神木隆之介、初主演の日曜劇場で一人二役に挑戦「どういうこと?」 戸惑いも「繊細な表現が必要とされる作品」
俳優の神木隆之介が、10月スタートのTBS系日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』(日曜午後9時)で主演を務める。放送を前に囲み取材に応じ、日曜劇場にかける思いや一人二役という役作り、本作の楽しみ方について語った。
神木隆之介の主演は満場一致で決定
俳優の神木隆之介が、10月スタートのTBS系日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』(日曜午後9時)で主演を務める。放送を前に囲み取材に応じ、日曜劇場にかける思いや一人二役という役作り、本作の楽しみ方について語った。
同作は、1955年からの石炭産業で躍進した長崎県・端島と、現代の東京を舞台にした70年にわたる愛と友情、そして家族の壮大な物語。『アンナチュラル』(2018年)、『MIU404』(20年)などを手掛けた野木亜紀子氏×塚原あゆ子氏×新井順子氏がタッグを組んだ、初の日曜劇場となる。
戦後復興期から高度経済成長期の“何もないけれど夢があり活力に満ちあふれた時代”にあった家族の絆や人間模様、青春と愛の物語を紡いでいく。同時に、現代の“一見して何でもあるけれど若者が夢を持てない時代”を描き、過去から現代に通じる希望を見つけだす、時代を超えたヒューマンラブエンターテインメントだ。
主演の神木が演じる鉄平は、端島生まれで端島育ち、明るく真っ直ぐな性格だ。炭鉱員の家に生まれ、中学卒業後は長崎の高校・大学へと進学したが、大好きな端島のために働きたいという一心で帰郷。鷹羽鉱業の職員として働き始めるところから物語は始まる。
――本作への出演が決まったときのお気持ちを聞かせてください。
「お話をいただけてうれしい気持ちと、プレッシャーもありました。そのときはまだ、最後の展開は撮影が進んでからじゃないとどうなるか分からないという状況だったこともあって、直接疑問点や仮の台本を読んで思ったことをお伝えしました。親身にお答えいただきましたし、そのときの塚原さんたちからは『こんなふうに表現したい』という思いを強く感じて、目がすごく自信に満ちあふれていたのが印象的でした。
日曜劇場は、役者や表現者として培ったものがある方が背負う重たいものだと思っていたので、31歳という年でお話がくると思っていなかったです。でも、『この方たちについていけばいいんだな』と思えて、参加させていただくというお話になりました」
――「主人公は神木さんがいい」と満場一致だったそうですね。
「それは、情報解禁のときに聞いたので『そうだったの?』って。朝ドラ『らんまん』の前からお話が出ていたということも聞いて、うれしかったです。『そう思ってくださっているのであれば、一生懸命頑張って、期待以上の良い作品を主役として作れたら』と、今は前向きな気持ちです」
――制作陣の方々と直接お話されたとのことでしたが、脚本を読んでの感想を教えてください。
「『一人二役ってどういうこと?』というのは、正直ありました。試行錯誤して役を作っています。とくに、端島パートは自分が生まれる前の経験していない時代のことですし。ぽつんとある島に人口5000人くらいもの人たちが高度経済成長のなか、限られた場所での人間関係は特殊だと思っていて、ならではの悩みや喜びを理解するのは難しかったです。各キャラクターとの関係性や葛藤は、一つの表現だけではだめなんだなと。『絡み合っている悩みをどう表現すればいいのか』と、一話の脚本を読んで思いました。繊細な表現が必要とされる作品です」
――役作りにおいて、監督などからリクエストはあったのでしょうか。
「端島は独特な空間で、暮らしている人全員が家族のようで、自分のことは全員が知っているっていう。例えば、デートしただけでもみんなに知られているということに息苦しさを感じる人もいれば、一島一家だと良く思っている人もいて……。『それがいい』『外の世界に出たい』『職を継がなければいけない』などの悩みを、キャラクターごとに演じてもらいたいというお話はありました。
鉄平に関しては、島を良くしていきたいという気持ちで動くので『複雑に悩むよりは元気に前向きに』と言われました。『ONE PIECE』のルフィみたいな人がイメージだと聞いています。役作りとしては、話し方を変えています。第一印象から受けたものを現場でやってみて、リハーサルなどで時間をかけて構築していきました」
――いづみを演じる、宮本信子さんとのシーンも多そうですね。
「宮本さんは、過去に共演させてもらった朝ドラ『どんど晴れ』のときはほとんど同じシーンはなかったので、今回宮本さんが役をどう作り上げていかれるのかを見られるので楽しみでもあり、緊張もします。物語において、軸になっていく2人なので、いいコンビだと言われるような関係にしていきたいです」
――端島には実際に行かれましたか。
「行きました! 迫力がありましたし、異空間というか、鳥肌が立ちました。今は入れるところが限定されているのですが、説明を聞きながら回りました。誰も住んでいなくて建物や危険区域もあるのですが、活気があったんだろうなという面影もありました」
日曜劇場、過去には『集団左遷!!』に出演
――31歳での日曜劇場主演とのことですが、これまでの経験が活かせそうな部分はありますか。
「挑戦してみようと思うことはあります。塚原さんの撮り方もそうなのですが、ドラマではありつつもドキュメンタリーっぽさもあって。『関係性で会話のテンポも変わるし、何かをしながら話してもいいし、セリフが被ってもいいし、相づちをしてもいいよ』という指示をいただくのは他ではないことで。ドラマのキャラクターではあるのですが、一人の人間として生々しさを表現しようと、思い切りやってみようと思いました。日曜劇場というプレッシャーはありますが、時々『集団左遷!!』で、福山(雅治)さんが引っ張ってくれていたことを思い出しながらやっていきたいです」
――神木さんの思う、このドラマの楽しみ方を教えてください。
「端島のシーンは明るく楽しい部分もあるのですが、当時の日本や島の環境などを背負うキャラクターがいっぱいいるので、キャラクターに感情移入して、しみじみと見ることができると思います。現代パートは今に近いので気楽に見られる休憩場所ともとれますし、今を生きる玲央がどう過去を見ているのか、どんな印象を受けて見方が変わっていくのかという変化を楽しめると思います。今を生きる人たちに寄り添っているので、共感してもらえる部分はたくさんあるのかなと。2つパートがあるからこそ、限定されない見方ができる作品だと思っています」
――最後に見どころをお願いします。
「見どころはたくさんあるのですが……。当時の端島をドラマでここまで本格的に描くのは初めてですし、軍艦島と認識されることもあって“端島”という名前を初めて知りました。どんな島でどんな人が過ごしていたのか、どんな人間ドラマが生きていたのか、時代とともにどう駆け抜けていったのかというところを見ていただけたらと思っています。また、パートが代わる現代のシーンも見どころはたくさんあるので、同時並行で楽しんでいただけたらと思っています」