港区タワマン生活から投資損失3500万円、全財産失った30代 生活水準を下げて「取り返す」

「FXで貯金が無くなり、港区のタワマンから引越すことになりました」――。世間的に金融投資への熱が高まっている中で、個人投資家のあるSNS投稿が話題を集めた。投資にリスクは付き物だが、タワマン生活が一変する事態に。しかも、損失額は「3500万円」を超えている。「明日は我が身」「私も爆損です」とネット上で反響を呼んだ。今夏には日経平均株価が大暴落した“令和のブラックマンデー”が起きるなど、資産の行く末にやきもきしている投資家は多いだろう。一体何が起きたのか。投稿者がリアルな実情を教えてくれた。

タワマン生活が激変【写真:本人提供】
タワマン生活が激変【写真:本人提供】

「生活が苦しくなったので、家賃は20万弱下げました」 心機一転でFX逆転劇を狙う

「FXで貯金が無くなり、港区のタワマンから引越すことになりました」――。世間的に金融投資への熱が高まっている中で、個人投資家のあるSNS投稿が話題を集めた。投資にリスクは付き物だが、タワマン生活が一変する事態に。しかも、損失額は「3500万円」を超えている。「明日は我が身」「私も爆損です」とネット上で反響を呼んだ。今夏には日経平均株価が大暴落した“令和のブラックマンデー”が起きるなど、資産の行く末にやきもきしている投資家は多いだろう。一体何が起きたのか。投稿者がリアルな実情を教えてくれた。

「FXで貯金が無くなり、一から出直し、お金を貯めるために、港区のタワマンから引越すことになりました ガチです」

 誰もがうらやむ東京都港区在住からの「転出証明書」、日付は今年の9月4日と記されている。そして、損益データも明らかにしている。約3559万円のマイナス。赤字の額が衝撃を放った。

 外国為替証拠金取引(FX)は、日本円と米ドルなど、2か国の通貨の為替相場を予測して売買する金融商品のことで、ハイリスク・ハイリターンの特徴を持つと言われている。

 身の上話をXに投稿したのは、アーリス機長(@ARLISS_FX)さんだ。年齢は30代で投資歴は7年強。2017年5月の運用開始以降、「ずっとFXで、いろんな通貨ペアをやってきました。今年に入ってCFD(差金決済取引)にも手を出してみましたが、100万円負けくらいで辞めました」。“FX一筋”を貫いてきた。

 今回Xでつまびらかにした運用結果。7年強にわたる全体の損益は「マイナス3500万円」と大きく負け越したが、これまで大きく2回のイベントがあったという。

「1回目は、FX開始1年目です。友人数名がFXをやっているという話を聞き、自分もFXを始めてみようといろいろとネット記事を読みました。そこで、トルコリラ円のスワップ運用(金利差によって生じる損益)が楽に稼げそうだと思い、確か50万円分くらいのトルコリラを買いました。当時は30円くらいだったので、素人感覚で、さすがにもう下がらないだろうと思い込んでいました。しかし、みるみるうちに下がってしまい、次々貯金をつぎ込みました。最終的にはクラッシュに遭ってしまい、1000万円程度の損失を出してしまいました」。初心者時代にイケイケドンドンの末にしでかした痛恨の失敗。この損失については、その後に少しずつ利益を出し、「損益はマイナス500万円くらいまで戻しました」と説明する。

 2回目は昨今の極端な為替相場だ。「ここ数年の歴史的な円安です。さすがにもう上がらないだろうという思い込みで、ドル円、ユーロ円やポンド円等で逆張りを続けてしまい、耐え切れずに、強制ロスカット(損失が一定水準になると、業者によって強制決済されること)を何度もくらってしまいました。ここ2年での損失は3000万円程度になりました」。震え上がる経験を何度もしたそうだ。

 自慢の港区タワマンは、賃貸で約7年住んだ。都心を一望する壮観の眺め。羨望のタワマン生活はいったん幕を閉じることとなった。

 出直しとなる引っ越し先は、関東圏の賃貸マンション。「生活が苦しくなったので、家賃は20万弱下げました」と明かす。「港区タワマンは、若い頃に一度は住めたらいいなと思って住んだところなので、心機一転、今回の引越しがいい転換期だと思っています」。生活水準を落とし、まずは身の丈に合った暮らしから再建をしていくとのことだ。

お別れとなったタワマンからの眺め【写真:本人提供】
お別れとなったタワマンからの眺め【写真:本人提供】

「強い意志を持って、投資に回す金額をきちんと最初に決めておくことが何よりも大事」

 投資・資産運用は成功と失敗の繰り返しでもある。新NISAの導入などによる投資ブームが過熱を見せる中で、自身による壮絶な失敗の体験を通して、アーリス機長さんが伝えたいメッセージがあるという。

「メッセージは2つあります。1つ目は、資金管理を徹底することです。私は、いつの日からか、含み損が膨らむごとに、100万円単位で貯金をどんどん切り崩すようになり、しまいには生活資金にまで手を付けてしまい、ほぼ全財産を失ってしまいました。ダメだと思っていても、やってしまいました。強い意志を持って、投資に回す金額をきちんと最初に決めておくことが何よりも大事だと思います。それができないと、いつかは破滅してしまうと思います」。そして、2つ目は「ポジポジ病(常に取引をしてしまう心理状態)は怖いということです。勝ち試合にだけ臨む覚悟が必要だと思います。負け試合の数が増えてしまうと、1つの負け試合をきっかけに、損切りできず、破滅につながっていく未来がいつか来てしまう気がします」。説得力が響く。

 アーリス機長さんは投稿で、「FXでお金を失ったので引越します 涙ををそそるトワイライト この景色ももう最後 必ず復活する アディオス」と書き込み、タワマンの夕暮れの情景とともに、再チャレンジを力強く宣言した。

 手持ちの資産は悲惨な状態でもある。「8月5日の強制ロスカットで残った全資産はたったの20万円です。生活するのすら厳しい状況なので、まずは生活水準を下げ、コツコツ貯金をしたいと思います」。

 ここから掲げるキーワードは「逆転」だ。「ある程度のお金が貯まるまでは、少額でもFXは辞めずにトレードを続け、勝ち癖を付けたいと思っています。まずは金額ではなく勝つことにこだわりたいと思っています。逆転のチャンスをうかがいます」と語気を強める。

 捲土重来に向けて「『FXで失ったお金は、FXで取り返してやる!』と考えています」と誓いを立てた。

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