囲気もあるので、音は音で楽しめていただけると思っています」と笑顔を見せる。
谷村自身、瞑想(めいそう)やヨガなどを通じて自分自身と向き合い、自分らしく生きるライフスタイルを実践している。「人生幸上委員会」と名付け、交流サロンを主宰している。「人生の主導権が自分に戻っていくパワフルな生き方。マインドの転換で、どれだけいろいろなことを好転させていくか。この探求は本当に楽しくて、さまざまな気づきや実体験をシェアしています。またそれを音楽としてアートとしても皆さんに届けられればと思っています」。
音楽活動においても、この感性を大事に取り組んでいるといい、「いやあ、もう直感なんです。たまたま1年半から2年のペースで新曲を出していますが、これも決めているわけではなく、『あ、今だ!』という感覚になった時に制作します」。これが(愛称の)“ななむー”流だ。
尽きないファンへの感謝
楽曲・作詞提供や音楽プロデュースなど“裏方”の仕事にも注力。さらには、21年11月に単独アコースティックライブを開催。米国でステージに立ったり、国際的なイベントで日米国歌独唱を披露したりするなど、精力的に公演活動をこなしている。
ライブやファンとの交流を含めて、オンライン配信が主流の1つになってきた近年の音楽界。そんな時代だからこそ、強く感じることがあるという。
「今はオンラインがあることで、会場に来ることができないファンの皆さんにも音楽を届けることができ、本当にうれしいし助かっている部分は多いです。一方で、私としてはステージの『生の時空間』には何物にも代えがたいものがあると実感しています。皆さんから受け取るエネルギー、その場ならではのコミュニケーション……。対面で、生でお会いして歌と音楽、エネルギーを届ける。その瞬間の一体感は、それを超えるものはないのかなと実感しています。やっぱりライブはいいな。そう思っています」
応援を続けてくれるファンの存在には感謝が尽きない。そのうえで、「“自分らしく生きる”を自分が体現していくことで、ファンの皆さんがさらに心豊かに生きるという輪が広がっていったらいいなと思っています」。こうして生まれる“幸せな直感”が、多彩な活動の原動力になっていく。
□谷村奈南(たにむら・なな)、1987年9月10日、札幌市生まれ大阪・ハワイ育ち。奈良帝塚山中・高、青山学院大法学部卒。2007年5月、シングル『Again』で歌手デビュー。19年冬に会社を設立、現在はフリーとして活動。21年に『The Power Of Unity』、22年に『祈り』、24年10月に新曲『LIGHT』を配信リリース。カウンセリング・ヨガ講師など活動は多岐にわたる。英語も堪能で、「ハワイ二拠点生活」にも取り組んでいる。