悪役だけど善人だった? 『北斗の拳』意外なエピソードを持った3人の男たち

漫画やアニメで人気の『北斗の拳』(原作:武論尊、作画:原哲夫)公式ホームページ『北斗の拳 OFFICIAL WEB SITE』にはキャラクター紹介ページがある。本作に登場するさまざまな人物が紹介されており、なかでも、主人公・ケンシロウと対峙する悪役の紹介はファン必見の内容だ。そんな本作に登場する悪役には、「意外にいいやつ?」と思えるようなエピソードを持つ人物もいる。本記事では、実は善人エピソードを持っている3人の悪役を紹介しよう。

『北斗の拳 新装版』【画像:(C)武論尊・原哲夫/コアミックス 1983】
『北斗の拳 新装版』【画像:(C)武論尊・原哲夫/コアミックス 1983】

人気の秘密は悪役に徹しきれない人の良さ?

 漫画やアニメで人気の『北斗の拳』(原作:武論尊、作画:原哲夫)公式ホームページ『北斗の拳 OFFICIAL WEB SITE』にはキャラクター紹介ページがある。本作に登場するさまざまな人物が紹介されており、なかでも、主人公・ケンシロウと対峙する悪役の紹介はファン必見の内容だ。そんな本作に登場する悪役には、「意外にいいやつ?」と思えるようなエピソードを持つ人物もいる。本記事では、実は善人エピソードを持っている3人の悪役を紹介しよう。

 最初に紹介するのは、南斗孤鷲拳伝承者のシンだ。彼は、ケンシロウの恋人であるユリアを強奪した人物である。ユリア強奪後は、サザンクロスを本拠地にし、家畜狩りと称して難民をさらって奴隷にするなどの悪行を繰り返していた。

 そんなシンを止めるため、ユリアは建物から飛び降りてしまう。このエピソードがコミックス2巻で描かれた時点では、シンは完全に悪として表現されていた。しかし、ユリアの飛び降り後の出来事がコミックス14巻で描かれた際には、シンの隠された善行エピソードが明らかになる。

 シンとのやりとりで自殺を図ったユリアだが、南斗五車星によって救われていた。しかし、武力による世界征服を企むラオウがユリアを狙っていたことから、南斗五車星にユリアを保護してもらうことになる。そこでシンは、ユリアがラオウに狙われることを避けるため、自身がユリアを殺したように見せかける決心をしたのだ。

 シンがユリアを守り、ラオウと戦う道を選ぶこともできたはずだ。しかし、シンはユリアが生きている事実を伏せたままケンシロウと戦うことを選択する。シンがおこなった善行は、ユリアを守りたいと思う心のほかに、過去の悪行に対する償いの側面もあったのかもしれない。

 次に紹介するのは、南斗鳳凰拳伝承者のサウザーだ。彼は、自身を育ててくれた南斗鳳凰拳伝承者のオウガイを殺めてしまう。師を失った悲しみ、苦しみによって彼は愛を捨てて生きることを誓った。その結果、南斗白鷺拳伝承者であり、サウザーの対抗勢力リーダーであるシュウと戦った際には人質を使って技を封じた上で捕らえるなど、卑怯な手を使って邪魔する者を倒していた。

 しかし、サウザーは愛を捨てきれていなかった。コミックス11巻においてサウザーはケンシロウとの戦いに敗れると、きれいに保管されたオウガイの遺体のもとに向かう。そこで彼は子どものようにオウガイの遺体にすがりつき、「もう一度ぬくもりを……」と口にして力尽きる。悪に染まり切らなかったサウザーの良心が垣間見える切ないエピソードだ。

 最後に紹介するのは、北斗4兄弟の長男・ラオウだ。世界征服を狙う暴君のようなラオウだが、人の良さがにじみ出てしまうエピソードもある。コミックス12巻で彼の弟・トキとの決戦では、最後に振り上げた拳をトキに当てずに地面に振り下ろす。寿命が少ないトキを思って、残りの余生を安らかに過ごすように伝えて去る姿は、弟思いの良き兄そのものだ。

 また、コミックス16巻でケンシロウとの戦いに敗れた際には、ラオウによって殺されたはずのユリアの生存が確認される。じつはラオウがユリアを殺すために突いた秘孔は、ユリアを仮死状態にするもので、秘孔の効果によって残り数か月だったユリアの寿命が数年に延びたことが明かされる。

 さらに、ラオウはユリアとケンシロウが2人で幸せに暮らすように後押しまでおこなう。ユリアへの不器用な愛と、ケンシロウへの兄としての愛が最後にそのような行動をとらせたのだろう。

 新アニメが制作中の『北斗の拳』。新アニメでは彼らのエピソードがどのように演出されるのか今から楽しみだ。

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