プロ野球スカウトという“職業” 最も意識する点は礼儀作法や身だしなみ…休みは完全不定休

プロ野球のスカウトといえばドラフト会議に向けて、1年を通して選手発掘のために全国を奔走しているとイメージする人も多いだろう。あまり表向きに明かされることのないスカウトという職業について西武の十亀剣アマチュアスカウトに聞いた。

西武の十亀剣スカウト【写真:球団提供】
西武の十亀剣スカウト【写真:球団提供】

ドラフトが全てではない…1年通じてどのように活動?

 プロ野球のスカウトといえばドラフト会議に向けて、1年を通して選手発掘のために全国を奔走しているとイメージする人も多いだろう。あまり表向きに明かされることのないスカウトという職業について西武の十亀剣アマチュアスカウトに聞いた。

 スカウトが日々対峙(たいじ)するのは、アマチュア選手との直接的な会話は規定によりできないため、学校や企業関係者の人たちであることが多い。

 その際に最も心掛けていることが礼儀作法や身だしなみだ。「選手を預からせていただく立場なので、そういういった部分は大切にします」。

 十亀氏自身もアマチュア時代、担当してくれた竹下潤スカウトの姿が印象に残っているという。「きれいに身だしなみを整えられていて、とても安心できたんです」。中には「本当にスカウトなの?」と疑いたくなるような服装や態度の人もいるという。「そういう人がもし自分の担当だったら嫌だなと思うので、そこはとても気を付けています」とスカウトされる選手側の目線に立っている。

 仕事のスケジュールも流動的。働くペースも個々に完全に委ねられている。「完全に不定休です。雨が降ったら休みにしたり、学校や社会人の試合がない日を休みにしたりしています」。仕事の進捗状況は定期的に行われる球団内の会議で測られる。「聞かれたことに対して、答えられないことが仕事をしていないということになります。そうならないように自分のペースで事前調査をしっかりとしています」。

 ドラフト会議前には、調査してきた選手を球団社長やGMを前にプレゼンする場も設けられる。選手と直接的な交流を図ることはできないものの、周辺調査で人間性までチェックする。「選手としての能力のほか、監督さんたちに生い立ちなどを尋ねるようにしています。そのうえで、うちに必要な選手だと思いますと伝えています」。

 十亀氏の担当地域は関東圏。どこかの学校や企業に肩入れすることなく、フラットな目線で対峙することを心がけている。一方で、「埼玉はチームの母体ですし、群馬は(渡辺久信)GMの出身地。今井(達也)や高橋(光成)もそうですが、北関東地区から選手を集めたいという意識は持っています」とブランディングの視点も忘れていない。

 いざ担当した選手が入団すると、その後に入寮するまでの手続きなど、私生活面を含めてサポートをしていく。入団後もマメに担当選手のコンディションなどに目を向けるなど、1人の選手として、そして1人の大人として成長する姿を見届けていく。

 活躍する選手を獲得する。言葉で表現すると簡単に聞こえはするが、その裏側の見えない部分では、スカウトたちの知られざる懸命な努力が積み重ねられている。

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