中村橋之助「撮影初日が、母が亡くなるシーンだった」 初主演映画『シンペイ』完成披露試写会で撮影秘話
歌舞伎俳優・中村橋之助(28)が映画初主演した『シンペイ~歌こそすべて』(11月22日長野県内先行公開、来年1月10日全国公開)の完成披露試写会が15日、長野・中野のソソラホールで行われ、晋平役の橋之助、母役で長野県出身の土屋貴子、神山征二郎監督、新田博邦プロデューサーが登壇した。
『シンペイ~歌こそすべて』の完成披露試写会
歌舞伎俳優・中村橋之助(28)が映画初主演した『シンペイ~歌こそすべて』(11月22日長野県内先行公開、来年1月10日全国公開)の完成披露試写会が15日、長野・中野のソソラホールで行われ、晋平役の橋之助、母役で長野県出身の土屋貴子、神山征二郎監督、新田博邦プロデューサーが登壇した。
映画は『カチューシャの唄』『ゴンドラの唄』『東京行進曲』『東京音頭』『シャボン玉』『てるてる坊主』など約2000曲の童謡や歌謡曲を残した作曲家・中山晋平(1887~1952年)の生涯を全編音楽でつづる。
橋之助は、映画初出演にして、初主演という大役。中山晋平の生誕地で約700人の観客とともに鑑賞し、感無量。「普段は歌舞伎や舞台、ミュージカルに出させていただき、映像のお芝居は2、3度ドラマに出たぐらいで、ほぼほぼ初めてでした。しかし、映画だから、やり方を変えようということではなく、中山晋平さんとして存在することを大切にさせていただきました。皆さんと一緒に見させていただいて、晋平さんが皆さんに愛され、今も心の中にいらっしゃるんだなと感じました。僕も、死んだ後も皆さんに思ってもらえる役者になりたいと感じました。機会があれば、今後も映像作品に出たい」と話した。
劇中では18歳から亡くなった65歳までを演じているが、順撮りではない映画撮影には大きな戸惑いもあったそう。「舞台だったら、生まれてから死ぬまでを順番に演じていくのですが、撮影初日が母ゾウさんが亡くなる日のシーンだったんです」と告白すると、会場からは驚きと笑い声も。母役の土屋も「本当に大変だったと思いますよ」と労をねぎらっていた。
『ハチ公物語』などで知られる名匠・神山監督は「歌舞伎のスターは長い公演スケジュールを持っているので、映画でご一緒するのは難しいです。僕は中村吉右衛門さん以来 2人目。役者の中には何をやっても本人にしか見えない人もいますが、橋之助さんは中山晋平にしか見えない。素晴らしかった」と映像での演技に太鼓判を押していた。
40年来の企画を実現させた柳澤愼一&高橋長英主演の『兄消える』、寺田心主演の『ばあばは、だいじょうぶ』のプロデューサー、新田氏が「実は出来立てのホヤホヤで、まだ完成していないんです。みなさんのご意見を聞いて、つまらなかったところがあったら、直しますから」と冗談めかして言うと、会場からは温かな拍手も。試写会には中山晋平の孫で、中野市で酒造業を営む中山治さんも出席。「いい映画を見せていただきました。本当に感謝を申し上げます」と話していた。