東京23区でも進む家庭ごみ有料化の議論 「まだ無料だったの?」衝撃受ける声も…都の現状の方針は?
家庭ごみの「有料化」が全国各地で議論を呼んでいる。指定のごみ袋を住民が購入してごみを出す仕組みを取り入れる自治体が全国的に増加しており、自治体ごとに有料化導入の採否が分かれているのが現状だ。こうした中、現在無料の東京23区で有料化が取り沙汰され、「住民の負担増」を巡って大きな反響に。実際に、東京都と各区市町村では家庭ごみ有料化の検討が行われており、すでに有料化を実施している全国の自治体では試行錯誤が続いている。
環境省は家庭ごみの有料化を推奨
家庭ごみの「有料化」が全国各地で議論を呼んでいる。指定のごみ袋を住民が購入してごみを出す仕組みを取り入れる自治体が全国的に増加しており、自治体ごとに有料化導入の採否が分かれているのが現状だ。こうした中、現在無料の東京23区で有料化が取り沙汰され、「住民の負担増」を巡って大きな反響に。実際に、東京都と各区市町村では家庭ごみ有料化の検討が行われており、すでに有料化を実施している全国の自治体では試行錯誤が続いている。
東京23区での家庭ごみの現状を取り上げるニュースが報じられると、SNS上では「えっ?まだ無料だったの?」「衝撃的過ぎてびっくりなんだけど!!」「有料化で解決できる問題なのか? 有料にする前に無駄を削れよ」「東京23区の家庭ごみ有料化は実質的な増税か?」「有料化などして 何でもかんでも 庶民に負担をかけるの辞めてほしい」「有料化はしない方がいいじゃないか?コンビニに家庭ごみを捨てにくる奴が増えるのと、それのせいでコンビニや公園やら施設からゴミ箱が無くなるぞ!」など、驚きの声が上がっている。
同地域の家庭ごみ有料化を巡っては、実は2019年から都と各区市町村との共同検討会が継続して行われている。都環境局の担当者は有料化について「現在は検討段階であり、導入することが決まっているわけではありません」としながら、「ごみの削減、リサイクルの推進」が主な理由の1つであることを説明した。
実際に中央防波堤内側埋立地上にある環境局中防合同庁舎を訪れると、庁舎の隣では「中防不燃・粗大ごみ処理施設整備工事」が進行。周辺は工事のための作業車や積み荷を乗せたトラックが行き交い、人が歩く姿はあまり見られなかった。バスを降り、庁舎の前から川を挟んだ先にある最終処分場を望むと、コンテナが置かれているのが分かる。北東方向には都の紋章も見えた。だが、実際にごみが埋め立てられているのはさらに奥とみられ、肉眼ではほとんど見ることができなかった。それほど広大なスペースであるのだが、都環境局公式ホームページ(HP)によれば「埋立処分場の残余容量及び本計画の埋立量から算出すると、今後50年以上の埋立てが可能と推計しています。しかし、埋立てできる量に限りがあることには変わりありません」とされ、“満杯危機”がじわりと迫っているのが実情だ。
都の廃棄物埋立処分場は、江東区海の森に存在する。東京23区の家庭などから出るごみは、最終的に東京湾に埋め立て処分されている。同局のホームページ(HP)によると、195ヘクタールの広さを持つ中央防波堤内側埋立地は埋め立てが完了。現在199ヘクタールの中央防波堤外側埋立処分場、480ヘクタールの新海面処分場の埋め立てを進めている。
都内ではすでに自治体が指定するごみ袋の購入による有料化が行われている地域がある。多摩地域では、導入に向け住民説明会を複数回開催し、理解が得られるよう努めたという。現在の未導入の地域に今後導入された場合、“住民の負担”が大きな関心事になるだろう。都環境局の担当者は「各区市町村が決定の権限を持つため、ごみ袋の値段をどのように値段設定するかによります」と話すにとどめた。
廃棄物処理に関する法制度を所管している環境省は「一般廃棄物処理有料化の手引き」を公表している。その中で「廃棄物の排出抑制や再生利用等による資源循環の推進のために有効なツールであり、国民の行動変容を促すことが可能」とし、有料化が効果的であると記載されている。
一方で、転居や移住に伴い、ごみの捨て方が異なることに戸惑う人もいる。そもそも分別方法やごみを捨てる曜日はどうして統一されていないのだろうか。環境省に問い合わせてみると、「捨て方は廃棄物処理法によって、各市町村が地域の特徴を踏まえた上で決定すると定められています。環境省としては、各自治体に対し基本的なごみの出し方や指針の作成、技術支援などを行っていますが、廃棄の方法を実際に決めるのは各自治体となります」と回答。具体的な運用については各自治体が決定権を持つとのことだ。
さまざまな自治体が既に導入している家庭ごみの有料化。各自治体の実情を見てみると、共通課題とも言える諸問題が出てきている。
現在、ごみ袋の有料化を導入していない徳島市は昨年5月、「燃えるゴミ」の名称を「分別頑張ったんやけど、燃やすしかないごみ」に変更した。燃やすごみの中に、再利用可能な紙ごみが多く含まれていることに危機感を抱き、市民に対して分別への意識をより高めてもらおうと、名称を変えたという。市の担当者は「捨て方や分別に対する市民の方の気づきに重きを置いています。変更の効果につきましては長い期間で見ていけたらと思います」と話した。また、今後指定のごみ袋の導入・有料化をどう考えていくのかについては「担当課として検討やシミュレーションは行っていますが、具体的に市として導入することは現時点ではない」と説明。実際にどれほどごみの量が減ったかについては10月1日に発表される。
また、すでに有料化が導入されている愛知・瀬戸市では昨年7月、もともと決定していた家庭ごみ用の袋の値上げを実施2か月前のタイミングで凍結。いわゆる“値上げ凍結条例”が市議会で採決されるなど、論争を呼んだ。当初、市側が値上げを考えていた経緯はごみ袋の価格上昇による市民の買い控えでごみ量が減少する点、またごみ処理施設の老朽化による今後の処理費用増加への懸念が主な理由とされている。川本雅之市長は当時、1年半から2年後をめどに再度検討する旨を表明していたが、現状はどうなっているのか。同市の担当者は「現状、価格に変更はない」と回答した。
都や都の各市町村が家庭ごみの有料化を検討していることを受け、環境省は「家庭ごみの有料化は廃棄物処理法に基づいて、環境大臣が決定しております。環境省としても有料化は推奨しており、結果としてごみの減量につながることが望ましいです」と話している。