日向坂46四期生の主演映画で主題歌 3人組ロックバンド・Conton CandyがZ世代から共感を呼ぶワケ
昨年リリースした楽曲『ファジーネーブル』がSNSをはじめ、各チャートを席巻した注目の3ピースロックバンド・Conton Candyが、今月9日に初のフルアルバム『melt pop』をリリースした。リード曲『BABY BABY』がFM802の10月度ヘビーローテーションやスペースシャワーTV10月度『POWER PUSH!』に決定し、書き下ろしの収録曲『急行券とリズム』が、映画『ゼンブ・オブ・トーキョー』(熊切和嘉監督、25日公開)の主題歌に決定するなど勢いに乗る。メンバーはVo.Gt.の紬衣(つむぎ)、Ba./Cho.の楓華(ふうか)、Dr./Cho.の彩楓(さやか)。高校時代に所属していた軽音楽部の活動から始まった彼女たちに、映画タイアップを実現させた思いや、若者の等身大の感性を歌ってきた曲作りの裏側などについて話を聞いた。
映画『ゼンブ・オブ・トーキョー』主題歌を担当
昨年リリースした楽曲『ファジーネーブル』がSNSをはじめ、各チャートを席巻した注目の3ピースロックバンド・Conton Candyが、今月9日に初のフルアルバム『melt pop』をリリースした。リード曲『BABY BABY』がFM802の10月度ヘビーローテーションやスペースシャワーTV10月度『POWER PUSH!』に決定し、書き下ろしの収録曲『急行券とリズム』が、映画『ゼンブ・オブ・トーキョー』(熊切和嘉監督、25日公開)の主題歌に決定するなど勢いに乗る。メンバーはVo.Gt.の紬衣(つむぎ)、Ba./Cho.の楓華(ふうか)、Dr./Cho.の彩楓(さやか)。高校時代に所属していた軽音楽部の活動から始まった彼女たちに、映画タイアップを実現させた思いや、若者の等身大の感性を歌ってきた曲作りの裏側などについて話を聞いた。(取材・文=大宮高史)
『ゼンブ・オブ・トーキョー』は、日向坂46の四期生11人(正源司陽子、渡辺莉奈、藤嶌果歩、石塚瑶季、小西夏菜実、竹内希来里、平尾帆夏、平岡海月、清水理央、宮地すみれ、山下葉留花)が東京の街を駆け巡る青春ロードムービー。高校の修学旅行で東京を訪れた11人が、新宿・上野・原宿…と、東京の各所でドラマを繰り広げる。元々“坂道シリーズ”のファンである紬衣は、彼女たち11人が躍動する映画とのタイアップのうれしさを素直に語った。
――『ゼンブ・オブ・トーキョー』のタイアップが決まった時の感想はいかがでしたか。
紬衣「もともとアイドルが好きで、日向坂46さんのことはずっと応援していました。だからお話をいただいた時は、夢がかなった気分ですごくうれしかったです。二つ返事でお受けして、『映画の良さを凝縮した曲にしよう!』と意気込みました」
――ちなみに、推しのメンバーはいますか。
紬衣「東村芽依さん(一期生)が推しなんですが、8月に卒業を発表されてしまって…。今年、『日向坂ミュージックパレード』(日本テレビ)で、藤嶌さんが『ファジーネーブル』をカバーしてくれたのもリアルタイムで見ていました」
彩楓「日本武道館での四期生ライブも見に行って、キラキラぶりに元気をもらって。ライブ中ずっとペンライトを振っていましたね」
――映画の主題歌になった『急行券とリズム』はどのように曲作りを?
紬衣「映画の台本を読み込むところから始まりました。タイトルから『全部(ゼンブ)』を歌詞に入れた上で、映画の中の皆が東京に抱いているキラキラしたイメージと、私が東京に抱いている思いを生かしました。ドラマのメインは修学旅行ですが、同時に彼女たちが卒業に向かって成長していく物語でもあるので、爽やかなんだけど懐かしさも感じられる曲にしたくて。ちょっと哀愁漂うコードを使うなどしています」
――映画の舞台でもある、東京という都市へのイメージは?
