松山ケンイチ、『虎に翼』は“人間賛歌” 仏頂面に苦労も「団子でいろんな表現できた」

俳優の松山ケンイチがNHKで、桂場等一郎役で出演する連続テレビ小説『虎に翼』(月~土曜午前8時)の取材会に出席し、桂場と自身の相違点や今後の見どころ、主人公・佐田寅子を演じる伊藤沙莉の魅力などを語った。作品は日本で初めて法曹界に飛び込んだ女性を中心に友情や家族愛を描き、事件や裁判が解決される爽快感も味わえるリーガルエンターテインメント。桂場は寅子の成長を見守る裁判所の先輩。

桂場等一郎を演じる松山ケンイチ【写真:(C)NHK】
桂場等一郎を演じる松山ケンイチ【写真:(C)NHK】

寅子の裁判所の先輩・桂場等一郎を熱演

 俳優の松山ケンイチがNHKで、桂場等一郎役で出演する連続テレビ小説『虎に翼』(月~土曜午前8時)の取材会に出席し、桂場と自身の相違点や今後の見どころ、主人公・佐田寅子を演じる伊藤沙莉の魅力などを語った。作品は日本で初めて法曹界に飛び込んだ女性を中心に友情や家族愛を描き、事件や裁判が解決される爽快感も味わえるリーガルエンターテインメント。桂場は寅子の成長を見守る裁判所の先輩。

 まず桂場と自身の相違点を尋ねた。

「桂場のモチーフになった方は少年時代から剣道をやっていて、ずっと武道に携わってきた人。そこで武道の精神というか、ある意味武士の精神みたいなものを桂場にとり入れたいと思っていました。厳格さ、覚悟……物事に対しての考えも研ぎ澄まされています。司法の独立にこだわり、そのために生きている面もあり、ブレるわけにはいかないと自分を律している部分もあります。僕はそこまで考えて生きていないので……。いろんな周りの常識、ルールは受け入れつつ、その中で自分はどう心地よく生きていくのか、幸せに生きていくかを考えてきたので全然違います。ある意味、僕はゆるさを持って生きている気がします」

 似ている点はどうか。桂場は団子好き、あんこが好きな設定。

「厳格さの中にも団子が大好きな部分だけは似ています。年齢を重ね、食べる量は少なくなりましたが甘い物は好きです。辛い物は苦手です。以前、花岡(岩田剛典)が法を守って闇市の食料を食べず餓死しましたが桂場はそうではなく、どこかで線引きしていました。そこは生きる上でなくてはならない感覚。自分に近いと思いました」

 桂場はいつも仏頂面。だからこそたまにニヤッとする瞬間が面白い。そんな桂場のキャラクターをどう作り上げたのか。

「仏頂面が基本形なのでどう表現していくか。出てくるたびにあおるような感じですが、それはある意味、背中を押していることにもつながっていると思い、桂場はそういうふうにしか表現できないんだろうなと思います。それだけだと幅が狭くなり、記号でしかなくなるので、記号をどう今まで見たことのない記号にできるかを常に探っています。基本の仏頂面をどこまで崩して、どこまで遊ぶか常に探っていました。表情の代わりに手や他の部分で表現できることもたくさんあります。今回は団子でいろんな表現ができたと思います。団子を食べようとした時に話しかけられる場面では無視して食べればいいのに食べない。置けばいいのに置かない。団子を優先するかトラちゃんの話を優先するのか迷っている表現になったりします。そういうことを今回、いろいろ探れて試せました。せっかく団子が目の前にあるので利用した方が桂場の記号的な何かから違った見え方ができるのでは、といつも考えていました」

 ここで主演の伊藤の魅力も聞いた。

「出番が多いのに、電池切れがまったくないんです。すごいと思います。僕は経験がありますが電池切れになると役の方向性で迷子になったりします。修正することさえ考えられなくなる状態になります。沙莉ちゃんの居方を見ていると迷いがない感じがします。すごいことだし体力があるなと思います」

 物語の中で桂場はどんなの存在と考えているのだろう。聞くと今後の見どころを示唆した。

「桂場は頼れる人が少なく、とんがっています。司法の独立に一番こだわっています。その理想を追求し、実現するため、どこかで切り捨てなければいけない課題もあり、寅子にしたら間違っていると思えることもあります。理想と理想のぶつかり合いが最後の方に出てきます。桂場は平等で公正ではありますが、最後の最後に公平性すら捨てて舵をきる瞬間も。法曹界にいる人にとって敵、壁のようになっていきます。味方にもなり、時には敵にもなる。桂場なりの闘いが出てきます」

 最後にあらためて最終週の見どころを語ってくれた。

「最後の最後まで見どころはあります。桂場が人をどんどん切っていくような描写もあります。重い話の中で、すごく繊細に演じる部分も、コミカルな描写もあります。その織り交ざった人間賛歌といいますか、人に対しての優しさを感じられるドラマになっていると思います」

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