自民党総裁選 街頭演説の秋葉原が異様な光景 「帰れ」怒声響き、やじ激化の場面も…SPが厳重警備
帰宅ラッシュの“アキバ”が、異様な熱気に包まれた。自民党総裁選(27日投開票)に出馬した9候補が19日、東京・秋葉原で街頭演説会に臨んだ。現状の総裁選スケジュールでは、都内での街頭演説会はこの回のみの実施予定となっており、多くの聴衆が集結。屋外となった会場は手荷物チェックに加えて、大量のSPや警察官が厳重警備で目を光らせた。候補者が熱弁をふるう中で、やじが激化する場面も見受けられた。
秋葉原にあふれた警察官 ヨドバシカメラが見える屋外会場
帰宅ラッシュの“アキバ”が、異様な熱気に包まれた。自民党総裁選(27日投開票)に出馬した9候補が19日、東京・秋葉原で街頭演説会に臨んだ。現状の総裁選スケジュールでは、都内での街頭演説会はこの回のみの実施予定となっており、多くの聴衆が集結。屋外となった会場は手荷物チェックに加えて、大量のSPや警察官が厳重警備で目を光らせた。候補者が熱弁をふるう中で、やじが激化する場面も見受けられた。
今回の総裁選は、過去最多となる9人が出馬表明。高市早苗経済安全保障担当相、小林鷹之前経済安全保障担当相、林芳正官房長官、小泉進次郎元環境相、上川陽子外相、加藤勝信元官房長官、河野太郎デジタル相、石破茂元幹事長、茂木敏充幹事長が立候補し、総裁の座を巡って論戦を交わしている。
秋葉原の象徴の1つでもあるヨドバシカメラが奥に見える位置で、JR線路の高架下付近に選挙カーを横付けする形で演説会場が設置された。午後5時の演説開始前から制服警察官たちが慌ただしく会場付近を動き回り、入場を希望する人たちが長蛇の列を作った。
報道エリアの入り口でも金属探知機などの手荷物チェックが実施され、現場付近の歩道橋には多くの警察官が配置された。選挙カーのちょうど真上となる京浜東北線のホームには警備担当者の姿も。演説中は、SPのバッジを胸に付けた眼光鋭い警護担当者が何度も見回り、高レベルの警戒態勢が見て取れた。
候補者の主張や政見を聞こうと、若年層からスーツ姿の人たちまで、多くの聴衆が集まった。スマホで撮影したり、熱心に聞き入るなどしていた。交通整理の警笛が鳴り響き、会場外では通行人たちが足を止めて演説に耳を傾けた。
中には、アイドルの公演さながらの“応援うちわ”を手にする人たちも。茂木氏の支持者と見られ、「こっちみて もてぎん」など派手な文字の装飾うちわがインパクトを放った。
ギャラリーからは「茂木頑張れ」「早苗頑張れ」「コバホーク!」などエールの声が。一方で、候補者が登壇する間に「帰れ」という怒声が響くことも。また、一部でやじが強まり、警備担当者が当事者に声をかける場面も見られた。やや緊迫する時間帯もあった。
中国の日本人学校の男児が刺され死亡した事件で追悼の言葉も
演説会で候補者たちは、直近で起きた中国広東省深センで日本人学校の男児が刺され死亡した事件に触れ、追悼の言葉を述べた。
候補者たちは1人10分の持ち時間で、主要な政策や提言を訴えると共に、独自色を打ち出した。
4人の娘の父親でもある加藤氏は「子どもは国の宝です。そうであるならば、全国どこに住んで生活しようと同じように支えるべき」と、子育て支援の強化を訴えた。河野氏は自身の「改革」の実績を押し出し、「逆風の中で傷だらけでも改革を進めてきました。日本を前に進めます」と強調した。石破氏は持論である「日本を守る、国民を守る」というスローガンを口にし、安全保障や防災の強化について述べた。
日暮れになっても、候補者たちはエンジン全開で演説に熱を入れる。茂木氏は「経済で失敗すれば政権が倒れる。外交で失敗すれば国が傾く」との覚悟を語った。高市氏は「危機管理投資と成長投資」の政策を掲げ、「令和の国土強靭(きょうじん)化計画を作らせてください」と語気を強めた。小林氏は自身が就職氷河期世代であることを説明し、「非正規で働き続ける仲間もいます。今の若い人たちには、自分たちと同じ思いを絶対にさせたくないです」と、雇用・賃金対策に力を入れることを約束した。
林氏はカルチャーの発信地・秋葉原が演説会場であることを意識。「私もギターやピアノを弾きますが、映画・アニメ・ゲーム・漫画。これらは日本の基幹産業です。キャラクターや原作を生み出す力が日本にはあります。原作者やクリエーターを国が支えていきます」と語った。小泉氏は労働市場改革に言及し、「私はそれをやります」と力強く宣言した。最後に登場した上川氏は外務大臣の経験を基に「『秋葉原に行きたい』。これが世界の共通事項です。世界のアニメ・漫画の聖地です。アートの力で、新しい産業を興していこうではありませんか」と声を張り上げた。会場からは“陽子コール”が沸き起こった。