「整形は絶対ダメ」浅田美代子、樹木希林さんから教わった生き方 譲り受けた“希少車”

オリジナルウェブ映画『ミライヘキミト。』(ウエダアツシ監督、無料配信中)に出演した俳優の浅田美代子。2018年9月に亡くなった樹木希林さん(享年75歳)からは生き方とともに愛車も受け継いだ。愛車と保護犬3匹との暮らしを語った。

インタビューに応じた浅田美代子【写真:冨田味我】
インタビューに応じた浅田美代子【写真:冨田味我】

愛車と保護犬3匹との暮らし

 オリジナルウェブ映画『ミライヘキミト。』(ウエダアツシ監督、無料配信中)に出演した俳優の浅田美代子。2018年9月に亡くなった樹木希林さん(享年75歳)からは生き方とともに愛車も受け継いだ。愛車と保護犬3匹との暮らしを語った。(取材・文=平辻哲也)

『ミライヘキミト。』は海辺の街を舞台に、3世代5人家族の女性たち、それぞれの“青春”を描くもの。浅田は、息子家族の幸せを見守る祖母・海を演じている。

「海さんは何か口出しする人ではないですが、家族に対して、愛を持っている人だと感じました」と浅田。祖母役は、自然体で楽しみながら演じることができたという。

「若く見られるのは、うれしいですけど、年相応でいいです。いくらきれいで、若返ったからといって、若い役ができるわけじゃない。若い役はちゃんと年齢の若い人にいきますから。希林さんは、『整形は絶対ダメよ』というんですよね。電話でも、『見た○チャンネル、○○さん、ちょっと変よ。しているでしょ、あの人』なんて話すんですよね。だから、私も、整形はいいや、と思ってしまいます」と笑う。

 若く見られるどころか、真逆のアプローチをしてきたのが樹木さんだ。

「『寺内貫太郎一家』の時は、希林さんは31歳でおばあちゃんをやりましたけども、顔にシミを書いたり、白髪のカツラをつけるようなことはしなかったんです。髪の毛の前半分だけ真っ白に染めて、手や首には年齢が出るからと、首にはスカーフ、マフラーを巻いて、手袋をつける。その発想がすごいです。『万引き家族』で入れ歯を外した時には、卑怯でしょと思いました(笑)。芝居もすごいですけど、あそこまでできる人はいないです」

 浅田は、生き方だけではなく、実際にモノも譲り受けている。小さなロールス・ロイスと言われる英国の名車「バンデン・プラス・プリンセス」のレプリカモデル「コペル・ボニート」だ。ボニートは日産マーチのボディとエンジンを元にして、外観をバンプラのように見せているもの。手作りのカスタムカーで、生産量が少ない希少車だ。

「希林さんが乗っていた時に、『これ、かわいい』って言っていたんですね。うちの母が入院している時に、狭い道を走るのにも、ちょうどいい大きさだなと思っていたら、希林さんが『じゃあ、ミヨちゃんに譲ってあげるわ』とすごく安い価格で譲ってくれたんです。もう20年以上は経ちますが、調子はいいです。エンジンは1度載せ替えていて、車屋さんからは『もうエンジンがないから、今度何かあったら、もうダメです』と言われていますが、何かあるまでは乗るつもりです。チョロチョロ走るのがかわいいんですよね」

保護犬活動に尽力している浅田【写真:冨田味我】
保護犬活動に尽力している浅田【写真:冨田味我】

「あんなすごい人は二度と現れない」

 ボニートは遠出には使わず、普段の愛車はベンツ・ゲレンデ。その理由には、浅田が尽力している保護犬活動がある。

「うちには犬がいるんで、乗せるのにちょうどいいんです。多い時期は5匹いたんです。今は、推定14歳、10歳、6歳の3匹。血統書はない雑種です。1匹ごとに違うご飯をあげています。去年来た子は、身体中の毛が抜け落ちていました。お医者さんに見てもらったら、『アロペシアX』という脱毛の病気だから、もう生えてこないと言われ、この子に里親が見つかるのは難しいかなと思って、自分で引き取ったんです。でも、いろいろ良いと言われることをしていたら、少しずつ毛が生えてきたんです」とほほ笑む。

 今夏は猛暑が続いたが、犬の散歩も毎日欠かさず行っている。

「暑いので、大変です。これだけ暑いと、犬も熱中症にかかってしまいますから。理想は朝と夜の1日2回ですが、今は早朝か夜中にやっています。3匹とも、とても仲が良くて、散歩中に1匹が用を足していると、ほかの子たちもちゃんと待っているんです。かわいいですよ」

 昨年、芸能生活50年を迎えたが、どんな未来を描いているのか。

「深く考えてはいないですが、いろいろな仕事をしていけたらいいなとは思っています。何よりも健康が大事です。健康じゃないと、何もできないから。ただ、病気らしい病気は1つもしてこなかったんです。特に何かをやっているわけではなく、サプリもあまり飲むことはないです。ただ、なるべく自分で作ったご飯を食べるようにしています。外食ばかりだと、ちょっと重たくなるから、さっぱりしたものを食べようとかは気にしています」

 愛犬とともに、自然体で年を重ねてきた浅田。来年のNHK連続テレビ小説『あんぱん』でも、祖母役を務めること決まっている。「希林さんからは、たくさん教えていただきましたが、とてもじゃないですが、私には受け継げないです。あんなすごい人はもう二度と現れないんじゃないでしょうか」と話す。浅田は、また違った路線で魅力あるおばあちゃんを演じてくれそうだ。

□浅田美代子(あさだ・みよこ) 東京都出身。1973年にドラマ「時間ですよ」でデビュー。劇中で歌った「赤い風船」が第15回日本レコード大賞新人賞を受賞し、一躍人気アイドルに。その後「寺内貫太郎一家」シリーズなど数多くのドラマに出演。映画『釣りバカ日誌』シリーズ(94~09)では、主人公「ハマちゃん」の妻「みち子」役の2代目として参加。映画『朝が来る』(20)では日本批評家大賞助演女優賞を受賞。近年の主な映画作品に『あん』(15)、『エリカ38』(19)、『とべない風船』(23)、『キリエのうた』(23)など。2025年放送のNHK連続テレビ小説「あんぱん」にヒロインの祖母役として出演が決定している。

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