【電波生活】『ケンミンSHOW極』面白ネタ尽きない背景 スタッフ30人で意外なアナログリサーチ

久本雅美と田中裕二がMCを務め、各都道府県のあるエリア独特の食や文化、慣習、言葉などを紹介し、自分の暮らす地域との違いなどに驚き、感動や笑いも巻き起こす読売テレビ・日本テレビ系『秘密のケンミンSHOW極』(木曜午後9時)。番組で紹介される数々の地域の情報やネタをどうやって集めているのか。チーフプロデューサーの清水紀枝さん(ハウフルス)に舞台裏の様子や苦労、この番組に携わって感じる各地方の傾向も聞いてみた。

『秘密のケンミンSHOW極』でMCを務める田中裕二と久本雅美【写真:(C)読売テレビ】
『秘密のケンミンSHOW極』でMCを務める田中裕二と久本雅美【写真:(C)読売テレビ】

事前のロケハン行わず…チーフプロデューサーが明かす数々の舞台裏

 久本雅美と田中裕二がMCを務め、各都道府県のあるエリア独特の食や文化、慣習、言葉などを紹介し、自分の暮らす地域との違いなどに驚き、感動や笑いも巻き起こす読売テレビ・日本テレビ系『秘密のケンミンSHOW極』(木曜午後9時)。番組で紹介される数々の地域の情報やネタをどうやって集めているのか。チーフプロデューサーの清水紀枝さん(ハウフルス)に舞台裏の様子や苦労、この番組に携わって感じる各地方の傾向も聞いてみた。(取材・文=中野由喜)

 最初に番組誕生の経緯を聞いた。

「新番組の企画会議を行っている際に福井県出身のスタッフがテレビの砂嵐を『ジャミジャミ』と言ったことで『何、それ?』とみんなで盛り上がったのが発端です。他の県でも何かあるのでは、ということで北海道から沖縄までいろんな地方出身のスタッフが集まって会議を行いました。上京したら無かった物や東京で通じなかった言葉などを出し合う中で、当たり前だと思ったことが他府県の人に通じない、面白い、すごい、となって特番をへてレギュラー番組となりました」

 最近では大阪の人が会話の最後によく「知らんけど」と言うとか大阪のオカンはよく「明日のパン」と言うなどクスっと笑えるネタも。ところてんに黒蜜をかける地域に驚いた人も多かったはず。放送翌日には街で話のネタにもなるほど新鮮な刺激を与えてくれる。そんなネタを2007年の番組開始からどう発見し続けているのか。ネタの確認作業も必要なはず。

「コロナ禍以降は週1回の会議ですが、スタッフ以外にも外部のリサーチ会社、放送作家にいろんなネタを出してもらい、会議でこのネタなら調べる価値があると思ったらアナログですがスタッフ約30人総出で電話を使って番組で扱えるかリサーチをします」

 30人体制とは驚きだ。ところで誰に電話するのか。

「番組開始当初は番組の認知度が低いためタウンページなどに載っている不特定多数の人が集まる美容院などのお店や町役場に連絡していました。番組が認知されてきた今はパイプができ、以前、お世話になったご家庭やお店に電話して聞いています。食べ物の消費量などデータ的なことは総務省や農林水産省の資料で確認し、慣習や方言などは必ず地元の識者の方に話を聞いています」

 番組の見どころの1つは街頭インタビュー。スタッフが訪ねたエリアの一般人が時に感動的に、時に笑えるインパクト抜群のトークを展開する。たとえば鹿児島の少年は火山灰のせいで不便なこともある桜島に「ジャイアンみたい……いなくなるとさみしい」と言ったり。すると驚きの舞台裏が……。

「この番組はロケハンを行っていません。ネタに入る前の街頭インタビューが肝なので街頭インタビューにすごく時間をかけています。ネタにもよりますが、たとえば大阪では1回のロケで100人以上にインタビューしています。その中から放送される10人前後の方は高いトークスキルと面白いネタを持っている“エリート”です(笑)。ミキの亜生さんが話していましたが、知人の息子さんがインタビューされたけど放送されず『放送されるのは、持っているエピソードやトークスキルが相当優秀な人だと言っていた』と」

 面白いインタビューを撮ることも大変だが、今年は厳しい猛暑。外で立つだけでもつらい。街の人も立ち止まるどころか出歩く人が少なくて苦労したという。

「街頭インタビューの苦労はまだあります。地方に行くと方言の意味が分からず会話が成り立たないこともあるんです」

 地域によっていろいろと取材時の特徴があるのだろうか。

「北海道の方は大らかで、沖縄の方もテーゲーな感じの大らかさがあって、こちらが期待するコメントをくださいます。北関東3県も方言や独特のキャラクターをお持ちなので、撮れ高がいいです(笑)」

 MCの田中と久本の魅力も聞いてみた。

「田中さんは爆笑問題として太田光さんにすごいツッコミをしていますが、この番組では田中さんの天然な部分が出ていて、それを久本さんにツッコまれる構図になっています。田中さんは東京出身ですから地方のことを毎回、驚いてくださり、その新鮮な驚きに対して久本さんがツッコむというコンビネーションがすごくいいと思います」

 最後に今後の抱負を聞いた。

「今は地方出身者も出身県を堂々と言えるようになってきたと思いますが、もっともっと自分が住んでいた土地、言葉、習慣を堂々と言えて、それを後世に残せるような番組にしたいです。みんなが自分のふるさとを大好きと言えるようなネタの提供と番組作りをしたいです」

 10月3日は2時間の放送枠でブレイクを狙う“隠れラーメン”を追跡する企画「ケンミン下剋上ラーメン」と茨城、栃木、群馬を特集する「北関東3県 大感謝祭!」という特別企画2本立てという。番組でふるさとが紹介された時、なつかしさと同時に誇らしく思えたという声をよく聞く。今後も地方出身者を元気にしてくれることを期待したい。

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