STU48中村舞、夢が現実に変わった写真集 “新たな自分探し”に意欲「進化し続けたい」
瀬戸内7県を拠点とするアイドルグループSTU48のドラフト3期生・中村舞は、8月27日に1st写真集「嫌いの反対」(宝島社)をリリースした。2018年の「第3回AKB48グループ ドラフト会議」でSTU48に指名されてアイドルとなり、6年の月日を経てグループの単独センターを務めるにまで成長。9月2日付けのオリコン週間BOOKランキング(8月19~25日集計)では、ジャンル別「写真集」で1位に輝いた。そんな彼女が夢に掲げていた写真集への思いについて聞いた。
ファンも熱望していた写真集がついに発売「ようやく出せた」
瀬戸内7県を拠点とするアイドルグループSTU48のドラフト3期生・中村舞は、8月27日に1st写真集「嫌いの反対」(宝島社)をリリースした。2018年の「第3回AKB48グループ ドラフト会議」でSTU48に指名されてアイドルとなり、6年の月日を経てグループの単独センターを務めるにまで成長。9月2日付けのオリコン週間BOOKランキング(8月19~25日集計)では、ジャンル別「写真集」で1位に輝いた。そんな彼女が夢に掲げていた写真集への思いについて聞いた。(取材・文=小田智史)
「中村舞です」
目の前のテーブルに置かれたボイスレコーダーを覗き込み、自身の名前をつぶやいて笑顔を見せる。不動の中心メンバーとして、STU48の単独センターを務めるようになった今も、中村のミステリアスさとかわいらしさをまとった独特な空気感は変わらない。
中村にとって写真集は「夢」の1つだったというが、同じドラフト3期生の沖侑果(2024年4月卒業)が2023年4月に写真集を発売したことをきっかけに、現実的な目標に変わったという。
「写真集はSTU48でも出しているメンバーが結構いて、『アイドルなら出したい』と自分にとっても『夢』でした。同期の沖ちゃんが写真集を出した時は、より現実を感じました。先輩の時は自分にとってはまだ夢でしたけど、沖ちゃんが出した時はいいなあと。同期が夢をかなえているのを見て、自分もかなえたいと思いました」
それだけに、今回の1st写真集は中村自身にとっても、ファンにとっても待望の一冊となる。
「沖ちゃんが(写真集を)出したタイミングで、ファンの方からは『まだ(出さないの)?』みたいに言われて。『もー、出したいと思って出せるものじゃないの! タイミングってものがあるんだから!』とだいぶ怒ってました(笑)。だから、ようやく出せたという気持ちです」
撮影は地元である愛媛県で実施。かつて通っていたバレエスクールや祖母の家などゆかりの地を巡り、水着やランジェリーにも初挑戦している。
「初めての写真集で、やっぱり地元で撮影して出せたらいいなと思い、いろんな方と相談して決めました。おばあちゃんの家は小さい頃からよく行っていました。生活感があふれていて、すごくなじみがある場所です。生活の一部を切り取ったようなカットが多いので、自然体の私だなと思います。
ランジェリーとか水着は初めてですごく緊張しましたが、写真集でしか見せられない自分かなと思ってチャレンジしました。ファンの人の反応は、おへそを見て喜ぶ人が多かったです(笑)。最初のスクール水着の先行カットはおへそが見えなくて、まだじらしているんだなという感じで、初めておへそが出た時に、『おへそが出た』と歓喜の声が(笑)。普段イメージがないと、意外性というか出た時にわっとなりますよね」
写真集で新たに発見したチャームポイントは「背中」
写真集のタイトルは、「嫌いの反対」。帯文では、48グループの総合プロデューサーを務める秋元康氏から「中村舞は、天邪鬼だ。きっと、恥ずかしがり屋なのだろう。自分の気持ちを素直に伝えられない。だから、『好き』と言えずに、『嫌いの反対』と言ってしまうんじゃないかな。」とコメントが寄せられている。
中村自身、「天邪鬼(あまのじゃく)」という言葉が腑に落ちる部分があるという。
「ファンの方には『天邪鬼』だと結構言われます(笑)。素直になれなくて、反対のことを言いがちみたいなので、秋元先生の言葉は合っているんだろうなと思います。アイドルでよくある『釣って』みたいのはすごく苦手で(苦笑)。お話し会とかで言われたら、『嫌』と言ってしまいます。『好きって言って』と言われたら言いたくなくなるし、求められたらやりたくなくなる。反抗期みたいなものですね(笑)」
初の写真集で新たな発見はあったか。中村に尋ねると、「なんだろう……」と考えた末に、「自分が思うチャームポイントは鎖骨なんですけど、今回背中が追加されました」と笑顔を覗かせた。
