岡崎紗絵、俳優デビュー10年で変化した心境 転機与えた“恩人”への感謝「社長の存在は大きい」

俳優の岡崎紗絵(28)が10月11日から公開される映画『はじまりの日』に若手音楽プロデューサー役で出演する。ex JAYWALK・中村耕一と遥海のダブル主演となった本作は、まるでミュージカルを見ているかのような独特な雰囲気に仕上がっている。そんな同作への思いや役者生活10年という節目を迎えた今思うことなどを語ってもらった。

映画『はじまりの日』に出演する岡崎紗絵【写真:舛元清香】
映画『はじまりの日』に出演する岡崎紗絵【写真:舛元清香】

映画『はじまりの日』で初共演の竹中直人は「パブリックイメージ通りすぎ」

 俳優の岡崎紗絵(28)が10月11日から公開される映画『はじまりの日』に若手音楽プロデューサー役で出演する。ex JAYWALK・中村耕一と遥海のダブル主演となった本作は、まるでミュージカルを見ているかのような独特な雰囲気に仕上がっている。そんな同作への思いや役者生活10年という節目を迎えた今思うことなどを語ってもらった。(取材・文=中村彰洋)

 岡崎が日比遊一監督の作品に出演するのは『名も無い日』(2021年)以来2度目。前作は役をオーディションでつかみ取ったが、今回は日比監督からの直々のオファーだった。2作連続での日比作品への出演となったが、「お話しをいただいた時は『おぉ~!』と驚きました」と笑う。

「今作は私の地元の名古屋が舞台でもあったので、お声がけいただけたのかなと思っています。日比監督が前作とは違った作品、音楽の映画をやりたいとおっしゃっていて、あまり想像がつかず、『どんな作品になるんだろう』とワクワクしましたね」

 今作で演じた「望月」は若手音楽プロデューサー。「知らない分野であまり想像がつかない役だったので、ちょっと緊張感がありました」と振り返る。

 上司にあたる「矢吹」を演じた竹中直人とは初共演となったが、「竹中さんがいらっしゃる場所だけ、時空が違うような感覚なんです」と強烈な存在感に驚かされたようだ。

「本当にハッピーで面白い方で、パブリックイメージ通りすぎました(笑)。何かハプニングが起きたとしても、全てを楽しもうという精神でいらっしゃって、そこが素晴らしいなと思いました。リハーサルでは、歩くたびにちょっと転んでみるとか、面白いことをやられているのですが、本番ではいきなりバシッとやられるので、そのギャップにみんなビクッとしてしまうんです。現場でのたたずまいなどは、私にまねできるものではないけれど、本当に勉強になる部分が多かったです」

 当の竹中は岡崎について「独特で面白い」と評していた。この事実を知った岡崎は、「独特で面白い……。分かんないな~」と苦笑いだ。

「独特なのは竹中さんなんですよ! 突然カメラが回っていないところで、ムチャブリをたくさんしてくるんですよ。『え、なにこれ?』と思いながらも、ちゃんと対応はしていたので、そういうところなんですかね……?(笑)。でも、本当に楽しくて、思い出に残っています」

 今作で主演を務めるのは、歌手活動をしている中村と遥海。中村にとって俳優業はほぼ初めて、遥海もミュージカル経験こそあるものの、映画出演は初めてだった。

「お二人共、とてもピュアで勉強になる部分がありました。『リアルってこうだよな』みたいなものを改めて教えてもらった感覚があります。遥海さんは、最初はすごく不安だとおっしゃっていたのですが、実際に対峙(たいじ)すると、そこに自然体でいるだけで、成立するような存在感がありました。その雰囲気が映像にも出ているなと思っていて、本当に感じたものをそのまま表現していて、全部がリアルだなと思いましたね」

 作中では中村や遥海が実際に歌唱するシーンも描かれているが、「歌っているときとのギャップが本当にすごいので、私も感動させれて引っ張られました」と圧倒されたようだ。

俳優デビューから約10年を迎えた岡崎紗絵【写真:舛元清香】
俳優デビューから約10年を迎えた岡崎紗絵【写真:舛元清香】

3月にはFC開設「本当に私の励みになっています」

 本作はすべてのシーンが岡崎の地元でもある名古屋で撮影された。「『スケールでかっ!』と思いましたね。名古屋でこんなことできるんだって(笑)。特に久屋大通公園の時計台の前でスモークを炊いて、みんなで踊るシーンは、海外映画なのかなと思うぐらいでした。地元での撮影は、今まで見ていた景色で、道を歩いてるだけでもいろんなことを思い出すので、ほかの場所での撮影とは少し違いますね。仕事で来られるようになったんだなと、エモーショナルな感覚になりました」。

 岡崎演じる「望月」は歌手になることを思い悩む、遥海演じる「女」を導く存在となっているが、岡崎自身にとっては、現事務所の社長がそんな存在となったようだ。

「望月みたいに1からというわけではなかったですが、プロデュースされるという意味では、社長の存在は大きいです。お芝居の世界に入ったのも、社長の一言がきっかけでした。私自身、お芝居をやれるだなんて全く思っていませんでした。右も左も分からなさすぎて、『お芝居をやりたい』という入り口にすらも立っていませんでした。そんな時に『(演技に)興味ある?』と突然言われて、『ありますけど……どんな感じなんですかね?』みたいに微妙な返答をしたのが始まりでした」

 そこから約10年。俳優として主演作や話題作への出演が急増するなどまさにブレイクまっただ中だが、まだまだ学ぶことがたくさんあるようだ。

「難しいと思うことが多くて、楽しいと思えることがなかなかないんです。いつか純粋に楽しめたら最高ですよね。でも、最初は恐怖と不安ばかりでしたが、以前よりも楽しいと思えることが少しずつ増えてきてはいるなと思います。モチベーションを保つこともとても難しくて、『達成感ってなんなんだろう』と思ったりもします。自分の中でどれだけやりきれるか、どれだけ充実して『私はやった!』と思えるようになるかが大切だなと思っています」

 3月には初のファンサイトも開設。より応援してくれるファンとの距離がグッと縮まった。

「お手紙やメッセージをいただくことが増えました。私の作品を見て、『看護師を目指すきっかけになりました』などと言ってくださる方もいらっしゃって、そういう声をもらうと『そんなに勇気を与えることができていたんだ』とうれしくなります。お芝居ってなかなか、見てくださる方々からの反響の声をいただく機会も少ないので、そういう声をもらえることは本当に私の励みになっていますし、次に生かすことができています」

 ファンネームは「観測隊」。岡崎の左ほほにある4つのほくろが成す“岡崎座”を観測するという意味が込められている。そんな「観測隊」に輝きを増した姿を見せるためにも成長を続けていく。

□岡崎紗絵(おかざき・さえ)1995年11月2日、愛知県出身。2012年に女性ファッション雑誌『Seventeen』(集英社)で専属モデルとしてデビュー。現在は雑誌『Ray』の専属モデルを務める。15年より俳優としても本格的に活動を開始し、ドラマ『教場II』(21年/フジテレビ)、『マウンテンドクター』(24年/フジテレビ)など話題作に出演。24年10月から放送の『あのクズを殴ってやりたいんだ』(TBS)にも出演。映画『はじまりの日』、『BISHU~世界でいちばん優しい服~』の2本も同年10月に公開される。俳優とモデルの活躍が多岐にわたる。

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