【電波生活】ロバート馬場『走る別荘!車中泊の旅』でほぼ放送されない料理の裏側 魚介系の下処理「全部自分で」

ロバート・馬場裕之が車中泊仕様にカスタムされた車を自ら運転して全国を旅するBS-TBSの紀行番組『走る別荘!車中泊の旅』(不定期放送)。旅先の景色とともに地元の旬の食材を入手して作る料理も見どころ。26日午後7時からは北海道を舞台にスペシャルな企画が放送されるという。そもそもなぜキャンピングカーなのか、尋ねる場所、ルートはどう選ばれているのか。番組立ち上げから関わる制作会社・JFCのプロデューサーの奥田幸紀氏に舞台裏を取材した。すると意外な事実が次々と明らかになった。

旅をする馬場裕之【写真:(C)BS-TBS】
旅をする馬場裕之【写真:(C)BS-TBS】

馬場が現地で訪問先やルートを決定して移動

 ロバート・馬場裕之が車中泊仕様にカスタムされた車を自ら運転して全国を旅するBS-TBSの紀行番組『走る別荘!車中泊の旅』(不定期放送)。旅先の景色とともに地元の旬の食材を入手して作る料理も見どころ。26日午後7時からは北海道を舞台にスペシャルな企画が放送されるという。そもそもなぜキャンピングカーなのか、尋ねる場所、ルートはどう選ばれているのか。番組立ち上げから関わる制作会社・JFCのプロデューサーの奥田幸紀氏に舞台裏を取材した。すると意外な事実が次々と明らかになった。(取材・文=中野由喜)

 まず番組誕生の経緯を尋ねた。

「2019年の特番の企画会議で新しい切り口の旅番組を提案したいと思った時、当時、個人的に既製のキャンピングカーではなく軽自動車を自らカスタマイズして旅をするYouTubeの動画を見ていたんです。車を自分仕様の好きな空間に作り変え、好きな場所に行く内容でした。テレビやパソコンもあって、誰にも邪魔されずに過ごせる空間があればいいなと。簡単な料理ができて好きな所に行けて、その土地のおいしい旬の物を食べられたらなおいい。そんな自分だけの空間、誰からも干渉されない男の秘密基地があればと思ったのがきっかけです」

 訪れる場所はどう決められるのか。

「ロケ地にと思っているのは旬の食べ物がおいしい所で運転しながらドライバーの目に入る景色がすばらしい所です。この2つにポイントを置いています。だから車内では馬場さんを映すカメラとともに正面を映すカメラも搭載し、運転する馬場さんが見ている景色を多く使うように意識しています。あとは最後に夕陽を見たいという気持ちが私にあって、結果、ラストに夕陽のシーンが多いです(笑)」

 旅先の話題ではちょっと驚きの“秘密の話”が……。

「馬場さんに伝えているのは、どこの空港や駅にいつ何時に集合とか帰りの空港や駅の出発日時しか伝えていません。集合場所からどこに行くかは馬場さん本人が現地の人に聞き込みをしたり、自分で調べて決めています。だから我々は馬場さんがどこに行くか分かっていません。一方、馬場さんは馬場さんで我々にどんな料理を作るか教えてくれませんし……」

 なれ合いの旅番組をやりたくないという気骨を感じる。おかげで制作陣の舞台裏の苦労は予想以上。

「馬場さんがどこに行くか分からないため、訪問先、ルートなどあらゆる可能性を考えます。たとえば2泊3日ならロケハンに倍の6日はかけてきっちり調べています。我々の手のひらの上で馬場さんに自由に動いてもらう状態までしっかり準備します」

 10月26日午後7時から放送される『走る別荘!車中泊の旅 日本一早い紅葉をめざす秋の北海道』でもロケハンに6日かけたという。旭川駅をスタートし大雪山・旭岳の日本一早い紅葉を目指す2泊3日の料理旅。

「馬場さんがA地点からB地点に行ってもらうと効率的なのに、我々の期待に反して先にB地点に行ってしまい時間的なロスになるなどハプニング続出でした」

『走る別荘!車中泊の旅』の番組ロゴ【写真:(C)BS-TBS】
『走る別荘!車中泊の旅』の番組ロゴ【写真:(C)BS-TBS】

馬場は番組きっかけでキャンピングカーを購入

 ここで使用するキャンピングカーについて聞いてみた。

「キャンピングビルダーと言って全国にキャンピングカーを作っているメーカーさんが多くいます。多機能な面などセールスポイントの映像をなるべく使用することでお借りしています。選んでいるのは車内の空間の居心地のいい車。寒い冬のロケでは車内で料理をするので車内でちゃんと立って動けるスペースがないと厳しいんです。あとは外部電源を取れる機能があるとか、近年の猛暑ではエアコンは必須。室外機のついている車もあります」

 ここで番組の影響を受けた馬場の驚きの話も。

「馬場さんはこの番組がきっかけで車中泊にはまり、自分でもキャンピングカーを買ったんです。キッチンはありませんがベッドと趣味のモトクロスバイクを積めるようにカスタムしています。2回目ぐらいのロケが終わった時には『買います』と言っていました。この旅のスタイルがすごく気に入ったようです」

 さらに放送されていない舞台裏の様子を聞いてみた。すると馬場の奮闘ぶりが明らかに。

「ほぼカットしていますが魚介系の下処理は実は馬場さんが全部自分でやっています。魚の骨ぬき、三枚おろし、イカの皮むきなど映像的に地味なのでほとんど使っていませんが全部馬場さんがやっています。理由はスタッフがやるより圧倒的に速いからです」

 下処理をする姿をカットされる馬場から不満の声はないのか。

「馬場さんは自分で“ご褒美ロケ”と言っています。大好きな料理を自由に作って食べられるなんて、こんな幸せなことはないと。馬場さんにとってこの番組は仕事ではなく趣味だと思います」

 馬場は今やフードビジネスにも進出しているが、最後に話してくれた馬場と番組スタッフの話に驚いた。

「アシスタントディレクターをしていた番組スタッフが転職し、今、馬場さんが都内で経営するタイ風もつ鍋のお店で店長をやっています」

 旅先の詳細を伝えない制作側と料理の内容を教えない馬場。そんな両者の間に厚い信頼関係があることがうかがえた。

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