お茶の水女子大卒→俳優の道へ 岡田准一の事務所所属・山崎翠佳は上級心理カウンセラーの資格持つ才女

『カフネ』(監督・脚本=杵村春希、10月12日から東京・ポレポレ東中野で公開)で映画初主演を果たした俳優・山崎翠佳(すいか、24)。岡田准一が設立した芸能事務所AISTONへの加入も発表になった新星はお茶の水女子大心理学科卒業のメンタル心理カウンセラー、上級心理カウンセラーの資格を持つ才女。いかにして俳優の道を選んだのか。

インタビューに応じた山崎翠佳【写真:矢口亨】
インタビューに応じた山崎翠佳【写真:矢口亨】

10月12日公開『カフネ』で映画初主演

『カフネ』(監督・脚本=杵村春希、10月12日から東京・ポレポレ東中野で公開)で映画初主演を果たした俳優・山崎翠佳(すいか、24)。岡田准一が設立した芸能事務所AISTONへの加入も発表になった新星はお茶の水女子大心理学科卒業のメンタル心理カウンセラー、上級心理カウンセラーの資格を持つ才女。いかにして俳優の道を選んだのか。(取材・文=平辻哲也)

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 山崎は兵庫・宝塚市生まれの24歳。小さいころの憧れの職業は幼稚園や小学校の先生。ミュージカル・コンテンポラリーダンス歴8年、ピアノ歴10年、お茶の水女子大生活科学部心理学科への入学を機に上京し、20年に芸能界デビューした。「翠佳」は本名。新緑映える4月に生まれたことから、父親が植物のようにすくすく育ってほしいという思いを込め、つけてくれた。

 演技に憧れを抱いたのは、小2。幼稚園時代からの幼なじみと劇団四季のミュージカル『エルコスの祈り』を1列目の席で見たことだった。

「演じられている方のエネルギーや歌と踊りのすべてに、言語化できない感動がありました。中1のときからミュージカルを習いました。それから、17歳のときに高校の道徳の授業で『手紙』(山田孝之主演、東野圭吾原作)を見て、ボロ泣きしたんです。役とともに苦しくなりました。普段は意識しないことを、自分のこととして深く考えるきっかけになる。そんな映画の力って、すごいと思ったんです」

『手紙』(生野慈朗監督)は、犯罪を犯した兄を持ったため、人生を壊されてしまった弟(山田)と、弟の学費を手に入れるために強盗に入った家で、誤って人を殺してしまい、服役中の兄(玉山鉄二)の物語だ。

 この『手紙』をきっかけに、17歳のときからネットで演技を学べる場所を探し、地元でも演技を学んだ。高校時代は学業に精を出し、英検、漢検、数検2級にも合格。「合格すると、学校限定ノートがもらえたので、『それ欲しい。頑張ろう!』と思って取りました。高校時代はダンスをして、学生生活を真面目に過ごしていました。東京の大学に合格したら、女優を目指そうという思いで上京しました」

 そして、お茶の水女子大心理学科に見事、現役合格。卒業後、メンタル心理カウンセラー、上級心理カウンセラーの資格も取得した。

「人間心理を学びたいと思って、選びました。上京したタイミングで俳優事務所に応募したのですが、決まるまで1年くらいかかりました。就職活動はせず、俳優の道に進むことを決めました。人と真に交流し、深い感情を体験したい。表現をすることが好きという自分の気持ちと、芸術には計り知れない力や影響力があると思ったので、何が何でもやりたいと思ったんです」

今後についても語った【写真:矢口亨】
今後についても語った【写真:矢口亨】

朝ドラ『虎に翼』にヒロインのクラスメイト役で出演

 21年頃から俳優業を本格化。当時、在籍していた所属事務所に届いたオーディション案内を受ける中、役を手に入れてきた。22年にはコブクロのミュージックビデオ『卒業 2022Ver.』では得意のコンテンポラリーダンスをいかして、メインソロダンスを担当。23年にはNHK大河ドラマ『どうする家康』に端役で出演。今年はNHK連続テレビ小説『虎に翼』でヒロイン寅子のクラスメイト、佐野光子役も演じた。

「朝ドラの体験は大きかったです。ものづくりにかける力、撮影期間も長かったです。光子は女性の権利が確立していなかった時代に、法律を学びたいと思った人です。自分が正しいと思うことを貫けるエネルギッシュな彼女の志に触れ、自分なりに考えたことで、私の中にも自分の意見をしっかり伝えられるような光子の部分を見つけられました。親も喜んでくれたので、うれしかったです」

 座右の銘は教育者ルドルフ・シュタイナーが残した「おのれを見出すために おのれを すてなさい」だという。

「シュタイナーの言葉は、著書『魂のこよみ』にあった言葉です。役作りにおいて、自分のエゴを捨て去らないと役になれない。相手と向き合うときも、偏見や固定概念があったらその人の本質を見出せないでしょうし、そういう意味でも自分を捨て去ることで、真に自分や、相手に出会えると解釈しています」

 好きな時間は瞑想したり、手紙を書くこと。「その人にあった便箋を選んで、手紙を書いて何回も書き直したやつを清書して送ります」

 初主演作『カフネ』は、予期せぬ妊娠をしてしまった高校生の悩み、決意を描く。試写会には母親も見に来てくれた。

「(劇中の主人公)澪は『愛されてるんだよ』とお父ちゃんから言われるんです。その意味を当時も感じていましたが、自分の人生の中でその意味はこういうことだったのか、と周りの愛や日常にある優しさに気づくたびに、噛み締めています」

 今後については、こう話す。

「強い女性の役には憧れを持っていますが、まずは目の前のものに全力を尽くしたいと思っています。さまざまな役を演じるためにも自分を整えて鍛えること。他人のことを知るためには、自分を知らないといけないですし、本を読んだり、映画を見ることも大事だと思っています」。岡田准一が認めたその才能は今、大きな芽を伸ばそうとしている。

※山崎翠佳の「崎」の正式表記はたつさき

□山崎翠佳(やまざき・すいか)2000年4月30日、兵庫・宝塚市生まれ。お茶の水女子大生活科学部心理学科への入学を機に上京し、20年に芸能界デビュー。22年、特技のコンテンポラリーダンスを生かしたソロダンスをコブクロの『卒業2022ver』のミュージックビデオで披露した。23年には、映画『カフネ』に初主演し、第1回きみの海南映画祭(2024)観客賞と主演俳優賞を受賞。ドラマには、22年のテレビ朝日系『彼女お借りします』で川中祐希役、23年のNHK大河ドラマ『どうする家康』では門徒兵役、NHK連続テレビ小説『虎に翼』では主人公・猪爪寅子(伊藤沙莉)の明律大学女子部の同期生・佐野光子役を演じた。156センチ。

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