紬衣「『とにかく電車がたくさん走っている街』という印象があります。ライブなどで地方に行くと、電車の本数も全然違うので余計に強く実感します。電車でどこにでも行ける街だなと思って『急行券』をタイトルに入れました。また、東京の朝って独特の空気があるなと思って、『中毒性の香りが立ち込めた朝』という歌詞を書きました。そして落ちサビで『中毒性』と『急行券』で韻を踏ませたかったんです。歌詞でもリズミカルに、東京という大都会の広がりを感じられる仕掛けにしました」
彩楓「皆、東京で育ってきたので地元であり帰ってくると安心できる場所です。何でもある街ですが、だからこそ1人でいると寂しさを感じる時があります」
――『ゼンブ・オブ・トーキョー』は修学旅行での話ですが、皆さんの修学旅行での思い出は。
彩楓「沖縄で、民泊に泊まったりしていろんな場所をめぐっていました。ところが、次の日に首里城に行くというタイミングで火災になってしまって」
楓華「残念…と思いながら、国際通りで遊んだ思い出があります」
――次にバンドについてうかがいます。Conton Candyは、高校の軽音楽部で結成されました。
彩楓「規模も大きくて、プロのチームのような部活でした。高校時代の思い出はほとんど部活でしたね」
楓華「逆に勉強にしていた記憶がほとんどないかもしれません(苦笑)」
紬衣「今年4月に配信されて、フルアルバムにも収録している『アオイハル』に、その頃の青春の思い出を詰め込みました。若者らしい心を聴くたびに思い出してほしいなと思って書きました」
――21年に『ロングスカートは靡いて』を発表して以来、特にZ世代から共感を呼ぶ楽曲を作り続けてきましたが、作詞のヒントはどのように?
紬衣「日常の小さな出来事や感情、これらを振り返られるようにメモで記録しているおかげで、アイデアが広がっています。また楓華と彩楓も歌詞から音をふくらませてくれるんです。『花びらと生活音』という曲には生活感からインスピレーションを得た音を楽曲に落としこんでくれました」
「どんな気持ちで書いたんだろうと」3人で創作と演奏続ける日々
――作詞と作曲は主に紬衣さんが担っていますが、ライブ演奏で皆さんが心がけていることは?
彩楓「『どんな気持ちで書いたんだろう』とつむ(紬衣)の頭の中を想像しながら演奏もします。ライブでも、より感情を乗せたいと思ったパートではドラムにもコーラスにも力を込めて、感情を音に乗せることを意識しています」
楓華「私たちのバンドはリスナーに言葉で訴えかける曲が多いです。演奏者としては自分たちが目立つよりも、サウンドと言葉を届けるベースを弾きたいなと思っています。『急行券とリズム』も、つむ(紬衣)が作った物語を伝えるために、目立つところと抑えるところのメリハリを効かせました」
――『急行券とリズム』は初めてのタイアップでしたし、フルアルバムをひっさげ、11月からはワンマンライブツアー開催と、話題づくしの秋です。
紬衣「ありがたいことに、いろんな入り口で私たちの曲を聴いてもらえるようになりました。映画『ゼンブ・オブ・トーキョー』もその一つで、扉を開いたらもっと広い世界を味わえるよう、曲作りをしてきました。『こんなに多くの物語をつづってきたのか』と自分でもびっくりするくらい、楽曲のレンジが広いと思っています。人生のどんなタイミングでも曲に共感してもらえる、流動的なバンドでいたいです」
楓華「私はこの3人の声が好きなんです。楽器も3人のベース・ギター・ドラムだけで人のたくさんの情感を歌えてきたことがすごいなと思っていて。『急行券とリズム』でも私と彩楓でコーラスを頑張って、サビのボーカルに奥行きが出ています。シンプルなバンドなのに奥が深いところも私たちの強みです」
紬衣「ライブハウスに通っていた学生時代、ステージに立っているバンドに憧れて音楽を始めました。今では夢がかなっている毎日です。これからは私たちのライブに来てくれる方々に、“推し”てもらえる存在になれればなと。音楽の世界で、夢を叶えるバトンを引き継いでいきたいですね」
□Conton Candy(コントンキャンディ) Vo./Gt.紬衣、Ba./Cho.楓華、Dr./Cho.彩楓の
3ピースロックバンド。2018年に高校の軽音楽部の部員で結成。ライブハウスを中心に活動しており、21年に1stシングル『ロングスカートは靡いて』を配信。23年には『ファジーネーブル』がTikTokトレンド大賞2023 ミュージック部門にノミネート。今年10月9日に15曲を収録した初のフルアルバム『melt pop』をリリースし、11月から12月にかけて全国9都市でワンマンライブツアー『Conton Candy ONEMAN TOUR 2024 “melt pop”』を開催する。