「自分の背中を見ることがあまりなかったので、好きかもって思いました。自分の知らなかったところが見えたというか。自分で言うのも少し変な感覚ですけど、『いいじゃん!』と(笑)。お気に入りは、バレエのカットです。飛んでいます! 実際に通っていたバレエスクールで撮影したのですが、青春時代をささげていた場所なので、どうしても撮影したくて『やりたいです』とお願いしました。実際にバレエの先生も見てくださっていて。バレエはブランクがあるとしんどいです(笑)」
写真集の出来栄えについて、「100点以外ないです。大満足です。1st写真集で初々しい姿もそうだし、今の自分をかたどってくれた場所で撮影できたので、うれしかったし、愛媛の繁華街とか海がきれいな興居島とか、愛媛の良さも伝えられているのかなと。『愛媛出身の中村舞』の良さが凝縮されているのかなと思います」と語った中村。STU48の1stアルバム「懐かしい明日」のリード曲「愛の重さ」で初の単独センターを務め、写真集もリリースと、グループの中心メンバーとしての自覚は日に日に増している。
「今、なかなかできない経験をさせていただいていると思っています。いろんな時に『センターの中村さん』と言っていただくことが増えました。グループの先頭に立たせてもらっているからこそ、自覚も覚悟も持たないといけない。おこがましいですけど、『STU48を背負っているんだ』という自覚を持って、いろいろなことに挑むようになりました。しっかりしなきゃいけないし、私がSTU48を進化させていかないといけない。(アルバムのリード曲で)単独センターに選んでいただいたことで、自分も変わってきたなと思います」
変わりゆくSTU48で目覚めた自覚「進化させていかないといけない」
STU48は今年、2代目キャプテンの今村美月、1期生の石田みなみ、岩田陽菜、同期の沖侑果らが卒業、甲斐心愛がマレーシア・クアラルンプールを拠点に活動する「KLP48」へ移籍。2.5期生の岡田あずみが新キャプテンに就任し、新たな一歩を踏み出している。中村にとっては後輩も増え、「メンバーも変わったし、時間の流れを感じます」と語る。
「グループ全体がフレッシュになったなと。2.5期生の岡田あずみちゃんがキャプテンになってくれて、今のSTU48はみんなで作り上げている印象があります。がむしゃら感を感じられて私はすごく好きです。岡田あずみちゃんは何事にも一生懸命で、すごく頼れる。コンサートの時に中心になって行ってくれていますし、初々しい気持ちとともに初心を思い出しています。私は……、私の背中を見てというよりは、メンバーみんなで全速力でダッシュしている感じです(笑)」
現代には無数のアイドルが存在するなかで、中村はSTU48のメッセージ性の強い楽曲とともに、ファンに「伝える」意識を大切にしているという。
「STU48の楽曲はメッセージ性が強く、歌詞を読み解いていくと深いものが多くて、お気に入りの曲がどんどん増えていきます。明るい“ザ・アイドル”という曲よりは、心に刺さる、共感できる歌詞が印象的。私は悩んでいる時に曲に助けられたり、歌っている時にぐっとくることがあるので、それをファンの方に伝えたい。STU48の曲がすごく好き。ライブで曲を披露して、それをみなさんの心に届けて、いろんな考えが変わったり、頑張ろうと思ってもらえるようにパフォーマンスしています」
今回の1st写真集だけにとどまらず、今年11月にはクラシックバレエ作品「ジゼル」を元にしたオリジナルミュージカルにも出演予定。中村は「今の自分に満足することなく、進化し続けたいと思っています」と、“新たな自分探し”にどこまでも貪欲だ。
「ファンの方が『写真集はまだかまだか』と首を長くして待ってくださっていたので、全ページ私で、思い出が詰まった作品が出来上がったので何度も何度も見てほしいです。そして、まだやったことがない分野のバレエミュージカルにも挑戦します。演技経験はあまりなく、舞台は去年やった『IDOLS~夢のシークエンス~』が初めてでした。すごく緊張したし、自分にとってはアイドル人生の中で3本の指に入るくらい苦労した出来事でした。でも、その分達成感も凄くて。今回も苦労することはあると思いますけど、自分の可能性を広げていきたい。これからも、私から目を離さずにいてください!」
アイドル7年目、中村は自分の信じる道を突き進む。
□中村舞(なかむら・まい)1999年4月4日、愛媛県出身。STU48ドラフト3期生。アイドル然としたルックスと少女のような透明感の中にミステリアスさを秘めるグループの中心メンバー。今年11月には自身初のバレエミュージカル挑戦が決まっており、活躍の場を広げている。